そして翌日、あの人は居なくなってしまっていた。私は必死になってあの人を探した。しばらくして、あの人を見つけた。私はあの人の家の近くにアパートを見つけ、そこに引っ越した。
2011-02-04 03:38:52あの人はあの毛玉と一緒に暮らしていた。夜な夜なあの人の家に行っては望遠鏡であの人を見たり、盗聴器を仕掛けてはあの人の生活の音を聞いた。あくまであの人の守ろうとしてだ。
2011-02-04 03:41:41私はチャンスを見てはあの人に会おうとした。しかしあの人は私を避けていた。しかも毛玉の下っ端がガードしてきたりで中々会えなかった。現代のロミオとジュリエットを描くならまさしくこの話をテーマにしていただきたい
2011-02-04 03:44:47しばらくして今度はまたあの毛玉が私に近付いてきた。今度は何を言われても大丈夫な様に色々シュミレートをして対応しようとしたがおかしな話を持ち込まれた。「俺の出版社で漫画を描かないか?」
2011-02-04 03:48:12私は怪訝な顔をしたが毛玉はペラペラと喋る。「いやなに、お前の大切なモンを奪った謝罪の意を表しているのさ。お前の夢は漫画家だろ?その夢叶えてやるよ。どんな漫画を描いていいぞ」私はドキリとした。大学に通いながら投稿はしていたが全く見込みがないと言われ夢を諦めかけていた。
2011-02-04 03:51:49でもあまりにも都合が良すぎる。私は断ろうとしたが、いやまてと考えた。上手くすればあの人に会えるチャンスがあるかも。そう考え、私はその誘いに乗った。今思えば私はもっとこいつの事を考えるべきだった。
2011-02-04 03:54:47まず一つやられたと思ったのは私は好きな漫画は描いていいが、それは成人漫画であると言う条件だった。でも私は描く事にした。しかも欲望に狩られ、犯される女性のモデルは全てあの人にした
2011-02-04 03:57:43そのうちどこぞの出版社から色々スカウトが来て漫画を一本描かないかと誘われ、私は有頂天になってどんどん描いていった。もちろんあの人をモデルに
2011-02-04 03:59:51二つめにやられたのはその後の事。私は以前からひっそりと同人活動をしていた。しかもあの人へを妄想をつづった物。しかし、それがヤツに見つかり、もっと大々的にやれよとあれよあれよと大手サークルにされてしまった
2011-02-04 04:05:50その後、私はすっかり毛玉に気を許していた。すると毛玉はなんと私を自宅に呼んだ。私はやっとあの人に会えるとたまらない気持ちだった。私は似合いもしないオシャレな服を着て毛玉の家に行った。するとあの人が迎えてくれた。
2011-02-04 04:10:44私はすぐさまあの人に抱き着き感動の再会を交わした。あの人も嬉しがってくれていた。客間に通され、しばらくあの人と二人きりにされた。色々話した。あの人は特に変わり無かった。私は嬉しくて嬉しくて犬の様に振る舞った。むしろ犬だった。
2011-02-04 04:13:46あの人は仕事は何をしているんだと聞いてきたから、有頂天な私は芸術溢れる漫画を描いていると豪語した。あの人も凄いなと言ってくれた。その矢先に毛玉が戻ると、なんとヤツは私が今まで描いた成人漫画を持っていた。
2011-02-04 04:16:43私は必死に隠そうとしたがあの人は嬉しそうに私が描いた漫画が見たいと言って構わず読み出した。今でもあの人の表情が忘れられない。この世の終わりを見たかの様な表情をした。それに追い撃ちをかけるように毛玉は「こいつの描くヒロインのモデルは全部お前らしいぜ、良かったな」と言った
2011-02-04 04:21:54あの人は呆然としてパラパラと漫画をめくり、私の顔を見てから顔を真っ赤にしてすぐさま部屋を出て行った。私は毛玉に飛び掛かり「ふざけるな!」と言った。しかし毛玉は「全部お前がした事だ。俺が敷いてやった絨毯の上でやった事だぜ。なぁ裸の王様よ。」そう言って私を引きずり窓から捨てた。
2011-02-04 04:26:27右腕が折れた。コミケ前なのに。他のサークルメンバーにそれを伝えると手の平を返すようにしてお前もう参加しなくていいわと冷たくあしらわれた。出版社にも同じ、代わりはいくらでも居るんだといわれ契約を解除された。目の前が真っ暗になった
2011-02-04 04:31:09骨折して一ヶ月を過ぎた頃、まさかのあの人から電話があった。私はあの人の聞いただけで天にも昇る気分だった。いや、天国に昇っていたかもしれない。だが内容は残酷だった。「お前が描いた漫画全てを見せろ。」私は必死にそれだけはと断ったが「約束したデートだ。」 と言われすぐOKを出した
2011-02-04 04:36:56そうしていつかの夏に約束された二度目のデートが先程の喫茶店での事だった。私は本当にバカだ。全てヤツに躍らされていた事だったのだ。いやそれでやったのは私の責任だが。どうしてくれよう。やつを殺して家に火を放って死のうか。それがいい。それがいい。
2011-02-04 04:41:56私はホームセンターに言ってサバイバルナイフを購入しようとした。すると一人の男に呼び止められた。「主は今迷っている。」新手の宗教勧誘かとすぐ離れようとしたが「俺の鷹の目からは逃れられない。」とそのまま店の外に引きずり出された
2011-02-04 04:47:54私は邪魔をされたので苛立っていたが、帽子を被った男は構わず続けた。「俺に糖分を与えてくれさえすれば主の迷いを晴らしてやろう。」なんだこいつ、ふてぶてしいにも程があるぞと睨もうとしたが、やつの異常な雰囲気を放つ瞳に先に睨まれ、近くの屋台で鯛焼きを買ってやった
2011-02-04 04:53:08鯛焼きを食べ終わると、帽子の男は首に提げていたクロスを私に渡し、今一番したい事を願えと言った。いやあんたが迷い晴らしてくれるんじゃないのかと疑問を抱えながらも私はクロスを手に持ち、毛玉死ねと願った。
2011-02-04 04:58:06帽子の男は「本当にそれが願いなのか?」と解いてきた。迷わせてどうする。私はそれでいいと言おうとしたが、脳裏にあの人の顔が浮かんだ。私に向けられた冷たい眼差し。しかし、それでも私は貴方が好きなんだ。何年も変わらないこの思い。私は貴方を好きで居るために生きているんだ
2011-02-04 05:01:51