- tasobussharima1
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徳カリプス後の荒野に生まれ育った者達にとって、世界は最初から『そういう場所』だった。徳エネルギーは破綻し、人類は最盛期の100分の1以下にまでその数を減らした。星の世界を駆けるまでに至った文明は長い時をかけて衰退し、その枢要は既に機械達の手に渡っていた。
2016-04-22 21:04:05まぁポスト徳カリプス世代からすれば徳エネルギー文明が繁栄した時代なんてもう取り返しようも無いというかその文明を構築していた主体者がだいたい解脱してしまってるから想像もつかないよね #徳パンク
2016-04-22 21:06:55だから彼らは、繁栄の時代を知らない。それを求めようにも、どんなものであるかすら判らないのだ。嘗ての人類の文明は、遠い昔話でしかない。 だが徳カリプス以前を知る者にとって、それは確かに己の手の中から零れ落ちた、過去の栄光である。故に彼らは、その幻影を無意識に追い続ける。
2016-04-22 21:08:03しかしまぁ冷たい言い方をしてしまえば徳無き荒野で幻影を追ったところで末路は知れているというもので #徳パンク
2016-04-22 21:10:13年月が過ぎていって、栄華の時代を知る者がいなくなるその時こそが、完全なる滅びの始まりなのかなあ #徳パンク
2016-04-22 21:10:23徳カリプス以前、徳エネルギー文明最晩期。円熟の時代の記憶を持つものと持たぬ者。その間に存在する溝は果てなく深い。 -------- 「『マロ』さん、『マロ』さん!」 「……随分と、早かったでおじゃるな」 パイプラインの異変を知ったヤオは、再び『マロ』の屋敷を訪れていた。
2016-04-22 21:12:07「パイプラインがまた……って、今回はあんまり驚いてないですね」 前日の取り乱しぶりが嘘のように『マロ』は落ち着いている。 「まぁ、一度で終わるとは思ってなかったでおじゃる故なぁ……ただ、こうも連日とは早過ぎでおじゃるが」
2016-04-22 21:16:05そう口にしながら、『マロ』は何やらモニターの付いた端末を懐から取り出す。 「なにそれ?」 「こういうこともあろうかと、修理の時に色々と仕掛けたでおじゃる」 何やら端末を操作する『マロ』。映しだされるのは、徳エネルギー液化施設の中の光景。 「巻き戻しでおじゃる」
2016-04-22 21:20:03端末が自動的に、カメラの映像から『異変があった』時間を抽出する。 そこに映っていたのは…… 「……誰でおじゃるか、これ」 「この子、近所に住んでる……」 年端もいかない少年だった。ヤオは、その姿に見覚えがあった。村落に住まう子供の一人だ。 「でも、どうして」
2016-04-22 21:31:00映像の中の子供は、機械のケーブルに手を伸ばしはじめる。手に持っているのは、恐らく小さな刃物か何かだろう。 「……そういう、ことでおじゃるか」 『マロ』は密かに口元を隠し、目を細めた。 「こんな、大それたことをするような子じゃないのに……」 「確かに、動機は無さそうでおじゃるな」
2016-04-22 21:34:03奥ゆかしく口元を隠すマロ氏。自分の悪戯がどんな結果をもたらすか、マロ氏がいなくなるとどうなるかが分かっていないのか……? #徳パンク
2016-04-22 21:37:35