ニンジャカタナLocation#225 Last Chapter『Home.01』

カクヨムにて連載している『ニンジャカタナ』Twitter連載分まとめです。 以前投稿していたLocationNo.93はプロト版となっており、現行連載との繋がりは一切ありません。 その他、本編は下記より! 続きを読む
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りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

こんばんは! 今からTLで公開する『ニンジャカタナ』は、カクヨム上で公開している作品の最新話部分になります。全話URLはこちら! kakuyomu.jp/works/11773540… pic.twitter.com/9JOvMjztjl

2016-04-23 21:15:09
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りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

前回、Twitterにて投稿した際、複数の方から展開に対してのアドバイスを頂きました。結果、前回のTwitter投稿版とカクヨム版ではかなり内容に違いが出ています。今から投稿する内容は、カクヨム版を正式として作成していることをご了承くださいませ!

2016-04-23 21:16:38
りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

それでは、大変お忙しいお時間をお借りしてしまい申し訳ありませんが、しばしご理解、お付き合いのほど、なにとぞ宜しくお願い致します。<(_ _)>

2016-04-23 21:17:58
りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

ニンジャカタナLocation#225 Final Chapter Home.01 ――――――――――――◆

2016-04-23 21:19:01
りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

前回までのあらすじ:巨大商業圏オールセルを襲ったテロ組織『クラン』の脅威は、リーゼ達ユニオンズカップの参加者と、そこに住む多くの人々の抵抗によって撤退を余儀なくされる。だが、カタナは全ての禍根を断つべくクランの超越者『プレイヤー』の元に赴き、これと戦うのであった――。

2016-04-23 21:24:24
りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

オールセルの海にたゆたう緑光が一斉に空へと昇る。その光は最後の抵抗を見せるフォートレスと紫光へと集い、全てを覆う。 断末魔のように軋んだ音を響かせてフォートレスの体が捻れ、緑光の向こう側へと消える。

2016-04-23 21:26:22
りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

空を見上げるオールセルの人々は、光の向こうで交錯する緑光の稲妻と、稲妻によって切り裂かれる紫光を見た気がした。 瞬間。フォートレスを包む緑光は一斉に拡散。まるで傷ついたオールセルの海と大地を癒すかのように――。緑光はゆっくりと、穏やかに大地に降り注いでいった。

2016-04-23 21:27:56
りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

「終わったか――」 崩壊した会場。 焼け焦げ、火薬と硫黄の臭いが立ちこめるその中央。翡翠色の長髪をなびかせたベリルが呟く。その姿は僅かに煤を浴びているものの無傷。 逆に、彼の足元に転がる人影――全身に切り傷を負い、なぜか黒焦げとなって白煙を上げるミストフロア。

2016-04-23 21:30:22
りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

「誓いを果たしたな――。ならば、退こう」 ベリルはなびく髪をそのままに、まるで雪のように降り注ぐ緑光の粒子を見、呟く。そしてその手に持ったクロスボウを腰のホルスターに収めると、足下のミストフロアに目線を移す。 だが、倒れたミストフロアはピクリとも動かない。

2016-04-23 21:33:09
りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

出血はそれほどでもないが、全身の火傷によってショック死でもしたのだろうか。 しかしベリルは、ミストフロアのその様子に溜息をつき、彼に向かって手をさしのべる――。 「――行くぞ」 「……ギャハ!」 うつぶせになったままのミストフロアから笑い声が上がる。

2016-04-23 21:35:52
りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

彼はそのままごろりと寝返りを打つと、炎によってチリチリのパーマとなった髪を弄りながら、ぎざぎざの歯を見せて満面の笑みを浮かべた。 「アー、イテェー、イテェー! 誰かさんにボコボコにされたせいで、歩けませーん」

2016-04-23 21:37:27
りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

「……急げ。演者は撤退。ブラックもすでに脱出したようだ。歩けないというのなら、置いていく」 「ハッ! お優しいことで」 ミストフロアは差し出されたベリルの手を掴み、うめき声と共に立ち上がる。そして側で焼け焦げ、穴だらけになったジャケットを掴むと、会場を後にするベリルに並んだ。

2016-04-23 21:39:58
りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

「――お前、アイツじゃあのガキに勝てねーってわかってたんじゃねーか?」 ちらとベリルを見上げながミストフロアが口を開く、崩壊した薄暗い通路。二人の足音だけがただ響く。 「あのガキは、お前にとっての保険だった。豚や俺――アイツが動いたときに止めさせるためのな」

2016-04-23 21:42:03
りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

ベリルは無言。瓦礫だらけの暗闇の中、歩き続ける。 「なあ。なんでそんなことしてんだ? ムカツクもんは全部壊しちまえばいいじゃねーか。それがお前の復讐なんだろ? テメーでテメーの首締めてどうすンだ?」 暗闇の先、光の漏れる出口が見える。無言を通すベリルが、僅かに速度を緩める。

2016-04-23 21:44:23
りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

「――お前には関係のないことだ。もしもう一度俺に刃を向けるなら、次はお前も殺す」 刺すような、凍てついた声。ベリルはそれだけ言うと、立ち止まったミストフロアを置き去りに、正面の光の中に消えた。 「お前も殺す、ねぇ――。わかってンのか? お前、この島で誰も殺してねーんだぞ――」

2016-04-23 21:46:35
りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

呆れたたような笑みを浮かべ、その光を見つめ続けるミストフロア。その二つの瞳は光を反射し、暗闇の中でらんらんと光った。 「まだ、お前は腐り切ってねーってこったな――ベリル」

2016-04-23 21:47:43
りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

オールセルを囲む海に着水したラピスⅦ。そこには、甲板から空を見上げるカーヤとサツキ――。 「あ!」 緑光に照らされ淡く輝く空の一点。にわかに強い光が現れると、それはゆっくりとオールセルに向かって降下を開始する。 「心配はしてませんでしたけど、ちゃんと帰って来れたようですね」

2016-04-23 21:49:59
りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

ほっと安堵の溜息を漏らし、すぐさま訂正するかのように口を開くカーヤ。彼の視線の先にうつる緑光は、ふわふわと踊るように空を横切り、まばゆい粒子の中を渡っていく。 「カーヤくんって、やっぱりカタナさんのパパみたい」 「まあ、今回は僕がカタナを焚きつけたような部分もありますし……」

2016-04-23 21:56:07
りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

ラピスⅦの甲板で空を見上げながら話す二人。その視線の先で、深紅の飛空挺が空を舞い踊る緑光に合流し、寄り添うように粒子の中を飛んでいく。 「カタナにとって、彼女と出会えたのはきっと良かったんでしょうね……。僕じゃあ、ああはいかない――」 「カーヤくん?」

2016-04-23 21:58:44
りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

「――なんでもありません。ラピスⅦの被害状況を確認したら、隠れます。もうすぐ、ユニオンの基幹艦隊がここに来るでしょうから」 呟くように口から出たその言葉。聞き取れなかったサツキがカーヤに尋ねる。だが、カーヤはごまかすように作業を開始すると、踵を返してその場を後にしてしまう。

2016-04-23 22:01:41
りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

しかしサツキの振り向きざま、わずかに見えたカーヤのその表情は――少しだけ、寂しそうに見えた――。

2016-04-23 22:03:22
りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

「いやっふー!」 見渡す限りの緑光の中、カタナは光とじゃれ合うように大空を駆け巡る。帰還したカタナを真っ先に見つけたリーゼは、その様子に思わず笑みをもらした。 「おかえり、カタナ! 今回は私が拾う必要はなさそうね」 「見ろよリーゼ! みんなすげー喜んでるぜ!」

2016-04-23 22:05:56
りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

くるくると、大空に光の軌跡を描きながら飛ぶカタナ。そしてその横を直進するクリムゾンアップル。 リーゼが周囲に目を向けると、眼下には光り輝く海。そして降り注ぐ緑光に照らし出された空と、うっすらと光を帯びたオールセルの島々――。 「綺麗――。これを、カタナが――」

2016-04-23 22:08:16
りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

あまりにも心を打つ光景に、リーゼは感嘆の吐息をもらし、その光景を目に焼き付けようと、カタナと共に大きく機体を旋回させていく。緑光を伴った優しい風が、二人の間を駆け抜けていく――。 「ここのみんなのおかげさ! ありがとな!」

2016-04-23 22:10:26
りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

言って、カタナは視線を後部座席へと向ける。そこには両目を見開き、光り輝くオールセルに目を奪われるモローの姿が――。 「――私は、間違ってなどいない。ただ、あのとき、この海から目を逸らさずにいれば――」 「モロー……。あんた、まだ……」 「頑張れよ。おっさん……」

2016-04-23 22:12:48