- Leethoo_Tat
- 2308
- 10
- 0
- 10
ウィリアム・イアン・ミラーのミクロ政治学の発見の核心。社会的に「上層の人々」は己の軽蔑心に検閲をかけてはいるが、「下層の人々」が同様の自己節度を示すことによって自らの努力に報いてくれない中で、いつの間にか吐き気に襲われている自分に気づく、下にいる奴らは悪臭がする、と。
2016-04-23 18:38:13こうして軽蔑と吐き気という感情を用いたミラーの社会的なもののミクロ政治学は、多元的な民主主義の核心とされたもの、つまり非対称的な様々な軽蔑の類型のバランスをとることが、上層階級のうちに吐き気を催させてしまうことによって、崩壊へと向かっていく傾向があると結論づける。
2016-04-23 18:49:45この種の吐き気は、均等に分配されるようなものではなく、平等という理念に反するかたちで作用するものだ。この吐き気は純粋なものや不純なもののイメージを描き出す。
2016-04-23 18:57:50この種の吐き気に支えられたヒエラルキーは有効なものとはなりえない。そのようなヒエラルキーは、下層の人々によって不純なものとされることによって、ある危険をつくりだしてしまうからである。「自分は自分、人は人」という政治が適当なものではなくなってしまうのだ。
2016-04-23 19:01:25「自分は自分、人は人」というモットー、これこそが多元的な民主主義の根本原理ではないだろうか。即ちそれは、軽蔑が均等に配分されているという純粋な感情を体現しているのではないだろうか。
2016-04-23 19:04:11しかしながら問題は、民主主義とは、単に階級間の垣根を横断するかたちで軽蔑を均等に配分するばかりでなく、かつて上層階級が抱いていた性質のよい自己満足的な軽蔑を、悪意ある身体的な吐き気へと転換してしまうような諸条件をも産出するものであるという点である。(ミラー)
2016-04-23 19:07:16民主主義が、まさに上層階級の人々を、下層民に対する安全な距離感を伴う軽蔑から追い出し、下層民が発する「悪臭」に吐き気を催すという状況に陥らせてしまい、かつてのヒエラルキー的秩序を復元せよという亡霊を蘇らせてしまう!という、本当にやりきれない結論…。
2016-04-23 19:21:44印度でよく言われるところの「上位カーストが抱くカースト秩序崩壊の感覚」というのがこれだ 1970年代に一気に進行し、80年代に症候的な現れをすることになった、という社会学
2016-04-23 19:01:01伝統的なカースト秩序と資本主義的な階級構成は たがいにたがいを参照するような関係とでもいえようか カースト制はもともと可塑的だった、と考えるとよいです(´ω`)
2016-04-23 19:16:50独立したての印度(民族主義、民主主義の国家)で一気にすすんだ社会変動が 上位カースト≒上層+上位中間層の不安と不満をひきおこし それがヒンドゥー至上主義にエネルギーを与えた… というのはもはや定説
2016-04-23 19:27:34@Leethoo_Tat (´ω`) 両国のこうした状態こそが残念ながら「正常」なのだと思われます 問題は、敗戦後日本はなぜそんな社会にはならない、という共同幻想をもつことができたか、ということでありましょう
2016-04-23 19:40:59民族=宗教の集団が特定の階級にかたよって含まれるとはすなわち 二種類の分断が重なっているということ そこに生じる摩擦と緊張は等比級数的にたかまる
2016-04-23 19:51:58例えば、独立印度のムスリムは… ① 敵対する隣国の潜在的支持者 ② 攻撃的、侵略的な宗教の信者 ③ 社会経済的な低層+下位中層 という三つの範疇化にさらされ、社会の軽蔑と吐き気と敵意をあつめる
2016-04-23 19:55:54…みたいな話にご関心の向きは こちらに所収の拙稿を参照くださいませ びっちり書いてあります(´・ω・`) ↓ 現代南アジア〈3〉民主主義へのとりくみ amazon.co.jp/dp/4130341634/…
2016-04-23 19:58:32@mittsko JNU学生自治会長カンハイヤ・クマール君が言った「かつてイギリス植民地支配に対して燃やした怒りの炎を、今あなた方ヒンドゥー教愛国者は、国内のイスラム教徒に向けている!」を思い出しました。
2016-04-23 20:07:46@nagabodhi 単なる政治的アジなのではなく、大雑把すぎますけど社会科学的な知識ともいえますね そして彼は、そのことをちゃんとわきまえていたんじゃないか、と想像できます
2016-04-23 20:29:45… こういう話は、10年前までに全部書ききった 歴史教科書問題と石原都政を背景に、日本もそうなるぞ、という論説も書いた(岩波『世界』) でも、全然読まれてない、と思う きっとボクの書き方が悪かったんだと思う
2016-04-23 20:33:48