ニンジャカタナ!Location#225 Last Chapter『Home.03』

カクヨムにて連載している『ニンジャカタナ』Twitter連載分まとめです。以前投稿していたLocationNo.93はプロト版となっており、現行連載との繋がりは一切ありません。その他、本編は下記より!カクヨムURLhttps://kakuyomu.jp/works/1177354054880208335
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りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

今からTLで公開する『ニンジャカタナ!』 は、カクヨム上で公開している作品の最新話部分になります。全話URLはこちら! ※リンクミスのため再掲です kakuyomu.jp/works/11773540… pic.twitter.com/HEpStUaN2U

2016-04-26 20:25:08
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りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

ニンジャカタナLocation#225 Last Chapter Home.03 ―――――――――――――◆

2016-04-26 20:25:31
りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

前回までのあらすじ クランの襲撃からオールセルを守り切ったカタナとリーゼ。しかし、あまりにも強まったカタナの緑光は、最悪の相手を呼び寄せてしまう。 ――それは、もう一人のカタナ。 彼は緑光をその力で赤化させ、時すらもその活動を停止する領域。死界を発生させ、去った――。

2016-04-26 20:28:26
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「さ、撮りますよ! 3・2・1・0!」 ポンっという軽い音と共に小さなフラッシュが焚かれ、小型の撮影機の中に映像が収まる。収められた映像は数秒で印刷され、リーゼたちに手渡された。 「うわー! ほんとに写ってるぜ! 俺の分もあるのか!?」 「二人とも、おめでとう!」

2016-04-26 20:28:38
りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

「ありがと、ビュー。みんなまだ大変なときなのに――」 「いいってことです。ほんとなら、もっと盛大にやるはずだったんですから」 渡された写真の中で微笑むリーゼ、カタナ、カーヤ、サツキ。そしてリドル夫妻とリドル社の作業員達。

2016-04-26 20:28:49
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うやむやになったユニオンズカップの優勝記念撮影。カタナ達に助けられたことを知ったバンカーは、彼らに自身の撮影機で写真を撮ろうと持ちかけていた。 「みんなも今回のことで、自分らがどれだけ恵まれた場所に住んでるかってことがわかったみたいで。ま、それでも商売第一は変わりませんけどね」

2016-04-26 20:30:13
りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

二枚目の写真をカタナへと渡しながらバンカーは微笑む。 今彼らがいるのは崩壊した会場の裏手。ガレージが設置されていた丘の上。周囲を渡る潮風と、その風と戯れるような海鳥の鳴き声がどこからか届く。バンカー自身、何か思うところはあったのだろう。彼の瞳は、明日への希望に満ちていた。

2016-04-26 20:32:43
りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

「そうだ!俺のカジノ遊びも、たまにゃあ役に立つってな!」 「調子に乗るんじゃないよ!結局リーゼがいなきゃモローに逃げられてたって話じゃないかい!カジノも潰れたことだし、すぐにキリキリ働いてもらうからね!」 「あわわ……ブラック企業、社長は誰……って、俺だった!」

2016-04-26 20:35:04
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二人のそのやりとりに、大きな笑い声が起こる。 ――あの後、モローは自らユニオンへと出頭した。自分がクランと繋がっていた事実を告げるために――。 オーナーを失ったカジノは閉鎖。モローの手がけていた商売は、その全てが頓挫することとなる。

2016-04-26 20:37:18
りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

「けどモローのことだ。きっとユニオンのやつらなんてどうにでも言いくるめて、すぐにもどってくらあな」 「リドル社長は、初めから彼のことをずいぶん買っていましたよね」 「そりゃあ、俺はあいつほどオールセルを調べ尽くした奴を他に知らねえ。今回はまずったが、あいつの腕は認めないとな」

2016-04-26 20:39:29
りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

遠い目をしながら自慢のアフロヘアーをかきあげるジーク。 「それでも、やっぱり私はあいつを許したりできない」 納得いかないという表情を浮かべるリーゼ。 「アタシもそう思うね。ま、ここからはアイツとユニオンの問題さね。アタシらはアタシらのことで精一杯。頑張るしかないのさ」

2016-04-26 20:41:48
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「おっさんなら大丈夫。戻ってきたら、あのうまい魚や、この島で最高の場所を案内してもらわねーとな!」 写真を受け取って上機嫌のカタナが、くるくると飛び跳ねてリーゼに笑みを向ける。あまりに脳天気なその様子に毒気を抜かれ、リーゼもつられて笑みを浮かべた。

2016-04-26 20:43:54
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「カタナ! サツキのことなんだけど」 「ん?」 意を決したように発せられるリーゼの声。カタナは不思議そうな顔で彼女のすぐ目の前に着地する。その後ろで、サツキが不安そうに二人の様子をみつめていた。 「ほら、覚えてる? サツキを預けられる人を探すって言ってたの」

2016-04-26 20:45:50
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頷き、顔を横倒しにしてリーゼの後方に隠れるサツキを見るカタナ。 「もちろん覚えてるぜ! サツキはどうしたいんだ?」 サツキはどちらともとれるような表情でカーヤとリーゼの服の裾をきゅっと握った。 「実は、サツキちゃんさえよければアタシらが面倒みるって話してたんだけどねぇ」

2016-04-26 20:48:10
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困ったように言うマリと、残念そうな顔を見せるジーク。リーゼをここまでのパイロットに育てた二人だ。預けたとして、何も心配することはないだろう。 だが――。 「サツキは、私達と一緒に居たいって――」 「そっか、なら一緒に行こうぜ! いいよな、カーヤ!」

2016-04-26 20:50:19
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「僕としても、リドル夫妻にお願いした方がいいと話しはしたのですが――。サツキさんの決意は固いようです」 「――わたし、みんなと一緒にいろんなところに行ってみたい! いろんな人とお話しして、沢山の人と友達になりたい! お願い、お手伝いもするから!」

2016-04-26 20:54:12
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はっきりと自分の思いを告げる彼女の声は、そこにどれだけの想いがこめられているのか容易に受け取ることができた。 「ああ! これからもよろしくな、サツキ!」 「そうですね。部屋はいくらでも空いてますから、ラピスⅦの準備は、僕が手配しておきます」

2016-04-26 20:57:19
りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

二人の返事に安堵の息をつくサツキ。まだ十歳の彼女にしてみれば、一大決心にも似た告白だったのだろう。サツキの肩に、リーゼとカーヤは優しく手を置いた。 「そ、それでね? サツキはこう言ってるんだけど――その、サツキはみんなとって言ってて、そのみんなの中には、たぶん私も入ってて――」

2016-04-26 20:59:16
りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

突然、珍しく歯切れの悪い物言いをするリーゼ。彼女は俯き気味にカタナに向かって話しかける。 「そういや、俺もリーゼに言いたいことがあったんだ!」 そんなリーゼに対し、カタナはいつもと変わらぬ様子で歩み寄ると、リーゼの片手を握って瞳を覗き込んだ。

2016-04-26 21:01:33
りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

「リーゼも一緒に行こうぜ! 家ならラピスⅦがあるってカーヤも言ってただろ?」 「え!? あ――そ、そう? うん。うん?」 言おうとしていたことを先んじて言われたリーゼは、混乱したようにくるくると表情を変える。そして、次に彼女の口から出た言葉は――。

2016-04-26 21:04:38
りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

「しょ、しょーがないわね! そこまで言うなら、私も一緒について行ってあげる!」 「やった!」 その返事にカタナは大興奮。 リーゼの手をしっかりと握ったまま緑光を展開し、二人で上空に飛んで行ってしまう。 「ちょ、ちょっと!?」 「なあなあ、次はどこに行く!? 絶対楽しいぜー!」

2016-04-26 21:06:17
りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

一瞬で遠ざかる大地に涙目で慌てるリーゼと、満面の笑みで空を舞うカタナ。よほど嬉しいのか、カタナの回転飛行はいつもの速度より明らかに速い。 「カタナさん、凄く嬉しそう――」 「ああ見えて、相当な寂しがり屋ですから」 羨ましそうに空を見つめるサツキに、カーヤは自身の解釈を述べた。

2016-04-26 21:08:00
りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

「ふふっ、あの子も素直じゃないねえ――」 「ま、これが若さってやつさ。俺も負けてられねえな!」 くるくると空を舞う二人――。 いつしか笑顔となったリーゼと顔を見合わせ、両手を広げて青空に向かって飛んで行くカタナ。そしてその向こうには、一筋の飛行機雲が一直線に伸びていた――。

2016-04-26 21:09:30
りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

両手にかかる金属製の錠。ユニオン戦闘艇の無機質なキャビンの中、連行されるクランの囚人達に混ざって腰を下ろすモロー。彼はゆっくりとまぶたを閉じる。その裏に広がる深い闇――。 モローは、闇の中に光る輝きを見ていた。その輝きは、かつて彼が見ていたものより弱々しいが、確かに光っていた。

2016-04-26 21:11:12
りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

突然、何かに気付いたように目を見開くモロー。 彼はキャビンに設けられた小さな採光窓へと目を向ける。そこから見えるのは、青い海と青い空に囲まれた、緑生い茂る美しいオールセルの島々――。 それは彼にとってかけがえのない故郷。彼が誰よりも知り尽くした家――。

2016-04-26 21:13:14