一行小説のまとめ(2013・12~2020・8)
- nashibario
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世の中の穴という穴から泡が止めどなく吹き出し始めたが、この現象の謎の大きさにこれが世界の終わりの始まりだと思った者はいなかった。 #twnovel
2015-04-01 20:06:23世界中のありとあらゆる隙間から闇が溢れ出して、地球が宇宙から姿を消したのは、監視者にとっても予想外の事態だった。 #twnovel
2015-04-12 17:54:39アパートを引き払う時、男は電気を消した暗い和室で、子供の頃に忍び込んだ空き家の中で見たことを突然思い出して悲鳴を上げた。 #twnovel
2015-04-14 21:29:21宇宙船から降りてきた異星人が、「君らの内の1割はすでに我々なのだよ」と宣言して去った一年後、侵略は労せずして成し遂げられた。 #twnovel
2015-04-24 01:04:00社会調査に訪れたこの村で、祭りのことを尋ねると誰もが一様に奇妙な間を置いて話し始めるので、私は言いようのない不安につつまれている。 #twnovel
2015-05-03 21:15:06近年流布しかけては消えた数々の怪人の噂が、北から流入してきたものも南からのものもすべて我が市で止まってしまっているのを突き止めたぼくは、これからどうしていいのか途方に暮れている。 #twnovel
2015-05-12 00:15:00チュンチュチュンと鳴きながら追いかけっこしつつ屋根から舞い降りてきた仲良しな雀たちのあとに青空をかき消して上から降りてきたのは、体長50メートルを超す巨大生物の脚だった。 #twnovel
2015-05-12 22:44:03現場に到着した六人の捜査員と鑑識員がそれを囲んで口々に「なんでこんな」とか「いったいどうやって」などと同じ言葉を繰り返すだけでかれこれ4時間は経過していたので、不審に思った近所の人が警察に通報したが、それを囲む輪が二重になっただけであった。 #twnovel
2015-05-13 00:50:13その幼い兄妹は、歩道の植樹帯に勝手に植えられていた鋭い棘のアロエを無造作に素手でつかむと易々ともぎ取って両手に一本ずつ持ってむさぼり喰い始めた。 #twnovel
2015-05-20 01:08:00手すりの向こうは動く歩道のはずなのに、その長身の男の背がみるみる低くなりついに見えなくなったので驚いて終着点に駆け寄ると、転がり出てきたのはつま先から小さく薄く折り畳まれたあの男だった。 #twnovel
2015-05-20 21:00:34都心から遠ざかりガラガラになった電車でわざわざ僕の両隣に座ったそっくりな二人の女が、どちらも指の関節が一つ多いのに気がついてから滝のような汗が止まらない。 #twnovel
2015-07-01 19:39:50千葉に住んでいる叔母が『吸血鬼だけど観光農園やってる』というラノベを書いたと言い張っているのだが、萌えとか恋愛の要素はあるのだろうか? #twnovel
2015-07-02 00:26:09いじめのクライマックスの舞台とするつもりだった肝試しに彼女が現れなかった理由を、メンバーは後から失禁するほどの恐怖とともに知らされることになるのだった。 #twnovel
2015-07-15 02:04:40その瞬間、彼らの輪の中心で頭を抱えてうずくまる少年の身体から、何かが切れるような“ぶつん”という物理的な音を耳にしたという事実を証言できる者は、生存者の中にはいなかった。 #twnovel
2015-07-26 00:13:53そのとき一行が目にしたのは、微光を放つ苔に覆われた無数の棺の島が、茫漠たる昏い澱みからぼうっと浮かび上がっている光景だった。 #twnovel
2015-07-28 01:26:37