- tasobussharima1
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「そう伝えときますよ。お仕事ですからねェ」 「ついでだが、徳エネルギーの『備蓄』がもう少ない。割当の増加を申請しておいてくれ」 「まったく、人遣いの荒いことで……根城に帰ってきた採掘屋なんてものは、陸に上がった船乗りのようなモンですねェ」 『アタケ』は船長に笑みを向ける。
2016-04-29 22:28:02「船団」を維持するのに必要な徳エネルギーは相当大きそうだなぁ。陸上生活よりも消費量は多いだろうし #徳パンク
2016-04-29 22:30:59「なら我々も、『これから君のようになる』、ということなのかな」 「どうなりますかねェ……」 『アタケ』は少し考える素振りをする。『船団』が結成された時から延々と続くこの計画が仮に成功したとすれば、そういうことになるのか。 「まぁ、船に乗ることぐらいはできるんじゃないですかねェ」
2016-04-29 22:32:07「心の篭っていない慰め、感謝する」 「いえいえ、たいしたことじゃないんでねェ……それじゃあ、自分はこれで」 「次は、本気で指し合えることを願うよ」 「何のことやら」 「……まぁいい。では、我らの勝利の為に」 「『あなた方の』勝利の為に」 挨拶を交わし、『アタケ』は退室する。
2016-04-29 22:36:00あれだけ人が死んでれば、入植する場所など幾らでもありそうなもんだけどね… 解脱し損ねる程度には徳の低い人間、ピルグリム・ファーザーズをする気はないか #徳パンク
2016-04-29 22:37:50彼が退室した後。 「……つまり君は相変わらず、自分を勝利の頭数に入れる気は無いのだな」 船長は帽子を目深に被り、一人呟く。 船団の謀略は、言わば壮大なマッチポンプだ。そのための汚れ役を、彼はたった独りで担っている。安心して暮らすことのできる大地を手に入れる。全ては、そのために。
2016-04-29 22:40:01計画は、大きく三つの段階に分けられる。第一段階。集落内における不和の醸成。徳エネルギーパイプラインに対する破壊、及び妨害工作。ここまでは、事は順調に推移している。 そして……第二段階。第一段階の成果による、『得度兵器の渡海侵攻の誘発』。徳島に異変があれば、彼等は必ずや海を渡る。
2016-04-29 22:44:02そして、最終段階。船団の全戦力を投入じた、得度兵器の水際での迎撃。集落へ恩を売り、得度兵器達には渡海侵攻の失敗という記憶を刻む。 それは、最早机上の空論ではない。 仮に阻止に失敗したとしても、船団は海へ逃げることが出来る。得度兵器といえど、徳島支配を完了するには時間も掛かろう。
2016-04-29 22:48:37またなかなか難易度の高い手法を。というかそこまでしても、マロ氏がパイプラインの維持を放棄したら後は延々と得度兵器の侵攻に耐える日々が始まるのでは……? #徳パンク
2016-04-29 22:50:02成功すれば「徳島」の安全性を確かなものに、失敗しても敵の優先順位が変わると… それ、別に島の住民もノリそうなもんだけど…余裕の無い中でそういう発想はしませんよね、僕もやらない #徳パンク
2016-04-29 22:52:48酷く婉曲な、しかし誰の徳をも損ねることの無い作戦。ただ一人、第一段階の工作に当たる男を除いて。それが『船団』の計画の全容だった。 どうしようもなく稚拙で、穴も多い。だが、それは彼等の希望だったのだ。 希望は止まらない。例え、どれだけの人々を絶望に追い遣ろうとも。
2016-04-29 22:56:02