【日本人の政治的反応度②】悲惨な宗教戦争の反省から生まれた西欧の「政教分離(教会と国家の併存)」の考え方が皆無な日本人/~軍人勅諭の”逆転”が軍隊内に政争をもたらし、無統制な集団へと化した日本軍~

イザヤ・ベンダサン『日本教について~あるユダヤ人への手紙~』/日本人の政治的反応度/二十余年の放置/88頁以降より抜粋引用。
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山本七平bot @yamamoto7hei

①以上の私の言葉に対して、日本のキリスト教徒は非常な反発と嫌悪を示し、この言葉を一種の「利敵行為」のように受け取り、非常に温厚な人でも恐らく「今まで放置してきたという点では一言もない、反省はする。しかし今の時点でそういう事を言われてはまずい」というような返事をすると思います。

2016-04-26 23:09:15
山本七平bot @yamamoto7hei

②これが典型的な日本人の考え方で、この「まずい」はもちろん政治的にまずいという意味で、相手の言っている事の正否より先にその言葉の作用する政治的効果(もしくは逆効果)だけが突嗟に判断され、それにのみ気を奪われて他の事は一切耳に入らなくなります。<『日本教について』

2016-04-26 23:38:51
山本七平bot @yamamoto7hei

③まさに「天才」の証拠ですが…我々凡人には何とも理解に絶する事になります。 この天才中の天才はといえば、それは日本の職業政治家ですが、この人々は自らの言葉をその内容よりも、それによって生ずる政治的効果と逆効果を瞬時に判断して発言するのですが、それは真に驚嘆すべき神技です。

2016-04-27 08:09:09
山本七平bot @yamamoto7hei

④更に日本の新聞はこの効果・逆効果の増幅装置ともいうべき役割を演じているので、これらが織りなす諸「効果」の交錯はまことに霊妙不可思議で、まさにモーツァルトの交響曲のように手が届きそうでいて到底届かないものですが、さてその言葉の内容となると、全く理解し難いのが普通です。

2016-04-27 08:38:51
山本七平bot @yamamoto7hei

⑤これは当然の事でしょう。 もっとも時には増幅装置が効果を上げすぎて「ステューピッド」といった呟きが国会解散の原因になるというまことにステューピッドな事も起ります。 従って、これから引用する様々な声明文なども全て…常にこの点に留意して読んでいただかないと困ります。

2016-04-27 09:09:16
山本七平bot @yamamoto7hei

⑥以上にのべましたように、日本においては宗教上の問題は実は政治的問題であり、これを裏返せば政治上の問題もまた宗教的問題になって、両者を分けることが不可能に近いことがおわかりでしょう。 前便で申し上げました五・一五事件は政治上の問題ですが、同時に宗教的問題です。

2016-04-27 09:38:52
山本七平bot @yamamoto7hei

⑦一方、この「靖国問題」もこれからのべます事件も、本来は宗教的問題であるべきはずのものですが、これが政治問題としてはじめて取り上げられたという点では、あくまでも政治問題なので、これを五・一五事件と対比してみたいと思います。

2016-04-27 10:09:05
山本七平bot @yamamoto7hei

⑧私がこの二組を取り上げましたのは、日本では通常この二つが、全く相反するグループ、両極端だと考えられているからです。 五・一五事件は、戦前、右翼的・国粋主義者・軍人が起したもの、 これからのべます事件は、戦後、左翼的・民主主義者・キリスト教徒が起したものです。

2016-04-27 10:38:51
山本七平bot @yamamoto7hei

⑨従ってこの両端と思われる二つを眼鏡として、一種の「実体鏡」にして、その対象すなわち彼らが共に忠誠(=信仰)を捧げている対象を見れば、日本教の実体が明らかにできるのではないか、と考えたからです。 両者には、さまざまな面で非常に面白い共通点があります。

2016-04-27 11:09:08
山本七平bot @yamamoto7hei

⑩戦前には『軍人勅諭』というのがありまして 「軍人は政治に干与(かんよ)すべからず」 と規定されていたのですが、いつしかこれが逆転して 「政治(政府・政治家)は軍事(軍人)に干与すべからず」 になりました。

2016-04-27 11:38:50
山本七平bot @yamamoto7hei

⑪しかし軍事的な問題を非政治的に解決する事は当然日本人には不可能なので、軍人の方は積極的に政治に干与し、ついには軍隊という名の巨大な政党に化していきました。 それが結局は軍隊内に「政争」をもち込む結果となり、軍隊として機能しえなくなるなどとは彼らは夢にも考えていなかったのです。

2016-04-27 12:09:04
山本七平bot @yamamoto7hei

⑫1920年頃すでに、日本の軍隊は内部的政争のために軍隊という名に値しないほどの無統制な団体と化し、総合的計画のもとに機能的に行動することが不可能な支離滅裂の小政党群の集合体のようになり、この政党群が日本を破滅させたわけです。

2016-04-27 12:38:52
山本七平bot @yamamoto7hei

⑬戦後の日本では「政教分離・信教の自由」が盛んに主張されていますが、これが前述の『軍人勅論』と似た形をとって来たのも、考えてみれば当然のことかも知れません。

2016-04-27 13:09:03
山本七平bot @yamamoto7hei

⑭西欧における政教分離が、遠くは悲惨を極めた宗教戦争――ラ・ヌー(フランス宗教戦争の新教徒軍の参謀長)が 「不思議な時代です。我々軍人は平和を主張し、宗教家が戦争を主張しています」 と歎いたあの時代への反省から、教会が教会(宗教団体)として政治に干与する事は絶対にせず、(続

2016-04-27 13:38:51
山本七平bot @yamamoto7hei

⑮続>政治はあくまで個人として参与し、これによって宗教団体の方も政争の導入による自己崩壊を防ぎ、一方政治は、宗教団体の加入による狂信的な政治対立を防ぎ、教会と国家の併存という形になったわけですが、日本人が「政教分離」という場合、こういう考え方は全くないように思われます。

2016-04-27 14:09:18
山本七平bot @yamamoto7hei

⑯従って軍人の場合と同様「政治(政府)は宗教…に干与してはならないが宗教団体は政治に干与してよい」という形になり、その結果、宗教団体内に政治的対立をそのまま持ち込んで収拾がつかなくなり、最終的には…「信教の自由」を主張する団体内に「信教の自由」がないという状態にまでなっています。

2016-04-27 14:38:58

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