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フォア・ザ・ブルースカイ #7(完結)

ようやく、提督が主人公をする環境が整った
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劉度 @arther456

(これからSSを投下します。TLに長文が投下されますので、気になる方はリムーブ・ミュートなどお気軽にどうぞ。感想・実況などは #ryudo_ss をお使いいただけると大変ありがたいです。忙しい方はtogetterまとめ版をどうぞ。それでは暫くの間、お付き合い下さい)

2016-05-04 21:01:16
劉度 @arther456

【フォア・ザ・ブルースカイ】#7

2016-05-04 21:02:13
劉度 @arther456

オタル市。かつては北海道有数の大都市であったが、深海棲艦や魔法生物、ネオケシ畑紛争などによって、すっかり人が減ってしまった街だ。それでもまだ辛うじて、この都市には活気が残っている。「へぇ。初めてきたけどいい街(とこ)じゃないの……」観光客の女が呟いた。1

2016-05-04 21:03:04
劉度 @arther456

「ほら、急ぐぞ」連れの男が女を急かし、二人は何かを探しながら歩く。そんな2人とすれ違う、物騒な集団があった。大型の蛮刀やショットガンで武装した男たちは、紛れも無く野生動物のハンターだ。道民たちは彼らから離れて道の端を歩いている。彼らに近づけば面倒事になるのは確実だからだ。2

2016-05-04 21:06:10
劉度 @arther456

だが、ハンターたちは、意外にもカップルに手を出さなかった。「おい、こっちの道でいいのか?」リーダー格の、熊の毛皮をマントに仕立てて羽織った大男が、隣のハンターに訊く。「はい。多分、あのアパートです」「あそこにあの野郎が住んでるんだな!よぉーし!」ハンターたちが色めき立った。3

2016-05-04 21:09:05
劉度 @arther456

彼らは先日、居酒屋でダルスに叩きのめされた荒くれ者たちだった。たった1人に叩きのめされた彼らのメンツは地に落ち、狩りの仕事もこなくなった。表を歩けば後ろ指を指される彼らは、ダルスの家に押しかけることにしたのだ。要するに、逆恨みである。4

2016-05-04 21:12:09
劉度 @arther456

「しかしそのリスト、本物なのか?」リーダーが、子分の持つ住所のリストに目を向ける。あの男はあちこちに部屋を借りているらしい。「へい、この中のどれかに住んでるって」「ちゃんとした情報屋なのか?」「ええ。パット見、新聞配達員でしたけど、色々知ってましたから、間違いないです」5

2016-05-04 21:15:03
劉度 @arther456

「ガセだったら承知しねえぞ」「大丈夫っすよ。このリスト、高かったんですから」「なんだぁ……?リストだぁ……?」「え?」子分が振り返る。さっき通り過ぎたカップルの女の方が、真後ろで拳を振りかぶっていた。「一体何のリストだよてめーっ!」「グワーッ!?」女の拳が、子分を吹き飛ばした。6

2016-05-04 21:18:02
劉度 @arther456

「あぁ!?」「何だてめぇ!?」ハンターたちが驚き、慌て、気を取り直して武器を構える。彼らに対し、女は拳を突きつけて叫んだ。「せっかくの休暇が潰れたのはアンタたちのせいね!何があったか知らないけど、人を狙ってるなら諦めてさっさと帰りなさい!」7

2016-05-04 21:21:02
劉度 @arther456

「んだとぉ、テメェ……!?」リーダーは、この女が彼らの企みを知っていると悟った。しかし、知られたところで相手は女一人。「構うことはねえ!やっちまえ!」「おおっ!」「ヒャッハァー!」ハンターたちが女に飛びかかる!それに対し、女は拳を振り被った。金色の光が拳を包む。闘気だ!8

2016-05-04 21:24:03
劉度 @arther456

「パワーウェイブ!」「グワーッ!」女の放った気の奔流が大地を駆け、剣を持ったハンターが吹き飛ばされた!「エッ!?」ハンターたちの足が止まる。気を纏った女は、懐から黒い手帳を取り出した。「警視庁銃器対策部隊所属、足柄よ!男なら、拳一つで勝負せんかい!」9

2016-05-04 21:27:03
劉度 @arther456

「警察ぅ……?」「知るか、囲め!」ネオホッカイドウにおいて警察は無力である。ハンターたちは再び駆け出した。足柄は手帳をしまい、ハンターたちを迎撃する!「うっおーっ!くっあー!ざけんなーっ!」圧倒的である!足柄は飢えた狼のごとく、ハンターたちを蹴散らしていく!10

2016-05-04 21:30:07
劉度 @arther456

「おいおいおい、なんだアイツ……!」不利を悟ったリーダーは、足柄に背を向けて逃げようとしたが、その前に一人の男が立ちふさがった。足柄の連れの男だ。「おっと、逃げるなよ犯罪者。銃器対策部隊所属、甲斐三利だ。凶器準備集合罪、暴行未遂、その他諸々でテメエらを現行犯逮捕する!」11

2016-05-04 21:33:06
劉度 @arther456

「うるせえっ!」リーダーが金棒を振り下ろした。 「おっと!」甲斐は金棒を避ける。アスファルトが砕け飛び散った。甲斐はリーダーの手首を抑えた。「離せっ!」暴れるリーダーの力をいなし、足払いをかけ、甲斐はリーダーを投げ飛ばす!「グワーッ!」巨体が宙を舞う!「足柄ァ!」12

2016-05-04 21:36:03
劉度 @arther456

リーダーの落下地点では、既に他のハンター達を蹴散らした足柄が、飛んでくるリーダーへの追撃体勢に入っていた。「パワーチャージ!」「グワーッ!」足柄の体当たり!リーダーが吹き飛ぶ!落下地点に足柄は駆ける!「パワーチャージ!」「グワーッ!」足柄の体当たり!リーダーが吹き飛ぶ!13

2016-05-04 21:39:02
劉度 @arther456

落下地点に足柄は駆ける!「パワーチャージ!」「グワーッ!」足柄の体当たり!リーダーが吹き飛ぶ!落下地点に足柄は駆ける!「パワーチャージ!」「グワーッ!」足柄の体当たり!リーダーが吹き飛ぶ!壁際まで追いつめられても、足柄の動きは変わらない!14

2016-05-04 21:42:03
劉度 @arther456

「ほどほどにしとけよ!」酷い打撃音を背に、甲斐は階段を登る。先程、ハンターたちが目指していたアパートだ。とある部屋の前に立ち、チャイムを押す。少し間を置いて出てきたのは、アイスブルーの瞳が印象的な外国人女性だった。彼女に甲斐は手帳を見せる。「どうも、奥さん。警察です」15

2016-05-04 21:45:03
劉度 @arther456

ドアが閉まりそうになった。甲斐は慌ててノブを抑える。「待って!ちょ、待って奥さん!」「離して……っ!」「別に逮捕するとか、そういうんじゃないから!足柄ー!おーい、足柄ー!」「パワーチャージ!」「グワーッ!」足柄の体当たり!リーダーが吹き飛ぶ!「いつまで永パやってんだ足柄ァ!」16

2016-05-04 21:48:07
劉度 @arther456

「あのね、奥さん!旦那さんに頼まれて、アンタを保護しにきたんだ!俺らは!」「嘘よ、あの人が警察なんかに……!」ドアをこじ開け踏み入ることは容易いが、そうしたら彼女は舌を噛み切りそうな勢いだ。落ち着かせなければならない。「落ち着け!伝言!伝言も預かってるから!」17

2016-05-04 21:51:07
劉度 @arther456

「……何?」彼女の警戒は緩まない。その様子を見て、聞かされた伝言で本当に落ち着いてくれるのか、甲斐は非常に不安になった。だが、他に方法もない。「あの、アンタの旦那さんがよ……カナリアの歌を、もう一度聞きたいって」訝しみながら、甲斐は呟く。すると彼女は青い目を真ん丸に見開いた。18

2016-05-04 21:54:03
劉度 @arther456

ドアの抵抗が甲斐の手から消える。「おうっ!?」後ろに力をかけていた甲斐は、勢い余って倒れそうになった。が、なんとか踏み止まる。彼女はドアを押さえつけるのを止めていた。「……信じて、くれるのかい?」甲斐の問いかけに、彼女は無言で頷く。涙が頬を伝って流れていった。19

2016-05-04 21:57:04
劉度 @arther456

「よっしゃあ!そうと決まったらさっさと逃げっか!えーと、鳥かごとかの準備がいるよな?」「え?」女性は首を傾げ、それから、何かに気がついて笑った。「大丈夫よ。カナリアはどこでだって歌えるから」「お、おう?」甲斐も首を傾げたが、彼女の意図には気付けなかった。20

2016-05-04 22:00:14
劉度 @arther456

ルモイの町並みが離れていく。海の上からあの町を見るのは、これで2度目だ。1度目は彼女が側にいた。今はいない。船内に携帯電話のメロディが響く。「もしもし?……はい、はい。分かりました。ありがとうございます。詳しい話は後でしますから、それでは」提督は電話を切った。22

2016-05-04 22:03:05