からみ酒

❥❥Blue @sweetblue83

・・からみ酒・・ １． （ただいまぁ） 小さく呟いてドアを開ける。ここのとこ仕事やら付き合いやらですれ違いの日が続いてる。 それでも何も言わへん彼女に感謝しつつ、ちょっと寂しかったりもして。 今日は久々に早く上がれて、ちょっとしたサプライズにと何も言わんで帰ってきた。

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２． （あれ？） ビールの空き缶がリビングのテーブルに１本。アイツ、飲まれへんのに。 （どこ行ってん？） 立ち上がったとき、部屋から物音が聞こえた。 （あ、） 赤くなった顔でギターを抱える彼女。 「１，２，３…」 ギター譜数えよる？ 一本一本指を置く。

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３． ギャーンΣ 妙な音。 （全然抑えれてへん） 「１，２，３…」 首をひねって数え直す。 なんかおもろなって、しばらく眺めとくことにした。 ＊＊ ガッ// 変なとこ触っとるでー ギューンΣΣ 抑えるとこちゃう 「壊れてる」 壊れてへんわ！（笑）

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４． 「エレキか」 そーや。それはエレキや。せやけどひっくり返してもそこにスイッチはない。 「あ、マシーンだ」 マシーン…。てか、俺何回か教えてんけどな。 「あった、スイッチ。」 そ、正解。ヘッドホンしてもっかい弾いてみ、あ！アカン！ 「うわわっっ！！」

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５． 慌ててヘッドホンを外す。ごめん、大音量のままやった。 「…、」 スタンドに立てた。そろそろ声かけるか。 「今日はここまでにする。いつまでも弾いてもらえると思うな」 え？ 「言っとくけどすぐ弾けるようになるし」 指を指す。

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６． なんやなんや（笑）もう少し隠れとこ。 「わたしピアノとか弾けるし。リズム感もそこそこあるし」 ブツブツと。なぁ、俺のギターに絡まんといて。吹き出しそうになって口を抑えた。 「お前が章ちゃんに気に入ってもらえてるからってさ、」 ギター？

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７． 「わたしだってそうだもん」 へ？？ 「だから…だから」 「…うらやましくないもん」 ストンと、ギターの前にしゃがむ。 ちょ、 「お前が一日一回はギュッてしてもらえてても」 え？ 「わたしより、長い時間一緒に過ごしてきてても」 何かトーンが…。

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８． 「お前が…わたしが知らない章ちゃんのこといっぱい知っててもぉ」 「これから先も、ずっと…大切にしてもらえ…っっ、」 肩が、揺れた。 「ズルいよぉ…」 「うぉい！何泣いとんのよ？」 彼女の前に飛び出す。泣き顔のまま口開けてきょとんとする彼女。

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９． 「…わたし、飲み過…」 「ぎてへん、俺、本物っ！生身っ！」 「章ちゃん…」 「おん、ただいま。」 ぽろぽろっと滴が落ちた。 「しょぉちゃーん…、」 「ごめんなぁ、ほっといて。」 クシャクシャっと頭を撫でる。 「ごめんなさぃ…」 「何がぁ？」

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10． 「ギター、勝手に触った…、」 「えーよ、ええって」 「…壊したの。音、鳴らない」 「壊れてへん、大丈夫や」 「ほんと？」 「ホンマホンマ。全然大丈夫」 「しょぉちゃん、」 「ん？」 「ギターになりたい…」 小さくしゃっくりをあげる。

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11． 「ピックでもいいし、マシーンでも…、」 「わーかった！」 抱きしめて背中を軽く叩く。 「謝るから、何にもならんといて」 「ギュッてする？」 「おん、するする」 「ずっと一緒にいる？」 「おるよ。ずーっと」 「ギターより大切？」 「比べんな、」

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12． チュッ、キスをした。 「ギターにはせーへんで？」 「章ちゃん」 「なっ♡」 「してるの見た」 あぁ…。 ＊＊ 「なーぁ？寂しかったらギターに言わんと俺にゆーて」 「…ん」 コクッと頷く。 「俺のギターとも仲良ぉしたって？」 「、」

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13． ちらっとギターに横目をやる。 「……」 「嫌うな（笑）」 「じゃあ、…教えて」 「ええで？」 ギターを抱えさせて後ろから包んだ。 pic.twitter.com/gGc0bLKKO2

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