- tasobussharima1
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代替不能の設備を内蔵するため、合理的な得度兵器達が唯一、「効率」を放棄し製造した一点物(ワンオフ)。結果としてそこに現れたのは、人類最盛期の技術力の『更に上』を投じた、今や理解不能なテクノロジーによって駆動する『何か』。外見こそ既存得度兵器と似てはいるが、その中身は別物であった。
2016-05-05 21:28:02そして本来ならば、そんなものがこの程度の小競り合いに投じられて良い筈はなかった。 だが、得度兵器達は、『焦って』もいたのだ。焦り、というのは人間的に過ぎる表現だが、肥大化する不確定要素によって彼等の判断基準が変化したのは事実だった。 次第に悪化する解脱効率。得度兵器の損耗増加。
2016-05-05 21:32:14いままでの得度兵器は基本的にかつてのトリニティ・ユニオン製の機械の改良だったけどタイプ・シャカニョライは正真正銘得度兵器のオーバー徳ノロジーを一から注ぎ込んだワンオフ機なのか…… #徳パンク
2016-05-05 21:32:18それに伴う改修と、計画の見直し。止めのエネルギー源の寸断と、解脱に抗う人間達。より強力な得度兵器を製造するため、『実戦データ』が必要、という事情もあった。 そして彼等は、状況の単純化を選択した。最大戦力による障害の排除を選択したのだ。
2016-05-05 21:37:01タイプ・シャカニョライに限らず全体的に改修が進んでいるわけで、ガンジー達もどこまで同じやり方を続けられるのか…… #徳パンク
2016-05-05 21:39:43タイプ・シャカニョライは突撃する艦隊の前で悠々と腰を下ろし、転法輪印の印を組む。その背後に徳エネルギーの輪光が現れる。水上に浮かんだまま、説法形態へと移行したのだ。 「……こいつは、何かが違う」 海賊達も漸く、違和感を抱いた。他の得度兵器とは、行動原理からして違う。
2016-05-05 21:42:26だが、既に遅い。艦隊の周囲に、輝く蓮の花が浮かび始める。徳エネルギーフィールドによる局所解脱現象。タイプ・ブッダが三体がかりで行うそれを、この機体は僅か一体で実現する。 そしてその有効範囲は、水上を移動する艦隊全てを捉える程に広い。
2016-05-05 21:48:56うわあああ!移動寺院ガンダーラをほぼ全滅させた徳エネルギーフィールド!ここで、それも一体で使用できるのか! #徳パンク
2016-05-05 21:50:58一人でも解脱すれば船体が破壊される程のエネルギーが発生する。ならば、『全員を一度に解脱させれば良い』。 徳カリプスの生き残りである海賊達の中には当然、物理的解脱に耐性を持つ人間も含まれるだろう。だが、徳エネルギー兵器の照射ではなく、徳エネルギーフィールド内の解脱連鎖ならば。
2016-05-05 21:53:09覚醒者も徳エネルギーフィールド中での連鎖解脱なら徳エネルギーを制御しきれずに解脱してしまうのか #徳パンク
2016-05-05 21:55:09それは、得度兵器達が『ガンダーラ』を初めとする『実験』によって得た結論であった。仮にこの艦隊に対しても有効ならば、何れはこの機構を多くの得度兵器が装備するようになるのだろう。 徳エネルギーフィールドによって、艦隊の動力が停止する。だが、陸上とは異なり、船は慣性によって動き続ける。
2016-05-05 21:59:29徳エネルギー効率はハンパなく悪そうだからそんなにバンバンは使えないにしても、これを多くの得度兵器が搭載するようになったら厳しいことになりそうだ #徳パンク
2016-05-05 22:01:40動力を失った船を捨て、海賊達の一部は海へと身を投げる。タイプ・シャカニョライのセンサ群は、その様子をただ見つめている。何故、人は救いを目前にしながら、命を捨てるような行動をするのか。彼等の結末は、変わらないというのに。そう、思い悩みながら。
2016-05-05 22:05:10