MTG黎明期の話（第7版）

フジケン @fujiken_UTG

【1997GP東京】このロチェスター・ドラフト、すでに現在のMTGでは行われないルールですので、わからない方はちょっとググってください。で、当時の我々も練習でちょっとやってみただけで、公式のルールとか定石とか完全にチンプンカンプンな状態でした（少なくとも自分は #MTG黎明期の話

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【1997GP東京】なので、開始前にヘッドジャッジであるロン・フォスター氏（通訳だけでHJはアンドリュー・フィンチ氏だったかもしれない）に質問がありました（たしか真木さんか塚本かどちらか）。「対戦の組み合わせは卓内ですか？ランダムですか？」非常に重要な質問です #MTG黎明期の話

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【1997GP東京】ロン氏の答えは「ドラフトしたデッキでランダムマッチングのスイス6回戦を行います」でした。つまり、ドラフトしたテーブルのメンバーと当たる可能性は低いということです。にしても、ドラフトテーブル外のプレイヤーとマッチするとか普通は考えられません #MTG黎明期の話

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【1997GP東京】訂正：ヘッドジャッジはトム・ワイリー、アンドリュー・フィンチはトーナメントコーディネーター、ロンさんは通訳でした #MTG黎明期の話

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【1997GP東京】ともかく公式からの声明はそのような感じだったので、発表されたドラフトテーブルについた途端、山村さんという関西の有名プレイヤーからある提案がありました。「どうせ当たる確率が低いなら、徹底的に協調ドラフトしませんか？」至極妥当な提案です #MTG黎明期の話

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【1997GP東京】同じテーブルだった塚本、板谷といったメンバーや他の人にも依存はなく、協調ドラフトをすることにはなりましたが、問題はその協調の方法です。普通のドラフトと違ってカードは公開情報なのでそれは問題ないのですが、もちろん会話は禁止です #MTG黎明期の話

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【1997GP東京】「実はこういうものを作ってきたんですよ」と取り出したのは、8種類のカラーコンビネーション（白青とか黒緑とか）が書かれた紙でした。「これをクジ引きで順番を決めて、各自選ぶというのはどうですか？」この人どれだけ準備がいいんだ、と思いました #MTG黎明期の話

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【1997GP東京】さて、ミラージュ・ビジョンズのリミテッド環境を一言で申しますと「赤黒最強」です。「ケアヴェクの火吹き」「火葬」「闇への追放」「黒ギルドメイジ」「火炎破」といった優良コモンが盛りだくさん。最低でも赤にあらずんば人にあらず、というレベルでした #MTG黎明期の話

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【1997GP東京】もちろんみんな黒赤をやりたい。でも、協調するからそれをできるのは一人。運命を左右するクジ引きの結果は…8番。ビリ。オワタ。インチキ…！イカサマ…！某マンガばりにぐにゃぁとなりました。これは勝てない、と #MTG黎明期の話

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【1997GP東京】一番のクジを引いた人はもちろん黒赤、そして次々と赤黒絡みのコンビネーションを選ばれ、最後に自分の手元に残された紙に書かれた色は「白緑」でした。なんなのこれ…ちょっとは飛んでそうな白はともかく、サイズ微妙で側面攻撃に乏しい緑とかどうすんのかと #MTG黎明期の話

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【1997GP東京】さすがに1対7の状況で協定破りをするわけにもいかず、ドラフトは静かにスタート。ところが、どういったわけかレアや優良アンコモンが白と緑にやたらと固まる。しかも白と緑を選ばされている人間が少ないので、ヘタするとグルっと一周回ってきたりする #MTG黎明期の話

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【1997GP東京】今の基準でいえば実用には耐えないが、「ウークタビ・ワイルドキャット」「梢のドラゴン」「大天使」といった強力カードが山盛りデッキにはいった超絶白緑が完成。もちろん黒赤もそれなりには強いが、バラけている分デッキパワーは抑え目でした。寡占バンザイ #MTG黎明期の話

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【1997GP東京】が、一回戦のペアリングが発表されると会場は阿鼻叫喚に包まれました。なんと一回戦の対戦相手は必ず卓内のプレイヤーだったのです。当然「事前の話と違うじゃないか」「ペアリングし直せ」と抗議の声が上がりましたが、意外にもヘッドジャッジこれをスルーｗ #MTG黎明期の話

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【1997GP東京】まあ普通に考えれば当たり前なんですが、最初にそう聞いたからなあ…と、なんとなくモヤモヤしながら一回戦を開始したわけです。試合的には特に面白いこともなく、順調に卓内スイスドローが行われて（笑）三連勝、ベスト8に王手をかけました #MTG黎明期の話

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【1997GP東京】三回戦が終わったら今ならもう1回ドラフトをするのですが、当時はそのままのデッキで今度こそ卓外のプレイヤーとマッチングし始めます。というわけで事実上の天王山（BEST8がプロツアーの権利獲得）の四回戦を無事制し、初のPT権利を獲得しました #MTG黎明期の話

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【1997GP東京】その時四連勝したのが（うろ覚えですが）、自分　射場本　松尾　石井の四名。もちろん全員初プロツアー。そもそも、プロツアーに参加したことのある日本人なんて数人ですから当たり前ですが。優勝した時よりも、全勝四人になった瞬間が一番印象に残ってます #MTG黎明期の話

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【1997GP東京】全勝四人なので当然残りの二戦はその中でしか当たらず、2IDで終了。残りの四名は5-1の成績が必要になります。最終的には塚本　鶴田　中村　丹羽の四名がBEST8にも残ったわけですが、最終戦を4-1で迎えたプレイヤーの中に真木さんがいました #MTG黎明期の話

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【1997GP東京】目を閉じて椅子に座り精神集中している真木さんの姿は、今の飄々とした真木さんとは比べ物にならないくらいのガチっぷりでした。年齢も近いので仲が良かった自分は恐る恐る「最終戦頑張ってください」と声をかけましたが真木さんは黙って頷くのみでした #MTG黎明期の話

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【1997GP東京】さて決勝のロチェスタードラフトですが、実はこのドラフト、秘策がありました。それは「白青」を取れ、でした。前の日の晩に丹羽と「どうせまともにやってもあの人らに勝てないから、黒赤争奪戦してる横でひたすら白青を取ろう」という作戦です #MTG黎明期の話

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【1997GP東京】白青の強みはとにかく徹底したバウンス、飛行、そして「霧の騎士」です。一見するとデメリに見えるこの能力ですが、なんと相手の騎士を倒すことができました。ミラージュブロックは側面攻撃をフィーチャーしているの主力が騎士になることが多かったのです #MTG黎明期の話

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【1997GP東京】そしてドラフトは始まり、鶴田さんや塚本といった強豪プレイヤーは黒赤一直線、ゴローはキャラ通り緑、白青は目論見通り入れ食い「霧の騎士」や「水門」もピック成功で万々歳…だったのですが、そこに立ちはだかったのがあの男、宇宙忍者こと射場本正巳でした #MTG黎明期の話

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【1997GP東京】もちろん当時から知合いでしたが、現WotC社社員の「シャバ」こと射場本はとにかく何をしてくるかわからない男でした。奇抜なデッキや戦法を使うのがなによりも大好きで、その上で勝ち負けにもこだわってくる手強い男です。その彼が準々決勝の相手でした #MTG黎明期の話

フジケン @fujiken_UTG

【1997GP東京】ところが、ドラフト中の様子がどうもおかしいのです。やたら防御的なカード（壁とか）や、効果的に誰も見向きもしない「幻視の魔除け」や「繁栄」を喜々としてピックし続けるのです。ですが、彼の目論見はすぐに判明しました。そう、「ライブラリー破壊」です #MTG黎明期の話

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【1997GP東京】あのころの自分には「リミテッドでライブラリー破壊を組む」発想がなく、正直動揺しました。「エンドにビジョンチャーム、4枚削ってね」「メインで繁栄、お互い5ドローね」みるみる間にライブラリーが削られていきます。いったい何が起きてるんだろう、と #MTG黎明期の話

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【1997GP東京】幸いにして「繁栄」のおかげでハンドは潤沢、なんとかフル展開して次の一撃で勝利、というところまで追い詰めました。しかしその返しで「ん～、じゃあフルタップで繁栄！」…かろうじてライブラリーには1枚のカードが残りました。ギリギリの勝利です #MTG黎明期の話