チョコレートアソート

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【12】 「……ありがとう。でもオレ、チョコ苦手やねん」 「あ、うん……わかってる。ゴメンね」 大倉くんの顔が見れず、俯いたままそう答えた。 やっぱり、ダメだった。頭でそう理解しかけた時、また聞こえた声。

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【13】 「たくさんは食べられへんから、沢村さん、一緒に食べてくれへん？」 「……え？だって……、好きなコからしか受け取らないって……」 「うん、だから。それ、ちょうだい？」

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【14】 それってーーー 「好きやねん。オレと付き合ってください」 真面目な顔で、まっすぐに私を見つめて、彼は言った。

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【15】 あまりに突然な展開に思考が追いつかず、やっとのことで一言「……はい」と告げると、私の大好きな柔らかい笑顔が見えて、優しいキスが降ってきた。 【チョコレートアソート・2粒目〜milk ganache・終】 pic.twitter.com/EqVZeiAtUH

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【チョコレートアソート・3粒目〜orangette】 昼休み、食堂で一人お弁当を食べる背中を見つけた。 「めぐみちゃん、おつかれー！……あれ、なんか元気ない？」 #エイトで妄想

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【2】 普段から騒いだりするタイプではない彼女だが、今日はなんだか悩んでいるような、落ち込んでいるような気がして、そう尋ねた。 「…あ、丸山くん。そんなことないよ、元気元気！」 俺の問いに、彼女は取り繕うような笑顔を見せた後、一拍おいて俺の思いもよらないことを口にした。

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【3】 「丸山くんこそ、……元気、ない？」 どうして気づかれたのか、図星を指され驚いた俺は、苦笑いしながら言った。 「……あは。恋の病、ってとこかな」

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【4】 それは昨日のこと。 息抜きに、飲み物を買いに自販機へ向かうと、その先に信ちゃんの姿が見えた。 信ちゃんは俺の二年先輩で、大らかで面倒見がよくて、後輩から慕われている。 おまけに仕事も出来て、上司からの信頼も厚い。

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【5】 俺も信ちゃんが好きで、よく一緒に飲みに行ったり、公私共に相談に乗ってもらったりしていた。 声を掛けようとすると、信ちゃんの他に誰かがいることに気づいた。 一緒にいたのは、麻美ちゃん。俺の一年後輩で、俺の恋の相手。

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【6】 彼女はほんのり顔を赤く染め、何やら小さな紙袋を信ちゃんに手渡した。 信ちゃんは袋の中を覗くと、笑顔で麻美ちゃんの頭をくしゃくしゃと撫でる。 お互いがお互いを見つめる顔がすごく優しくて、それを見ていた俺の胸は、ずきん、と痛んだ。

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【7】 そして今日、麻美ちゃんは会社を休んでいる。 モヤモヤした気持ちを抱えたまま、俺は一日を過ごした。

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【8】 そろそろ終業時間を迎えようという頃、俺のモヤモヤの原因が、声を掛けてきた。 「マル、頼まれてくれへんかなぁ」 「…何？」 「今日、麻美、熱出してもうて。会社休んでんねんけど」 熱？カゼでもひいたんかな…。って、信ちゃんがそんなこと知ってるってことは、やっぱり…。

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【9】 「あいつ、月曜に提出せなあかん書類、置いて帰ってんねん。マル、届けてやってくれへん？俺今日、終わってから用事あんねん」 ……はぁ⁈ 「信ちゃん！何考えてんの⁈彼女の家に他の男行かせるって……」 掴みかかりそうな勢いで言う俺に、信ちゃんは眉間にシワを寄せた。

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【10】 「マル……お前、なんか勘違いしてへんか？」 「……勘違い？」 「俺と麻美はいとこ同士や」 ……い と こ ぉ⁈ 「信ちゃん、それホンマ⁈」 「なんでウソつかなアカンねん。 ……お前、麻美のこと好きやろ？」 「なっ！なんで知ってんのーーー⁈」

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【11】 「お前、わかりやすいねん。ほら、行ったって。 たぶん麻美も待ってると思うけどなぁーーあっ、おい！まだ終わってへんぞ！」 マルー！と叫ぶ信ちゃんの声を背に、終業時間も待たず、俺はかけ出した。

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【12】 ピンポーン ………… インターホンを鳴らしても、反応がない。 言うても、女の子の一人暮らし。警戒するか。 ダメもとで、“今、部屋の前に来てるよー”と麻美ちゃんにメールしてみた。 ガタガタッ！カチッ、バタン！ 「ど、どうも……」 「っ！ま、るやま、さん……」

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【13】 けたたましい音と共に、ものすごい勢いで開いたドアからは、俺の愛しい人の驚いた顔。 「……あ、ゴメンな、急に。信ちゃんに頼まれて来てんけど……」 玄関のドアを手で押さえたままの彼女は、みるみる真っ赤になった。

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【14】 「ちょ、大丈夫⁈中、入ろ」 卒倒しそうな勢いの彼女を支え、寝室のベッドに寝かせた。 「……丸山さん、どうして？」 布団を深く被り、目だけ出して、恥ずかしそうに彼女は尋ねた。 も、萌え！……じゃなくて！

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【15】 「信ちゃんに、書類渡されてん。月曜に提出なんやろ？」 「あ！…忘れてた。でも、どうして丸山さんが？」 「いや、それは…その、」 俺が言葉に詰まっていると、麻美ちゃんは、ふふふ、と笑い出した。 「信ちゃんだ」 彼女は、不思議そうな顔をしている俺に、話し始めた。

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【16】 「信ちゃんは私にとって、すごく頼りになるお兄ちゃんで、好きな人のこととか相談してたんです。昨日はバレンタインのチョコの味見もしてもらっちゃって」 昨日見た光景が、俺の頭の中に蘇る。

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【17】 「だから信ちゃん、私が丸山さんのこと好きって知っーーー」 そこまで話して、ハッとして固まり、どんどん赤くなっていく麻美ちゃんーーーと、俺。

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【18】 「あ、あの、私「おおお、俺！……………キミが、好きです」 更に固まる彼女をそっと抱きしめ、囁いた。

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【19】 「絶対、……大事に、します」 「……はい」 はにかむ彼女に、キスをひとつ、落とした。 【チョコレートアソート・3粒目〜orangette・終】 pic.twitter.com/bzzd4E60pm

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【チョコレートアソート・4粒目〜whisky bon bon】 見てしまった。 そりゃ、信五は誰にでもあんな感じだし、後輩の麻美ちゃんとも仲いいの知ってるけど……。 #エイトで妄想

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【2】 麻美ちゃんから何かを受け取って、あんなに嬉しそうな顔して、頭わしゃわしゃーなんてして！ でも、素直にジェラシーを表になんて出せない私は、頭の上に100tのハンマーを乗せてデスクに突っ伏し、落ち込むしかできない。