- tasobussharima1
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次に飛んで来るのは、労いの言葉か。はたまた、叱責か。船長は身構える。だが、 『まだ、諦めるのは早いでおじゃる』 彼はその返答に思わず目を剥いた。 ----------
2016-05-10 21:32:11……と思ったらやっぱりマロ氏!すでに船団長とは話が付いているのか、それともすかさず割り込んだだけなのか #徳パンク
2016-05-10 21:34:05「繋がったよ!」 ヤオが、『マロ』に叫ぶ。 通信回線は、飛ばした無人機を中継局代わりにすることで都合が付いたものの。そもそも、船団の場所を『マロ』は知らなかった。無差別通信は得度兵器を刺激する恐れもある。 ならば、取るべき策は一つ。居場所を知っている相手に呼びかければいいのだ。
2016-05-10 21:36:03「まだ、諦めるのは早いでおじゃる」 相手は、あの艦隊の船長だと名乗った。何やら戸惑っていたようだが、『マロ』の知ったことではない。 「色々言いたいことはあるでおじゃるが、一先ず棚上げでおじゃる。この事態を切り抜けるまで、一時休戦でおじゃるよ」 『……そちらは、一体誰だ』
2016-05-10 21:57:01そりゃあこれから死ぬって時におじゃる口調の人から無線が来れば戸惑うわ。一足早くあの世に行ったかと思うわ #徳パンク
2016-05-10 21:58:58「麿のことなど、どうでもいいでおじゃる。早く責任者に、この通信を繋ぐでおじゃる。はよう!はよう!」 『わ……わかった、不慣れ故、少し時間がかかるとは思うが……』 気圧されるようにして通信回線が一度切れる。恐らくは、繋ぎ替えをしているのだろう。
2016-05-10 22:00:12まぁ、船長は知らなくてもアタケとそこから報告受けてるだろう船団長はマロ氏の存在を把握してるだろうし……うん #徳パンク
2016-05-10 22:01:31『マロ』は手元の端末を見遣る。画面の上では彼の計算したタイムリミット目掛け、カウンターの数字が減り続けている。徳エネルギーフィールドの効果が本格的なものになれば、通信は保たれるかも怪しい。 逆に言えば……通信が繋がっている間はまだ、致命的現象は起こっていないということでもあるが。
2016-05-10 22:04:05『……外の民が、何用であるか』 数十秒の沈黙の後。雑音混じりながら、回線は接続された。聞こえるのは、ヤオと同じか、更に幼いであろう年端も行ぬ少女の声。しかし『マロ』は、その経験から得体の知れぬ存在感を感じ取っていた。 あれは、一筋縄では行かない。彼のこめかみを脂汗が伝う。
2016-05-10 22:08:04『自ら名乗るも業腹だが、われこそが船団の長である。名をーー』 その名を聞いて、『マロ』は硬直した。彼はその名を知っていた。裏の事情に通じる者であればある程、その悪名は轟いていたのだから。集落を騒がせた犯人など、彼女の前では小悪党も同然だ。
2016-05-10 22:12:07