チョイス

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❥❥Blue @sweetblue83

・・チョイス・・ 1. 「おはよ。」 「…おはよう//」 彼の腕の中で目覚める朝。 「身体シンドないか。」 「うん…。平気。」 「ホンマか。昨日酒入とったで、ちょっと…ごめん。」 言葉を選ぶ。 「…大丈夫。」 鍛え上げられた逞しい胸。

2016-04-17 09:59:43
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2. 守るように抱き寄せてくれる信五さんが好き。 ** 「あ、今度ヤスたちが遊びに来てええかって。」 「たち?」 「ヤスとヤス2号。」 「名前呼んであげて(笑)。」 信五さんの後輩、安田くんと安田くんの彼女。 可愛がってるらしく、以前に家へ連れてきたのを機に

2016-04-17 10:00:35
❥❥Blue @sweetblue83

3. 私も仲良くなった。 「あれ、女版ヤスやろ。派手で天然でぶっ飛んどる個性と才能の塊。」 「褒めてるんだよね。」 「さぁなぁ。お前と真逆過ぎてわからへん。」 「そうかも(笑)。」 「で、二人してお前の手料理食いたいって。こないだのうまかったらしいで。」

2016-04-17 10:01:14
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4. 「いつでもどうぞって伝えて。」 「ええ嫁さん。」 「まだだよ。」 「もうすぐや。」 わたしは信五さんしか知らない。 信五さんだけでいい。 pic.twitter.com/lU7FW4ApDS

2016-04-17 10:02:31
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5. *** だいたいこれくらい、と。 食卓に出せる料理は出した。 後はみんなが来てからでいいかな、時計を見上げたとき電話が鳴った。 (もしもし、俺。すまん、残業入ってもうた。) 「え?」 (ホンマごめん。できるだけ早う切り上げるわ。)

2016-04-17 10:03:52
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6. (でな、ヤスに電話つながらへんねん。二人が来たら待たんでええから始めとって。) 「わかった。頑張って。」 *** それからしばらくしてチャイムが鳴った。 「こんちはぁ~」 ふにゃっとした笑顔。 「いらっしゃい。あれ、彼女は?」 「昨日から風邪ひいてもうて。

2016-04-17 10:04:59
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7. って、え。村上さんに聞いてません?」 「ううん。」 「電話してんけど。あ、すんません!せっかく料理、」 「ううん!いいの。それより、」 「あ、全然大丈夫。今日も来たがってたんですけどうつしたら悪い言うて。」 「そっか。あ、信五さん残業になったって。

2016-04-17 10:06:17
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8. 始めててって連絡があった。」 「え…、」 後ろをついてきてた安田くんの足が止まった。 「ほんなら俺、どっかで時間潰して来ますわ。部屋に二人いうのもなんか。」 玄関に向き直る。 「え、いや。あの、大丈夫。別に。」 考えてなかった。でも安田くんだし。

2016-04-17 10:07:17
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9. 「アカンでしょ、そんな。」 ちょっとあたふたする姿くんに警戒心が解ける。その首筋にキラッと汗が光った。 「外暑いから。信五さんすぐ帰ると思う。居心地悪くなかったらここで涼んで。」 「う…ん。」 軽く触れた背中も汗ばんでいた。 ** 「あぁ…助かった…。」

2016-04-17 10:07:56
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10. 村上さん帰って来るまで酒はアカン、と拒み続けてた安田くんはようやくビールを一口飲んで息を吐いた。 「俺、ホンマはあのあと外に出されてたら暑さでぶっ倒れてました。」 「入ってもらって良かった。」 「エヘヘ。お世話かけます。」 無邪気に舌を出す。

2016-04-17 10:09:54
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11. *** 「うんまぁい!もぉホンマおいしい!」 満面の笑顔。信五さんとは違う素直な反応が嬉しい。 「ありがと。」 「ええなぁ、村上さん毎日こんなん食べれんねや。」 「んー、あんまり家で食べないんだ。」 「何で?」 「仕事もだし付き合いで出ることも多くて。」

2016-04-17 10:12:44
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12. 「忙しい人やもんなぁ。んじゃ!そんときは俺が来てもええですか?」 「信五さんに連絡してから。」 「難攻不落や(笑)」 安田くんはいたずらっぽく笑った。 「ホンマにええな。俺も欲しいわ。」 「え?」 一瞬の視線。 「こぉんな彼女っ!」

2016-04-17 10:14:03
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13. 無邪気な笑顔のはずがちょっと違って見えた。 「あ、ビール持ってくる。」 「待ってよ。」 「!」 掴まれた手首。 「もうアカンわ。」 「なに…」 ドクン。 「ビール!これ以上は本意気で飲んでまう。お茶ください。」 村上さんにしばかれる、と舌を出す。

2016-04-17 10:15:19
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14. 「わかった…。っ!!」 ヤスダくんはすーっと指先まで手を滑らせて放した。 pic.twitter.com/S5TZSiB1WD

2016-04-17 10:16:27
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15. ** ジャー、 蛇口から出る水を見つめる。どうしてドキッとしたんだろう。 今までに一度だって安田くんに特別な気持ちを感じたことはない。 けど。 時々4人でいるときに向けられる視線。 掴まれた手首。 なぞられた指先。 (ううん!勘違い。)

2016-04-17 10:17:59
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16. 手首の熱を冷ますように流れる水に腕を伸ばした。撥ねた水。安田くんの首筋に光った汗が頭をよぎる。 (…) 今日のわたし、何か変だ。 「どうしたん?」 「!」 耳元の声に肩が跳ねる。 「ぼーっとしとるから。」 「ううん、何?」 鼓動を鎮める。

2016-04-17 10:20:25
❥❥Blue @sweetblue83

17. 「あのね、お茶にいーっぱい氷入れてください。キンキンに冷えたん飲みたい!」 いつもの安田くんだ。 「ふふっ、本当に暑かったんだね、外。」 「うん。もうさ、」 「ん?」 「身体熱うてしゃーない。」 pic.twitter.com/8IlxDA2JZs

2016-04-17 10:23:10
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18. ** 「…はい。」 「すんません。わっ、めっちゃ冷えとる!」 ゴクゴクと喉を鳴らす。喉仏が動く。 「ふっ、」 「、え?」 「今めっちゃ音鳴った!」 子どものときからなおらへんのよな、あはっと笑って首を傾げる。 「俺、クラス一大きな音鳴って。」

2016-04-17 10:24:21
❥❥Blue @sweetblue83

19. 「競ったの?」 「そう(笑)みんな〝ヤスにはかなわん。“って王者。」 「称号だ。」 「すごいでしょ。」 得意げな顔にさっきまでの変な気持ちが薄れていく。 ** 「俺、何でも勝ちたいんです。」 「負けず嫌いなんだ。」 「うん。」 「そっか。」

2016-04-17 10:26:22
❥❥Blue @sweetblue83

21. 「まんま、言葉。」 (試…す?) 「もう!安田くん酔ってる。」 精一杯の作り笑顔で身体を離した。 ** 「酔った、ねぇ。」 「そうだよ。そんな冗談ダメ。」 「ほんなら、そーゆーことにしとこっか。」 逸らしたいはずの目が逸らせないのはなぜ?

2016-04-17 10:31:44
❥❥Blue @sweetblue83

22. 「ねーぇ?知らんコト知りたい思うんは悪いことやない思うな。」 「え、」 「村上さんしか知らんのやろ。」 「!」 「知りたない?村上さん以外のオトコ。」 何…… 「ダメだよ。」 「ダメなんや。」 「当たり前でしょ!」 「イヤではないんやね。」

2016-04-17 10:33:30
❥❥Blue @sweetblue83

23. 「え…。」 「村上さんがおるから?」 「そ、そうだよ!わたしには、」 「気にせんでええよぉ。だって、」 「、」 「村上さん今、俺んちやで。俺の彼女と。」 pic.twitter.com/mHceU1MbDP

2016-04-17 11:32:20
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❥❥Blue @sweetblue83

24. 「どういうこと…、」 「知らんコト知りたい思うんは悪いことやない。」 安田くんはもう一度さっきの言葉を繰り返した。 ** 「村上さん。こないだ酔って帰ってきたでしょ。あんとき俺んちで飲んでてん。彼女、俺との〝コト″いろいろ話したらしくて。」

2016-04-17 11:34:14
❥❥Blue @sweetblue83

25. (身体、シンドないか。酒入っとったでちょっと…。) あの日…。 「清楚でしとやかな自分の彼女と真逆のあいつに興味あったんやろな。」 「まさか、」 「仲ええ後輩言うても自分がおらんときに男部屋にあげていいって言う彼氏おる?」 「それは…、」 『とりかえっこ。』

2016-04-17 11:40:12
❥❥Blue @sweetblue83

26. 「な…ん?」 「村上さんが提案したんやで。」 「いい加減なこと言わないで!!」 わたしの大声にいつものようにフワッと笑う安田くん。 「ええ加減なことちゃうやん。自分も同じなんやから。」 「同じ?」

2016-04-17 11:41:10