スルー・ザ・ゴールデン・レーン #3

ネオサイタマ電脳IRC空間 http://ninjaheads.hatenablog.jp/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「お人形チャンに戦わせるたァ、さぞかし狂ったサイコ野郎なんだろうな!追い詰めて、追い詰めて、骨の髄まで恐怖を刻みつけてやるぜ!」カンニバルの狂った笑い声が回廊に響いた。あの曲がり角の先からニンジャがやってくる。並走するオイランドロイドはエシオの前に出て、手を伸ばして制止を促した。

2016-05-17 20:59:23
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

エシオは頷き、別の道へと分岐した。オイランドロイドだけが無表情に拳を握り、ニンジャの方向へと突き進んでいった。「痛みも恐れも知らねえなら、俺たちが教育してやるぜ!イヤーッ!」「ピガーッ!」「理解するまで何度でも叩き込んでやる!まずは絶望を!そして屈辱をな!」「ピガガガガガーッ!」

2016-05-17 21:02:41
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

あらゆる方向からニンジャが迫ってくる。エシオは廊下に設置されたUNIX端末の前へと辿り着き、キーボードを叩く。だが何かがおかしい。『コネクション行方不明な』の文字。予め、LANケーブルは引きちぎられていた。エシオがそれに気づいた瞬間、壁のダクトに潜んでいたデスワームが這い出した。

2016-05-17 21:07:05
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

エシオは反応する暇もなかった。「イヤーッ!」黒いワニの尻尾じみたカラテキックの一撃が加えられ、エシオは吹っ飛んだ。彼は壁に叩きつけられた。すぐに立ち上がり、駆けようとしたが、片足がおかしな方向に曲がっていた。彼は飛び跳ねながら逃げた。デスワームはUNIXを破壊してから追走した。

2016-05-17 21:13:18
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「コノ先ノUNIXハ全テ破壊シタ、逃ゲ場ナシダ」マインスイーパが合流した。エシオは廊下の壁に指輪をかざして、「整備用」と書かれた小さな扉を開き、その中へと逃げ込んだ。「どこへ逃げても無駄だ!」デスワームが意気揚々と飛び込んだ。轟音が過ぎ去っていった。目の前には白いレールがあった。

2016-05-17 21:18:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

エシオはビル内を駆け巡るローラーコースターの一台に乗り込んでいたのだ。安全バーを外して立ち上がれば首が飛びそうな程天井の低いチューブの中を、コースターは走り抜けた。時折それは速度を落とし、無表情にモチツキする二足歩行兎の単純ロボットたちを色褪せたネオンで闇の中に浮かび上がらせた。

2016-05-17 21:23:50
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

スピーカーから声。『お客様!メガトリイ社は輝かしい未来を約束』ゴウン!ローラーコースターは闇を突き抜け大広場へと到達した。そこにはアビ・インフェルノ・ジゴクめいた緑色の炎が広がり、凄まじい熱が彼を迎えた。炎の中では4本腕になったアキナ=セイコとヘルフィーンドがカラテを続けていた。

2016-05-17 21:30:34
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

これでは脱出できぬ。エシオは停止を行わずコースターを走らせ続けた。エシオの頭からは血が流れ、バーを必死で掴む手の甲へと滴った。狗たちは血の臭いを追ってきていた。スクリュー回転しながら突き進むコースターの後尾車両へと、ブラッドチェイサー隊の3人が飛び乗った。「「「イヤーッ!」」」

2016-05-17 21:35:36
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

最も俊敏なブラッドチェイサー、マインスイーパ、そしてデスワームの三者である。ニンジャ達は疾走するコースターの座席を前へ前へと飛び渡った。追い詰められたエシオは歯を食いしばり後方へ手をかざした。座席に座っていた四体のオイランドロイドが目覚め、バーを外し、ニンジャたちに飛びかかった。

2016-05-17 21:41:03
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「「「イヤーッ!」」」ニンジャ達はスリケンとクナイを投擲し迎撃した。ものともせず、先行する2体のオイランドロイドが捨て身で掴みかかった。「「カラテ」」いかなニンジャといえど、高速旋回疾走するコースター上を歩きながらオイランドロイドに抱きつかれれば、バランスを崩し転倒するのは自明。

2016-05-17 21:46:18
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」ブラッドチェイサーはイアイドーを、デスワームは薙ぎ払うようなカラテを振るった。「「「ピガガガーッ!」」」コースターが大きな丸を描きながら一回転するうちに、先行の3体は火花を散らし切断され、緑色の炎の中へと落下していった。残る最後の一体は、試作型のシロウツリであった。

2016-05-17 21:49:28
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

他の3体と同じ高価な黒服を着せられたシロウツリは、懐からハンドガンを抜いた。彼女はエシオへのスリケン投擲を防ぎながら、冷たい怒りの表情で射撃した。BLAMBLAMBLAM!銃弾はブラッドチェイサーのヒートカタナに切断され、散った。「死ね!」彼女の首を狙い、デスワームが跳躍した。

2016-05-17 21:54:02
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

オイランマインドは、かつて己を殺した者たちを認識した。アマクダリは無慈悲なる物量で押し寄せ、屈服を迫ってくる。スリケンが飛び、胸に突き刺さる。「ファック野郎ども」シロウツリは激しい怒りで抗い、トリガを引き続けた。それはスズキ・マトリックスとの接触で得た荒々しきタナトスであった。

2016-05-17 22:03:38
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

デスワームの頭部を狙う銃弾は二発。手甲に弾かれた。デスワームが迫る。その目は暴虐の愉悦に歪む。オイランマインドが幾度となく見てきた下劣な目。彼女は屈さぬ。何度死のうと抵抗する。だが彼女が死を予測した次の瞬間。赤黒い憎悪の炎が飛来し、たった一撃のチョップで、デスワームの首を撥ねた。

2016-05-17 22:15:34
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「Wasshoi!」それは強化窓を突き破りアンブッシュを果たしたニンジャスレイヤーであった。 彼は高速疾走するコースター上に回転着地を決めながら、強烈なチョップを振り下ろしたのである。「グワーッ!?」デスワームの生首が回転しながら宙を舞った。首から下は死神の膝の下で痙攣していた。

2016-05-17 22:22:47
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

シロウツリは未だ抵抗の射撃を続けていた。宙を舞うデスワームの生首の額に、銃弾が突き刺さった。「サヨナラ!」デスワームは、断末魔の絶叫とともに爆発四散を遂げた。全ては、心臓が一度鳴り、ニンジャがひと瞬きする間の出来事であった。死神はローラーコースター上に高く立ち、アイサツを決めた。

2016-05-17 22:28:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ドーモ、ニンジャスレイヤーです。オヌシらに絶望を味わわせてやろう」

2016-05-17 22:32:04