2016.5.21 スティーブン・ミルハウザー朗読会@RainyDay Bookstore&Cafe ざっくりまとめ

スティーブン・ミルハウザーの初来日イベント初日の内容メモをざっとまとめました。誰でも編集可なので、よろしければみなさんのご感想も追加お願いいたします。
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伊藤螺子 @thunderheadhour

会場はキャパ50人に満たないくらいだったが、早い時間からほぼ満席。イベントで会場直後にこんだけ席が埋まっているのは初めて見た。新刊『魔法の夜』が売られていたので早速購入。3時になり、柴田先生とミルハウザー先生が登場。→ #ミルハウザー朗読会

2016-05-21 22:54:12
伊藤螺子 @thunderheadhour

→ミルハウザー氏は以前本で見た著者近影とさほど変わらない、禿頭に白髪、たまご型の細いフレームの眼鏡。服装はブルーグレーというかモーブ色っぽいシャツにダークグレーのスラックス。背丈は190近くあるようにみえるが、体つきは非常にシュッとしたやせ型。→ #ミルハウザー朗読会

2016-05-21 22:58:10
伊藤螺子 @thunderheadhour

→変な言い方だけども、「あの作品を書いている人」のイメージに違わぬ、静かな書斎が似合う雰囲気の方だ。まずは柴田さんによる前口上から。「30年くらい前に初めて渋谷の洋書店で『~ペニー・アーケード』を読んで、一行目で”これだ”と思った」→ #ミルハウザー朗読会

2016-05-21 23:01:06
伊藤螺子 @thunderheadhour

→「誰かが”君は30年後にその著者と朗読会をやってるよ”と言われても信じなかったと思う。これが現実だとまだ信じていませんw」と柴田さん。続いてミルハウザー氏、「まずモトにお礼を、それとカフェの皆さん、来てくれた方々にも感謝を」と穏やかに挨拶。→ #ミルハウザー朗読会

2016-05-21 23:02:47
伊藤螺子 @thunderheadhour

→柴田さん「アメリカでもめったにリーディングをやらないので、今日は大変貴重な機会です」とのことで、期待が高まる。この日は”Knife Thrower”と、『魔法の夜』から朗読をし、質疑応答を受け付けるとのこと。→ #ミルハウザー朗読会

2016-05-21 23:04:46
伊藤螺子 @thunderheadhour

→ミルハウザー氏「どこで作品のアイデアを得るのかとよく聞かれるが、いつも”わかりません”と答えてがっかりさせてしまう。ただ、少なくとも自分にわかっていることは、自分を不安にさせることに基づいて書いている」早速超いい話。そして朗読スタート。→ #ミルハウザー朗読会

2016-05-21 23:06:25
伊藤螺子 @thunderheadhour

→まずミルハウ先生が英語で読み、続いて柴田さんが日本語で読むという形で”Knife Thrower”が読まれる。身振りを交え抑揚をつけてダイナミックに読む柴田さん、対照的に身じろぎもせず落ち着いた声で読むミルハウザー氏。→ #ミルハウザー朗読会

2016-05-21 23:08:47
伊藤螺子 @thunderheadhour

→この作品を朗読に選んだのは本当にベストマッチだったと思う。ナイフ投げ師・ヘンシュの芸が次第にエスカレートしていくにつれ、それを見守る観衆が徐々に、かたずをのんでナイフ投げを劇場で見守る観衆に変わる。そしてミルハウザー氏は、ナイフ投げ師に変貌していく。→ #ミルハウザー朗読会

2016-05-21 23:12:35
伊藤螺子 @thunderheadhour

→個人的にミルハウザー作品は非常に堅牢な箱庭というイメージを持っていたが、パフォーマティブな側面をこの朗読で初めて実感した。ミルハウザー氏自身の朗読も、少し早口で、しかし焦っている風ではなくあらかじめその速度で淡々と歩いているような雰囲気で、リズムがいい。→ #ミルハウザー朗読会

2016-05-21 23:15:53
伊藤螺子 @thunderheadhour

→クライマックスにさしかかる前あたりで不意に、背後の棚から『バーナム博物館』の本がステージ上のテーブルに落下するというアクシデントがあったが、ミルハウ先生はまったく動じず、一瞥くれたのみでそのまま進んだのが印象的だったw。→ #ミルハウザー朗読会

2016-05-21 23:18:29
伊藤螺子 @thunderheadhour

→読み終えて一同拍手。柴田さん「こんなに気合の入った朗読は初めてです」と興奮気味。こちらも同感、素晴らしい緊張感のある朗読だった。会場の雰囲気はいまだ余韻さめやらずという感じだったが、そこから質疑応答へ。→ #ミルハウザー朗読会

2016-05-21 23:20:37
伊藤螺子 @thunderheadhour

→Q1:細部の描写が非常に細密だが、ナイフ投げやサーカスを実際に見たことは?  A1:最後にナイフ投げ師を見たのは9~10歳の頃ですw。リサーチしたのではなく、できるだけ細かくすべて想像して書きます。どんどん現実性を拡げていくのがポイント。→ #ミルハウザー朗読会

2016-05-21 23:23:36
伊藤螺子 @thunderheadhour

→(A1の続き)物語の信憑性を信じるのをやめたら、そこで終わりです。  Q2:ミルハウザーさんがナイフ投げ師に見えました。  A2:Watch out.(気を付けて)w。 ……ミルハウザー先生、さりげなくお茶目である。→ #ミルハウザー朗読会

2016-05-21 23:25:31
伊藤螺子 @thunderheadhour

→Q3:先生の作品には芸術を突き詰めて現実を破壊する主人公が多いが、文学はそういう物たりえるか?また、自分が究極のものを書いてしまったら、自分の実人生が破滅してもいいと思うか?  A3:破滅と実人生との間に直接因果関係があるわけではない。(続く)→ #ミルハウザー朗読会

2016-05-21 23:28:16
伊藤螺子 @thunderheadhour

→(A3の続き)だがそうは言っても、芸術は危険な要素を含むものだ。内容が危険でなくても、芸術家はその領域に足を踏み入れている。そういう潜在的な要素を作品で強調して描いている。→ #ミルハウザー朗読会

2016-05-21 23:29:41
伊藤螺子 @thunderheadhour

→Q4:自分でも危険な領域に入ってしまったことは?  A4:20代の頃デンジャラスパーソンだったw。作家になろうとして、他はどうでもいいと思っていた。でもやがて自らが作家だと確信できて、なりたい存在になれたとわかってから、凶器の側面は剥げ落ちていった。→ #ミルハウザー朗読会

2016-05-21 23:31:27
伊藤螺子 @thunderheadhour

→(A4の続き)「ナイフ投げ師」の頃は二人の子、家族がいたからね。「ナイフ投げ師」の中心にいるのは観衆。危険を密かに臨み、それを憎むような観客たち。その恐ろしさを描いた。→ #ミルハウザー朗読会

2016-05-21 23:33:35
伊藤螺子 @thunderheadhour

→Q5:ナイフ投げなどの舞台芸術や漫画などの視覚芸術を小説で書く理由、必然性は?  A5:必然性はないが、そういうより誘惑、そうしたい欲求がある。美術的なものを言葉にすることで、元の形式では見えなかったことが見える。それを言葉で引き出すことに魅惑を感じる。→ #ミルハウザー朗読会

2016-05-21 23:35:10
伊藤螺子 @thunderheadhour

→Q6:朗読に心地よいリズムを感じた。リズムをどうとらえるか?  A6:とても大事なことだ。センテンスもフレーズもリズムがきちんとするまで完成したとは言えない。私は書く時に絶対音楽を聴かない。センテンスのリズムは、音楽のリズムとは相いれないものだ。→ #ミルハウザー朗読会

2016-05-21 23:37:15
伊藤螺子 @thunderheadhour

→Q7:読んでいると、最初はディテールを追うので精いっぱいだが、いつの間にかどこかへ連れていかれることが多い。読者を連れていきたい場所は?  A7:読者をどこかへ連れていきたい気持ちはある。どういう場所かはっきりさせるのは気が進まないが、(続く)→ #ミルハウザー朗読会

2016-05-21 23:39:08
伊藤螺子 @thunderheadhour

→(A7の続き)まず言葉でリアルだと感じてもらい、気づいたら違う場所へ、しかも超えた境界がわからないような形で。やらずにはいられない。そうする権利は死んでも守りたい。  Q8:書いてる間や後に、自分で音読して直す?  A8:全部通しては読まない。(続く)→ #ミルハウザー朗読会

2016-05-21 23:40:47
伊藤螺子 @thunderheadhour

→(A8の続き)黙読し、一部声に出して読み、信頼している友人に読んでもらったりするが、本当は全部声に出して読んでみるべきなのかも。実際聴衆の前で読むと、「ここを直したい」と思う箇所が出てくるのでw。→ #ミルハウザー朗読会

2016-05-21 23:42:48
伊藤螺子 @thunderheadhour

→Q9:ジョセフ・コーネルやディキンソンと通じるものを感じるが、意識したことは?  A9:意識して書いたことはない。無意識で考えてるかもしれないが、自分は自分に自覚的な作家と思っている。また、すべてを言葉にしたらそれに縛られて書けなくなるだろう。→ #ミルハウザー朗読会

2016-05-21 23:44:53
伊藤螺子 @thunderheadhour

→Q10:最初の一語を書くときにはどこまで考えているのか?  A10:若い頃はアイデア一つで書き始めて途中で詰まることもあった。でもある時からある程度全体像が見えてないとダメになった。アウトラインから、最後のセンテンスがどうなるかまで。(続く)→ #ミルハウザー朗読会

2016-05-21 23:47:42
伊藤螺子 @thunderheadhour

→(A10の続き)書き始めると変わることもあるが、最後はどこへ行くかはわかっているつもり。あと私は最初のセンテンスはタイトルから繋がっていると思っている。タイトルが分からないまま書くことはあり得ない。→ #ミルハウザー朗読会

2016-05-21 23:48:42