有人宇宙船『ブラン』計画とロシア宇宙開発

ヌッ(まとめました)
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偏見で語る変態航空機bot @hentai_aircraft

そして、スピラーリの前にいくつかのBOR(ロシア語で無人機同ロケットプレーンの略)と呼ばれる小型の無人再突入試験機が存在した。 pic.twitter.com/DeuNtoTZbo

2016-05-28 22:16:43
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BOR-1:1/3サイズの飛行テスト機。大気圏突入時に燃焼。 BOR-2:四回打ち上げ。 BOR-3:二回打ち上げ。着陸時パラシュートが開かず破壊。 BOR-4:四回打ち上げ。 BOR-5:飛行テスト用、サブスケールベースモデル。 BOR-6:スピラーリのサブスケールモデル

2016-05-28 22:17:01
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先に述べた通り、スピラーリ計画は1978年に終了となった。そのデータは80年代、「ウラガン」と呼ばれる宙対宙ミサイルを搭載した有人宇宙迎撃機の為に再利用されたとされるがこれはフェイクであり、アメリカのスペースシャトルの軍用化を防ぐ為のものだった。

2016-05-28 22:17:19
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ではスピラーリ計画が終了したのは何故か。 1970年代、アメリカの再利用可能な宇宙船、スペースシャトルである。 その先進的構想はソ連にも伝わり、スピラーリを復活させたが太刀打ちできない事は目に見えた。 そこで、ソ連もスペースシャトルに対抗できる再使用型宇宙往還機の開発を始めた。

2016-05-28 22:18:02
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420名余りのフォロワーの皆さま、そしてTwitter上のソ連宇宙開発大好き同志諸君。 お 待 た せ し ま し た 。 ソ連版スペースシャトル、ブラン計画の始動である。 pic.twitter.com/V8XpKMPjvd

2016-05-28 22:20:01
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ソ連版スペースシャトルと称される彼女だが、アメリカ版スペースシャトルとは大小様々な差異がある事はあまり知られていない。 アメリカ版スペースシャトル(以後シャトルと呼ぶ)にはオービタ(機体)自身に液体燃料ロケットが備えられ、腹下にあるオレンジ色のものはロケットではなく燃料タンク。

2016-05-28 22:20:22
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対してブランは逆噴射用ロケットを除いてエンジンを搭載していない。彼女を宇宙へとエスコートするのは、専用に開発された「エネルギア」である。 その他、ブランの初飛行の前には、いわばブラン版エンタープライズとでも言うべき6機の試験機が建造され、各種試験に供された。

2016-05-28 22:21:12
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名前の出てきたエネルギアにもここで少し触れておこう。 ケロシン、液体酸素を推進剤とする4本の補助ロケットを脇に、中央には液体水素・酸素が推進剤の4基のロケットを備えている。 pic.twitter.com/Dy3xYjPbw0

2016-05-28 22:22:12
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エネルギアには打ち上げシステムの異なる2種類があり、それぞれポリウス(アメリカの軍事衛星を攻撃する宇宙兵器の試作機)とブランを搭載する。 ポリウスを搭載したものは1987年5月15日に打ち上げられ、ポリウスの軌道投入には失敗したものその実力は証明された。

2016-05-28 22:22:36
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話が逸れたついでに大気圏中でブランをエスコートする巨人にも触れよう。 VM-Tアトラント(ロシア語でギリシャ神話に登場する天を支える巨人アトラスの意)とAn-225ムリヤ(ウクライナ語で希望の方の"夢")。この2機種についてである。 pic.twitter.com/DFsZwnNYMe

2016-05-28 22:23:07
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VM-Tはミャシーチェフによって作られたM-4爆撃機を改造して作られた規格外貨物輸送機で、就役した82年から89年まで宇宙開発に携わっており、本来の役目を終えた現在でも小型のカプセル(と言っても大きい)を搭載して現役にあるとされる。 pic.twitter.com/agRuJlX3if

2016-05-28 22:24:18
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又、VM-Tは機体上部に機体以上のサイズのカプセルを載せるという異質な設計をしているにも関わらず重大な事故は現在に至るまで一件も起きていない。 とある西側の評論家からは「ソビエト的合理主義は時に"科学と言う名の魔法"によって飛行機を飛ばせることを可能にする」と評価されたという。

2016-05-28 22:24:44
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彼女がブランを搭載したのは一度限りで、ソ連崩壊とともに予算が打ち切られ、ウクライナの向上の片隅に放置され、部品取りなどに会い事実上のスクラップとなっていた。

2016-05-28 22:26:45
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1999年、An-124を使用した超大型貨物の運送ビジネスに目覚めたアントノフはAn-225を復活させ、デジタル化と機体の補修・強化を行われてAn-225は再就役した。 pic.twitter.com/izj5JlGcCY

2016-05-28 22:27:21
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2010年、ハイチ大地震の復興支援で防衛省がチャーターし、成田空港に初飛来。 二度目の来日は東日本大震災の時で、フランスの150tの救援物資を積んで再び成田空港を訪れた。

2016-05-28 22:27:54
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話をブランに戻す。 1988年、11月15日。遂にブランはバイコヌール宇宙基地より発射された。 その際のブランは無人で、206分間の地球軌道の周回を終えて、バイコヌール宇宙基地の滑走路に自動着陸を成功させた。

2016-05-28 22:28:14
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ブランの下の妹であるプチーチュカ(ロシア語で小鳥)は1988年に、三女のバイカルは1989年に組み立てが始まった。また四女のタイフーン、そして五女も計画されていた。 そして1992年、ブランは初の有人飛行が行われる、はずだった。 pic.twitter.com/dXhi2Ie7X8

2016-05-28 22:28:49
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1991年、12月25日。ソビエト社会主義共和国連邦、崩壊。 それと同時に、有人飛行計画は消滅した。 ブランは祖国と命を共にし、セルゲイ・クリカレフは帰るべき祖国を失い、ソ連人民は自由と引き換えに宇宙を失ったのだ。 pic.twitter.com/MJDVh4T67W

2016-05-28 22:30:56
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ブランの妹であるプチーチュカは1993年に95~97%は完成していたにも関わらず、バイカルは30~50%で組み立て中止となった。タイフーン、五女も同様であり、五女に至っては存在時期の短さから写真すら残らなかった。

2016-05-28 22:32:09
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そして、長女ブランはその亡骸さえも失った。

2016-05-28 22:32:32
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2002年5月12日。カザフスタンのものとなったバイコヌール宇宙基地を嵐が襲った。 ブランの亡骸は腐りかけたままハンガーの中で佇んでいたが、嵐はそのハンガーごと倒壊させた。この倒壊により8人が死に、ブランは破壊された。 pic.twitter.com/IHPkNB5fRj

2016-05-28 22:33:19
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ブランの試験機の一つであるOK-GLIは計画中止後、2000年にオーストラリアの企業に売却され、観光名所となっていたが所有者が破産、2008年、修復が完了しドイツのシュパイヤー技術博物館で内部を歩ける展示物として展示された。 pic.twitter.com/gKoYbamR3K

2016-05-28 22:35:15
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ソ連亡き後、ブラン亡き後のロシアの宇宙開発について少し語ってこの話を終わりとしよう。

2016-05-28 22:36:11

そしてツイートは、ついに危険な領域(その後の露宇宙開発)へと突入する

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ソ連が崩壊した事による経済の沈降はブランを始めとした宇宙開発費に大きな打撃を与えた。 バイコヌール宇宙基地はソ連から独立したカザフスタン領となり、貸借料が発生するようになった。 pic.twitter.com/Za5dHpMg2P

2016-05-28 22:38:56
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