桜で包んで弔うために#2 伝説のひと◆1

どこの古城にも桜が咲く。それを聞きつけてやってきた観光客の二人。花見を楽しんでいたところ、死霊の女の子が現れ手伝えと言う。どうやら古城の桜には訳があるようで……。 全50ツイート予定 最初↓ #1 ◆1 http://togetter.com/li/981341 前↓ #1 ◆3 http://togetter.com/li/982638 次↓ #2 ◆2(最終回) http://togetter.com/li/983480 実況・感想タグは #減衰世界 です
減衰世界
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  • 減衰世界 @decay_world 2016-06-03 17:12:33
    _桜で包んで弔うために#2 伝説のひと
  • 減衰世界 @decay_world 2016-06-03 17:23:40
    「いやだー! 浄化されたいー! 兵士さんは立派に戦ったから鎮魂してもいいけど、桜を鎮魂したって意味なんかないー! 消えるー! 消えるんだー!」  わめく死霊の少女。フィルは彼女の足にしがみついて逃げられないようにする。彼の身体が僅かに浮いて、少女は空中に静止した。 31
  • 減衰世界 @decay_world 2016-06-03 17:28:57
    _少女は城跡に咲き誇る桜に手を伸ばして言った。 「桜に包まれて消えるだけであたしは幸せなんだよ、それで十分じゃないか」 「それじゃあ君の知りたがっていた、桜の木を植えたひとを知らずに消えてしまう」  フィルは空中でじたばた足を振る。 32
  • 減衰世界 @decay_world 2016-06-03 17:34:40
    「分からなくていい、知らなくていいのに!」 「僕たちは何をしようとしていると思う?」  不意に質問されて、きょとんとした顔でフィルを見る少女。僅かに下降し、フィルの足が山盛りの土の上につく。 「何するって……何するの?」 33
  • 減衰世界 @decay_world 2016-06-03 17:41:15
    「僕たちは……」 「俺たちは!」  土を掘っていたレッドも声を重ねる。 「二人で一つのプロの観光客! ライセンスは《サウザン=マウンテン=エキスプレス・スーパー・パス》! 誇りをかけて、俺たちは最高の観光をする! こんな名所を、知らない、興味ないでは済まされない!」 34
  • 減衰世界 @decay_world 2016-06-03 17:46:38
    _フィルは少女の足から手を放し、訴えた。 「僕たちは最高の観光をしたいんだ。ただ景色を見るだけじゃ足りない。景色に込められた理由を知りたい。それに立ち会うのは、君じゃなくちゃダメなんだ。君は僕らに助けを求めたね。今度は僕らが君にお願いする番だ。もう少しだけここにいてくれ!」 35
  • 減衰世界 @decay_world 2016-06-03 17:51:28
    _少女は黙って二人を見ていた。レッドは答えを待たずに、土掘りを再開する。フィルはにこりと笑って答えを促した。 「貸し借りはしょうがないわね……あたしもあんたたちに恩返ししたいし……こんなに土を掘らせちゃったし……」  満開の笑顔になるフィル。 36
  • 減衰世界 @decay_world 2016-06-03 17:58:31
    _不機嫌そうな照れくさそうな、複雑な表情をして少女はフィルをどつく。 「しょうがないわねー! あたしのためじゃないんだからね! あんたたちのため! あんたたちのためにしょうがなく、手記を見つけるのを見守ってあげる! 見届けてあげる! だから精一杯土を掘りなさいよね!」 37
  • 減衰世界 @decay_world 2016-06-03 18:03:43
    _フィルはそれを聞いてレッドに目くばせした。レッドも以心伝心といった様子で、今まで掘らなかった地点を掘り返し始める。そこは生えている雑草の種類が少し違っていた。その地点だけ他の場所とは違い、地を這うような雑草が生えている。栄養の少ない場所に生える草だ。 38
  • 減衰世界 @decay_world 2016-06-03 18:07:58
    _大地の栄養がある地点だけ少なくなるのにはいくつか理由がある……例えば土を掘り返した後また埋めたことで、栄養の少ない土と入れ替わってしまった……など。しばらく掘ると、古びた木箱が見つかった。 「おや、こんなところにあったのか」 39
  • 減衰世界 @decay_world 2016-06-03 18:14:42
    _木箱を開けると、そこには古びた手帳が入っていた。 「よかった、間に合ったよ」  フィルはそう言って少女を見る。少女は静かに歩み寄る。 「しょうがないわね……こんな土の下で、誰にも見向きもされなくてさ……」  その言葉は彼女自身に言い聞かせるような口ぶりだった。 40
  • 減衰世界 @decay_world 2016-06-03 18:15:46
    _桜で包んで弔うために#2 伝説のひと ◆1終わり ◆2(最終回)へつづく
  • 減衰世界 @decay_world 2016-06-03 18:20:06
    【用語解説】 【アヅマネシアの戦争】 城砦を築き戦っていた頃はいくつかあり、「文明が発達して火砲が現れる」「城が用済みになり火力の高い兵器が次々と開発される」「文明が完全に崩壊するまで戦争を続ける」「石器時代のような剣と鎧の時代に後退し、城砦が復活」の流れを何度も繰り返している

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