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アジサイといえばシーボルト。かのシーボルトには江戸時代、長崎で思いを寄せた女性がいました。それが「其扇」(そのぎ)の名で出ていた「お滝」さん。シーボルトは日本で採取したアジサイに学名をつけ、そこにお滝さんの名を忍ばせます。しかし… pic.twitter.com/g2aOxl9fcj
2016-06-04 20:40:59単身で帰国したシーボルトはアジサイの学名にお滝さんの名を忍ばせ、Hydrangea otaksaヒュドランゲア・オタクサとするのですが、記載済の種と一致するとみなされ、オタクサは無効になり、今はH. macrophyllaが有効──とここまでは有名な話。しかし謎が残っています…
2016-06-04 20:41:38日本の植物学者は当初、オタクサの意味がわからなかったといいます。しかし…命名するなら由来が書かれているのでは? これはもうシーボルトの原典を見るしかない。というわけで検索したらありました。ありがとうございます☞京大理学部植物学教室 edb.kulib.kyoto-u.ac.jp/exhibit/b01/im…
2016-06-04 20:42:09たしかに…説明がない…。そこには「日本名:オタクサ」と書かれており、お滝さんは一切登場しない。そして「出島の植物園ではオタクサと呼ばれており7月に開花する」と書かれている…。なぜ、日本人の女性、お滝さんに献じたと書かないのか…う〜ん。
2016-06-04 20:42:36「オタクサ」=「お滝さん」であることは牧野富太郎博士が解明したともされているのですが、細部が噛み合わない…。そこで博士が主筆として発行していた「日本植物雑誌」を検索。これもPDFで閲覧できます。ありがとうございます☞ツムラ株式会社 jjbotany.com
2016-06-04 20:45:52すると1918年の発行号で牧野博士は、otaksaは肥前長崎のあたりの方言とのことだが今ではそうは呼ばれていないらしい、と述べ(大意)、「命名者が何かの間違をしたものではないかと思ふ」と書いています。つまり、お滝さんには気づいていない…。ところが、1927年の号で急展開。なんと…
2016-06-04 20:46:07「日本植物雑誌」1927年の号に澤田武太郎氏の記事があり、呉秀三著『シーボルド先生』(改訂版、1926年)を引いて、オタクサとお滝さんとの関連に言及。澤田氏はそんなことまでわかる筈がないと憤慨し、また、記事の途中頁にある文章で牧野博士は口を極めた非難ぶり。そこまで言わなくても…
2016-06-04 20:46:32オタクサ=お滝さんとわかったのは呉秀三さんの本がきっかけのようにも見えます。ただし、牧野博士が長崎に赴いた際に事情を知った可能性も…。前者なら初版1896年の時点でわかっていたのでは? そこで今度は国立国会図書館デジタルコレクションで閲覧するとやはり…otaksaは改訂版で登場。
2016-06-04 20:47:17オタクサはお滝さんではないという説もありますが、シーボルトはお滝さん(其扇)から贈られた植物にsonogiの種小名を与えたりしていますし、アジサイの学名を検討する際、sonogiかotaksaで悩んだ手稿の形跡があるので、やはり…☞kamelienschloss.de/hortensieneinf…
2016-06-04 20:47:33──牧野博士がどうやって知ったかは具体的には突き止められませんでしたが、調査が可能なのも、公開されている各種歴史資料のおかげです。お礼申し上げます。 pic.twitter.com/AdORXIgnBW
2016-06-04 20:47:47なお、otakisaではなくotaksaなのはシーボルトの誤記ではなく、耳で聞いた結果の転記とも思われます。またotaksanとしないのは、学名の性の一致というよりも、呉秀三氏著作によればふだんからOtaksaと呼んでいたとのこと(どう発音していたか不明ですが…)。
2016-06-04 20:48:07