【すみゆ忍】「ペイ・オマージ・トゥ・オブリヴィオン」

Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

◇ハタモトサイ◇補足な① ヨロイニンジャ・クランのレッサーニンジャソウルが憑依したニンジャ。 灰色のバイオ合皮とバイオバンブー装甲の軽量鎧を身に纏い、「旗本」の旗を背負う。旗竿もバイオバンブー製で即席のボーとなる。 #すみゆ忍 twitter.com/GF_SUMIYU/stat…

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◇ハタモトサイ◇補足な② 身長約2メートル。特徴的な1本角のマスク型メンポと旗によって、裏社会では運び屋ニンジャとして名を馳せていた。ニンジャとなる前はゴッドハンドに憧れており、チャンコ072服用を拒み先輩スモトリ達に殺されかけたところにニンジャソウルが憑依した。#すみゆ忍

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◇ハタモトサイ◇補足な③ センパイスモトリをソウルの一時的な暴走により皆殺しにしたのち、ハタモトサイは裏社会の運び屋に転身した。筋肉質なスモトリの筋力と黒鉄の鎧を纏い馬よりも速く駆けるヨロイニンジャ・クランのソウルが噛み合い、不沈の運び屋となった。 #すみゆ忍

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◇ハタモトサイ◇補足な④ 彼の心は、常に先輩スモトリを正当防衛とは言え皆殺しにしたことに対して煩悶している。ある種の罪悪感か、彼は自身に何時かインガオホーが降りかかることを自覚し、依頼遂行中に部外者を巻き込まないように細心の注意を払う。 #すみゆ忍

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◇ハタモトサイ◇補足な⑤ そんな彼がサント・デル・フジサワ命名教会に駆け込んだ理由はただ一つ。深手のショックで一時的に記憶を喪失したからだ。記憶を失った彼のニューロンには、自分のニンジャネームも、記憶も、好物の牛肉すらも残っていなかった。唯一残ったのは赤黒のニンジャ… #すみゆ忍

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「ペイ・オマージ・トゥ・オブリヴィオン」 #すみゆ忍

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ネオショーナンの山の上に立つ廃墟の教会、サント・デル・フジサワ命名教会。今、その教会から一人の男が退出してきた。全身を傷だらけの灰色のバイオ合皮とバイオバンブー装甲の軽量鎧に身を包み、サイめいた1本角を生やしたマスク型メンポを被ったニンジャである。 1 #すみゆ忍

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ニンジャは手に持った安っぽいPVC傘を差し、しっかりとした足取りで山を下りていく。重金属酸性雨で濡れた泥まみれの山道をニンジャは必要以上に靴を汚さずに歩む。見る者が見れば、その歩みには歩法の心得があるとわかるだろう。2 #すみゆ忍

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「ハァーッ…」だが、一見軽やかな足取りとは裏腹に、ニンジャは重く溜息を吐いた。そして呟く。己のニンジャネームを。「ハタモトライノ…ハタモトライノねぇ…」ニンジャは、ハタモトライノは己の名を咀嚼するように呟く。やがて、苦虫を噛み潰したかのように顔を歪めた。 3 #すみゆ忍

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「いまいちしっくりこねェ…」再び重い溜息を吐き、ハタモトライノは肩を落とした。そしてハタモトライノは山の上のサント・デル・フジサワ命名教会を振り向いた。彼があの廃協会を、そこを根城とするゴッドファーザーと言うニンジャを訪ねたのはつい先刻の事だ。 4 #すみゆ忍

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ハタモトライノの今の最古の記憶は、黒く冷たい海から己を引き上げる漁船の投網である。気が付けば彼は海を漂い、魚めいて網にかかっていたのだ。親切な漁師によって一命を取り留めた彼には、以前の記憶が無かった。己の名も、過去も、己の好物も忘れていた…ただ一つを除いては。 5 #すみゆ忍

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それは、陽炎の如く揺らぐ、赤黒い何かであった。ハタモトライノはそれを思い出す度に恐怖に戦いた。ハタモトライノはこの恐怖の理由を記憶喪失に求めた。知らないのから恐れるのだと。そして、彼は天啓により名を授けてくれるというサント・デル・フジサワ命名教会に辿り着いた。 6 #すみゆ忍

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サント・デル・フジサワ命名教会のゴッドファーザーはニンジャらしからぬ親切な男であった。ゴッドファーザーは名を忘れたニンジャに温かいコーヒーと茶菓子とステーキ、そして彼が忘れていた名を与えた。だが、その忘れていた名が、ハタモトライノにとって何かが噛み合わなかった。 7 #すみゆ忍

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確かにこれは自分の名前である。ハタモトライノはそれには納得していた。だが、何処かが致命的に噛み合っていないのだ。例えるならば、歪んだ鍵穴に鍵が上手く嵌らない様に。「問題は記憶の方かねェ…」ハタモトライノは肩を落とし、下山を続け、ふと横を見た。 8 #すみゆ忍

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「墓…？」そこには、打ち捨てられた墓所があった。確かにサント・デル・フジサワ命名教会は廃墟兼ニンジャの巣窟とは言え元は教会だ。この山に墓所があっても不思議ではない。ハタモトライノは何となく、墓所へと足を向けた、そこには朽ちかけた幾つもの墓石が列を成していた。 9 #すみゆ忍

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ハタモトライノは興味本位で墓を一つ一つ検分した。どれも教会の墓所らしい十字架型の墓石であったが、その全てが所々朽ちており、葬られた者の名が分からぬ有様であった。ハタモトライノは特に汚れた墓石の汚れを拭う。「そうか、お前さん等は忘れられた口か」 10 #すみゆ忍

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ハタモトライノは憐れむ様に、同情するかのように墓石を見た。「俺は自分の名前は思い出せたが、それ以外は駄目だ。どう生きてきたのかを忘れちまった。それじゃ、死んでるのと変わらん…お前さん等は、そう思わんかね？」ハタモトライノは墓石へと問うたが、当然答えは返らない。 11 #すみゆ忍

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ハタモトライノは墓石の汚れを拭い終えると、立ち上がって再びPVC傘を差した。そして己の今後を思案する。「実際どうするかね…ネオサイタマって所にまで行って、噂の自我科って奴に行ってみるかね…？」そのまま思案の底に沈まんとした、その時だ！「アイエエエ！」悲鳴が響く！ 12 #すみゆ忍

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「あン？」ハタモトライノはニンジャ聴力を研ぎ澄ます。そして捉えた。墓所の入り口に、一人の女を取り囲む3人の男の存在を。「へっへっへ…」モヒカンの男がナイフ片手に舌なめずりして笑う。「逃げるなんて悲しいぜお姉ちゃんよぉ」「そうだぜぇ！」スモトリ崩れの男が同意する。 13 #すみゆ忍

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「俺達、お姉さんと遊びたいだけだってのによぉ…」ナックルダスターを弄ぶ逆リーゼントの男は舐めるように女を睨み、脅す様に言った。「俺達傷付いちゃうなぁ！これは心の正当防衛前後まったなしかなぁ！」「アイエエエエエエ！」女は恐怖の余り悲鳴を上げるしかない！ 14 #すみゆ忍

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ナムアミダブツ！何たる横暴かつ退廃的な脅しか！これもまたマッポーの一側面か！「へっへっへ…」「ンアーッ！」モヒカン男が女の首を掴み、ナイフで服を引き裂かんとした！女は凌辱の未来から逃れられぬと諦め、舌を噛み切らんとした…その時！「イヤーッ！」「グワーッ！」 15 #すみゆ忍

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女は目を見開いた。自分の首を掴んでいたモヒカン男の手が千切れていた。「アイエエエエエエ！？」血を撒き散らし、モヒカン男は悲鳴を上げ、己の腕を千切った下手人を見た。それは灰色の軽量鎧を身に纏ったニンジャであった。「ニ、ニンジャ…？」女は辛うじてそう言った。 16 #すみゆ忍

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ニンジャは山の上を指差し、女を見た。そして言った。「山の上に教会がある」「エッ」「そこまで逃げろ…行け！」「は、ハイ！」女は弾かれたように墓場から飛び出し、山道を駆け上る。「アッ、待て！」「逃がすか！」スモトリ崩れとリーゼントが後を「イヤーッ！」カラテが遮る！ 17 #すみゆ忍