ラストバレット―Keep under― 発電施設 襲撃阻止

貧富の差が拡大した近未来。 選ばれた富裕層は自らの安全と権利を守るため『オーバー』と呼ばれる特区を形成。 それ以外の地区を『アンダー』と呼び、管理するようになる――。 続きを読む
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ニンジャカタナ! @NJkatana

こんにちはー!それではただいまよりTLをお借りして、ツイッター小説『ラストバレット―Keep under―』を投稿します。これは拙作『最後の弾丸―Last bullet―』のスピンオフというか、世界観流用作品になります。登場人物とかは違いますが、雰囲気は同じにしたつもりです。

2016-06-11 15:28:14
ニンジャカタナ! @NJkatana

ニンジャカタナと同様、@NJkatanaアカウントにて連載していきます。宣伝のため、冒頭数ツイートは作者アカウントでもツイートさせていただきます。もし全部みてやってもよいぞ!という方は、ぜひ上記アカウントをフォローしてご覧になってくださいませ٩(๑•̀ω•́๑)۶

2016-06-11 15:29:40
ニンジャカタナ! @NJkatana

それでは、ただいまより昼下がりのTLをお借りいたします。いつもながら占有してしまいますが、どうか暖かくお見守り頂ければ幸いです!٩(๑•̀ω•́๑)۶

2016-06-11 15:30:40
ニンジャカタナ! @NJkatana

ラストバレット―Keep under― 発電施設 襲撃阻止 ――――――――――――――◆

2016-06-11 15:32:09
ニンジャカタナ! @NJkatana

――くすむ月光に照らされるビル街。 普段であれば、無数の街灯に照らし出されているはずのその街並み。しかし今、その通りは不気味な程に静まりかえり、薄い月明かりの中に暗く沈み込んでいた――。

2016-06-11 15:32:51
ニンジャカタナ! @NJkatana

『――しかし、こうも毎日続くとダレちまうな。他の地区の奴らがどうなったかは、向こうだって知ってるだろうに』 『必死なのさ。アンダーの暮らしはそれはそれはギリギリらしいじゃないか。こうでもしなきゃ、飯も食えないんだろう』 漆黒の闇の中、重厚なエンジン音が林立するビルの中を進む。

2016-06-11 15:34:03
ニンジャカタナ! @NJkatana

煌々(こうこう)と光るサーチライト。 周囲のビルに反射したその光に浮かび上がるのは、複数の重装甲車と、巨大なミサイルラックを装備した戦闘車両。 そして、完全武装の戦闘員を満載した輸送トラックが数台――軍隊であれば、一個中隊に匹敵する規模の戦闘部隊――。

2016-06-11 15:36:25
ニンジャカタナ! @NJkatana

『だからって施設ごと占拠するか? 上と直談判するのが望みらしいが、いつの時代の発想だ』 『さあな。アンダーの奴らの考えることはわからん。話し合いより皆殺しにした方が楽だって、知らないのかもな?』 『『ハハハッ!』』 闇の中を進むトラックの一台から、大きな笑い声が上がった――。

2016-06-11 15:38:13
ニンジャカタナ! @NJkatana

『――ト。ユウト。聞こえてる?』 「ん、ごめん。聞こえてる」 闇の中。蜘蛛の巣状に張り巡らされたビル街の道路。その道路を進む隊列を見下ろす一人の少年――。 『大丈夫?』 「大丈夫」 10代半ばの容貌に、闇に溶け込む黒い髪と黒い瞳。灰色と黒のパーカージャケットとカーゴパンツ。

2016-06-11 15:40:15
ニンジャカタナ! @NJkatana

ともすれば、ただこの場所に遊びに来ただけとも見えるような出で立ち。 しかし、ユウトと呼ばれた少年は、眼下の隊列が近づくのをみとめると、大腿部に装着した左右のレッグホルスターから二丁の拳銃を引き抜いた。 『装甲車両は2台。戦闘車両は1台。恐らく総員は50名以上――気をつけてね』

2016-06-11 15:41:47
ニンジャカタナ! @NJkatana

「ありがとう。アリス」 地上数十メートル。ビル屋上。ユウトはゆっくりと両手を広げ、屋上の縁から身を乗り出す。 「行ってくる」 『待ってる』 ユウトは吹き上げるビル風を全身で受けとめながら、倒れ込むように隊列の放つ眩い光の中に落下。漆黒の闇から光り輝く白へと身を躍らせた――。

2016-06-11 15:43:42
ニンジャカタナ! @NJkatana

『目標まで3分』 隊列を組む輸送トラック内部。弛緩しきったコンテナ内の空気が、アナウンスと共に鋭く凍てつく。 「総員、安全装置解除!」 コンテナ最奥、指揮官らしき男が指示を飛ばす。それを受けた隊員達が、一糸乱れぬ動作で携行するアサルトライフルをチェック、ロックを解除する。

2016-06-11 15:47:24
ニンジャカタナ! @NJkatana

「今回の作戦目標は、エリアBの発電施設を不法占拠する労働者全ての排除だ。繰り返す。労働者全てを排除しろ」 「武装・非武装の選別は!」 「問わない。非武装の者も全て『排除』せよ」 再度確認される作戦目標。隊員達は冷酷なその指示にも動じることなく、黙々と装備のチェックを終える。

2016-06-11 15:49:02
ニンジャカタナ! @NJkatana

――彼らに油断がなかったとは言えない。なぜなら、彼らの相手は所詮、作業具で武装した非力な労働者に過ぎないからだ。だが、少なくとも彼らは与えられた指示を正確にこなし、任務にも忠実だった。 彼らに落ち度があったとすれば、非力な労働者が連絡をとった相手を把握していなかったこと――。

2016-06-11 15:51:57
ニンジャカタナ! @NJkatana

銃声。そして閃光。 指揮官の乗った輸送トラック前方。先頭を行く装甲車が突如として爆発。横転し、隊列の行く手を塞ぐ。 「何があった!?」  異常に気づいた指揮官は即座に状況確認を行おうとするが、それはもう一つの爆発。最後尾を走っていた兵員輸送トラックの爆発炎上で阻止される。

2016-06-11 15:54:28
ニンジャカタナ! @NJkatana

「退路を……総員散開!」 前方と後方を一瞬にして塞がれた指揮官の背筋に、鋭利なナイフのごとき悪寒が突きつけられる。あわだち、吹き出す冷や汗にも気づかぬまま、指揮官の男は残る隊員達に散開の指示を出す。 敵の武装がわからない。車内に留まっていては一網打尽にされる。

2016-06-11 15:56:22
ニンジャカタナ! @NJkatana

外へ出た指揮官は見た。闇夜と爆発の炎に照らし出され、漆黒と深紅の中を舞う少年の姿を。 戦闘を開始した隊員達の発する無数のマズルフラッシュ。少年は隊列後方の爆炎を背に銃撃を側宙回避、上下逆の姿勢で発砲。一発、二発、三発。発砲と同時に3つのマズルフラッシュが消える。

2016-06-11 15:57:55
ニンジャカタナ! @NJkatana

つむじ風のような動きで標準を定めさせない少年に対し、隊員はグレネードの使用を試みる。だが少年はそれを見逃さない。 闇夜を射貫く冷徹な視線。それと共に撃ち放たれる正確な射撃。グレネードは射出されず、くずおれる隊員とともに地を舐める。

2016-06-11 15:59:19
ニンジャカタナ! @NJkatana

既に、輸送トラックの爆発で総員58名の隊員のうち半数は殺害されている。対物破壊用のロケット弾を装備した戦闘車両は対人には無力。まさか、こんな事態がありえるのか――。 生き残った29名の部下達が、断末魔の呻きと共に無力化されていく。一人、また一人――。

2016-06-11 16:01:20
ニンジャカタナ! @NJkatana

少年は破壊した装甲車両からいまだ無傷の装甲車両へと一足飛びに跳躍、着地すると、信じられない膂力でロックされた上部ハッチを引き上げる。 常人相手ならば決してありえないその状況に、車両内部から悲鳴があがる。だが、こじ開けたと同時に放たれた少年の弾丸が、その悲鳴を静かに止めた。

2016-06-11 16:02:56
ニンジャカタナ! @NJkatana

二台の装甲車両を破壊され、残るは武装した隊員のみ。 隊員達は暗視ゴーグル越しに少年へと狙いをつけるが、炎のノイズで完全には捉えられない。 少年は沈黙した装甲車両から更に跳躍。隊員達の頭上を取ると、上空から発砲。肩口から心臓までを正確に射貫かれた隊員が、物言わぬ骸へと変わる。

2016-06-11 16:04:34
ニンジャカタナ! @NJkatana

時間にして一分。その戦闘は、終わった。 炎上する車両と、炎に照らし出された無数の血だまり。 そして、その海に沈む隊員達――。 炎上する車両と、炎に照らし出された無数の血だまり。そして、その海に沈む隊員達――。

2016-06-11 16:05:55
ニンジャカタナ! @NJkatana

惨劇の中、立ち尽くす指揮官。結局、彼は何もできなかった。 散開の指示は間違っていたか。密集し、火力を集中させるべきだったか。制圧用の広範囲散弾銃を持ってきていれば――。 指揮官の視界の端、灰と黒の影が映りこむ。同時に彼の脳裏にいくつもの思考が巡り、ブツリと途絶えた――。

2016-06-11 16:07:31