【コトブキ探偵と殺生石】

ある噂が街の裏側に広まった。ザイゼン家に狐が誘拐された、と。誰も意味は分からず、しかし何故か噂は広まり続ける。そして、その噂を追って一人の男が動き出す。
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コセン・ニンジャ @kosn_ninja

そして、再び拳が握られると、込められたエネルギーを徐々に解放するように、忍者の装甲内部で爆発を繰り返しはじめた。爆破呪印。敵に爆破の呪言を刻み、それを魔力を以って起爆し、対象を破壊する恐るべき術である。彼の相棒が得意としていた術の一つだ。 #ksktbk

2016-06-14 23:09:11
コセン・ニンジャ @kosn_ninja

忍者はもがき苦しみ、跳ねるように立ち上がると、廊下に駆け出し、手すりから身を投げた。コトブキとヨシダが廊下に出て、手すりから身を乗り出した時には、既に遥か下で爆炎が闇夜を照らしていた。「やった…のか?」ヨシダが恐る恐る聞いた。 #ksktbk

2016-06-14 23:10:43
コセン・ニンジャ @kosn_ninja

「いや、直前に装甲を脱いだな。まだ死んではいない」「もしかして、奴が俺の腕を?」「そうだ」「なんでだよ…」ヨシダは困惑していた。違法薬物を売っていただけで、命を狙われるはめになるとは。 #ksktbk

2016-06-14 23:14:44
コセン・ニンジャ @kosn_ninja

他の奴の縄張りに知らずに手をだしたか?それとも仕入先の怒りを買ったか?いや、どれも決定的じゃない。「お前、この男を知っているか?」コトブキがタバコに火をつけながら、一枚の写真をヨシダに渡した。丸刈りにした頭に、僧衣を着た男。 #ksktbk

2016-06-14 23:16:56
コセン・ニンジャ @kosn_ninja

「ああ、先週の取引相手だ」「何を買った?」「風摩草とか言う、変わった草だ。焚いてお香に使うんだと。初めて取り扱う物だから断ろうとしたんだが、支払いが妙に良くてな」「ザイゼン家の僧だ。死んだぞ、そいつ」「え」コトブキはもう一枚、写真を取り出して渡した。 #ksktbk

2016-06-14 23:20:57
コセン・ニンジャ @kosn_ninja

そこには、首を掻っ切られ、血の池に沈む男の姿があった。「どういう事だ…」「風摩草には、妖怪を極度に苦しませて力を封じる特性がある。ザイゼン家はそれを使って力のある妖怪を封じ込め、何かを企んでいるようだ」「妖怪?ハッ、そんなものが本当にいるとでも?」 #ksktbk

2016-06-14 23:25:26
コセン・ニンジャ @kosn_ninja

「いるんだよ、じゃなきゃ狐一匹の噂がここまで広まるか?」ヨシダはコトブキの声に、静かだが、激しい怒りがこもっているように聞こえた。「…そんで、その強力な妖怪ってやつが、噂の狐だと?」「ああ」 #ksktbk

2016-06-15 00:16:16
コセン・ニンジャ @kosn_ninja

「…もしかして、ご友人?」「相棒だ」「俺の売った草が、あんたの相棒を苦しめていると?」「可能性は極めて高いな」「仮に、そうだとして、俺の命を狙うクソッタレ共は何を企んでいる?」コトブキは、廊下の先の扉を親指で示して言った。「それを今から聞き出すんだろ?」 #ksktbk

2016-06-15 04:15:32
コセン・ニンジャ @kosn_ninja

【コトブキ探偵と殺生石 第二話】終わり。次話に続く。 #ksktbk

2016-06-15 04:16:45
忍者探偵アトゥム @ninjAtumECO

コトブキ探偵のお話だ このケチな売人を臨時の相棒にして挑もうというのか オツカレサマドスエ! #ksktbk

2016-06-15 04:48:19