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  • ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2016-06-16 22:42:24
    第3部最終章「ニンジャスレイヤー:ネヴァーダイズ」より【2:アイスエイジ・ステイシス】
  • ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2016-06-16 22:50:20
    冬のネオサイタマは灰色に沈み、重金属の粒子を含む雪が風に舞う。ネオンサイン広告看板はそれでも昼夜を問わず蛍光色のライトを明滅させ続けるが、それがかえって霊的な景観を助長することになった。ピンクに光る「プーレク宿原」の看板を掲げたカワイイ・カフェ。オープンテラスは当然稼働せず。
  • ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2016-06-16 22:53:46
    「ネオサイタマ・カワイイ・ウェザー!」店内TVに映るのは、楽しげなBGMを伴うオイラン天気予報。「雪雲くんは、今日はどれくらいネオサイタマを覆うかな?」「ぼくはたっぷり雪を降らせちゃうよォ……」戯画化された雪雲キャラクターが憂鬱そうに表情を曇らせた。「通勤は問題無し。ガンバロ!」
  • ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2016-06-16 22:58:28
    「今朝の映像」というテロップとともに、地下鉄へ向かう路上で氷に滑って転倒するサラリマン達がフォーカスされる。「ネオサイタマ市民は雪に慣れていません。油断せず、スノーシューズ等で備えてくださいね」「観光どころじゃないな」店内、テーブルで向かい合う男と女。「これが冬のネオサイタマか」
  • ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2016-06-16 23:02:56
    「わかってて聞いてンの?」男を睨んだ女は、特異な外見の持ち主だ。短く刈ったアシンメトリーの赤い髪。永久脱毛した眉のかわりにイバラのようなタトゥー。「地獄お」のマフラー。男はややたじろぎ、「いや、まさか……」「じゃあさっきからニュースの音は聞いてないのか?記録的寒波!記録的寒波!」
  • ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2016-06-16 23:07:24
    「温度というか、冬の装い全体の……」「いいや、観光どころじゃないって言ってた。嫌味で言ったんだね。わかる」男は救いを求めるようにカウンター方向を見た。男とそっくりな顔のもう一人の客が、トレーに人数分のコブチャとスシ・クレープを乗せてテーブルに向かって来る。「それぐらいにしておけ」
  • ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2016-06-16 23:14:17
    「ンン」女は椅子にもたれ、伸びをした。赤い髪を火花のような微細な熱の波が走った。そのさまを目に止めたのはニンジャ動体視力の持ち主だけだ。店内にニンジャは、この二人の非常によく似た男と、この女。彼らはそれ以上の無駄口は叩かず、黙々とスシ・クレープを口に運ぶ。
  • ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2016-06-16 23:22:34
    「約束の時間まで、あと5分」クレープを食べ終えると、トレーを持ってきた男が時計を確認した。「とっとと済ませて……」女は呟いた。「……まあ、その後やる事もないけどさ……どこのライブハウスが営業してるのかも、全然わかりゃしないし……そもそも、どうせむちゃくちゃ面倒だし」
  • ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2016-06-16 23:26:05
    「あれ、どう思った」男の一方がもう一方に問うた。問われた方は肩をすくめてみせた。「尋常じゃないって事だけは」「マジで?それだけ?」女が片眉をあげた。男は言い直した。「いや。そうだな……ポータルで繋いだ通路と特徴が似ているのは確かだ」「どうにか出来そうか?」「試す他ない」
  • ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2016-06-16 23:30:54
    「そう何度もやれそうにない」一方が呟いた。「この天候で、路上をうろつく人間は通勤時間を除くとほぼ無し。それなのに例のハイデッカーの巡回は偏執的だな……まるで戒厳令だ。誰何されればただでは済むまい」「ぶっつけ本番ね」女は言った。「アタシだってこんなクソ寒い中でダラダラしたくない」
  • ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2016-06-16 23:35:49
    「詳しい流れは彼らともう一度打ち合わせる必要があるが……」店員が口を開けてテレビを見ている事を確認した後、一方は机の上で両手を近づけた。手の平の間の空気がジワリと歪み、超自然の小さな靄が生じた。もう一方も合わせるように手をかざした。靄の境目が0と1のノイズを伴って震動し、波打つ。
  • ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2016-06-16 23:41:56
    ポータルは二重になることでくっきりと安定し、謎めいた暗黒に繋がる奇妙な穴を虚空に固定した。「何度か試して、コツは掴んだ。あとは、これであの『壁』に風穴が穿てるかどうかというところだ。彼が言っているのだから、恐らく可能なのだろう……」「言っている、ッてのも伝聞ね」女は眉をしかめた。
  • ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2016-06-16 23:45:15
    「気に入らない事ばっかだ。後何分だよ?」女は虚空に固定された小さな穴にクレープをちぎって投げ入れながら、不服げだ。双子は同時に時計を見、同時に呟いた。「「待とう」」「アーッ!」女は衝動的にクレープを穴に投げ捨てた。「それイラつく!」「ワザとじゃない」「その通り……」ドアが開いた。
  • ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2016-06-16 23:49:47
    「イラッシャ……」店員がアイサツしかけて息を呑む。双子はポータルをかき消した。白い制服を着たサイバーサングラスの男達がドカドカと入店した。「お、おつとめご苦労様で」店員がひきつった笑顔を浮かべた。男達は店員を無視し、テーブルの三人を無表情に見た。「市「イヤーッ!」KABOOOM!
  • ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2016-06-16 23:52:46
    「「「グワーッ!」」」ハイデッカー隊員の制服が突如炎を発した。彼らは怯み、燃えながら叫んだ。女の赤い髪に炎が波打つ。かざした両手に力を込める。「イヤーッ!」KABOOOM!炎が爆ぜる!「ちッくしょう!時間を守らない奴らが悪りィんだぞ!」「クソッ!」双子も椅子を蹴り、立ち上がった。
  • ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2016-06-16 23:59:34
    「ア、アッコラー市民!」「スッゾ市民!」生き残ったハイデッカー隊員は果敢に三人を銃撃する。「イヤーッ!」女は両手で振り払うような仕草をし、胸を反らせた。銃弾は三人に届く寸前で赤く燃え、散った。「イヤーッ!」燃え残った隊員の一人が制服を脱ぎ捨てる。現れたのは装束姿の男。ニンジャだ!
  • ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2016-06-17 00:05:34
    「早速、反秩序ニンジャ存在を発見」ニンジャは喉を鳴らして笑った。「流石アルゴスネットといったところだな。ドーモ。ウェアジャッカルです」オジギを繰り出す。頭を上げた時には、その顔は人のそれではなく、その名の通りジャッカルめいた怪物であった。女は舌打ちした。「ドーモ。イグナイトです」
  • ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2016-06-17 00:07:41
    「ドーモ。アンバサダーです」双子の一方がアイサツし、もう一方が続けた。「ドーモ。ディプロマットです」KRAAAASH!彼らの背後、カフェのウインドウを破砕し、強引に更なるニンジャがエントリーしてきた。天井をつく偉丈夫で、鬣めいた長髪を振り乱す。「ドーモ。ゴールドライオンです!」
  • ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2016-06-17 00:11:15
    「アババーッ!?」カウンターの奥に隠れていた店員は恐る恐る騒ぎを垣間見、計五人のニンジャの力の緊迫を目の当たりにした事で急性NRSを発症。嘔吐失禁して床に転がった。「イヤーッ!」イグナイトが炎をさらに浴びせる。「「グワーッ!」」ハイデッカー隊員は焼死!ウェアジャッカルは床を蹴る!
  • ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2016-06-17 00:19:21
    「イヤーッ!」ウェアジャッカルのジャッカル・カラテがイグナイトを襲う!「イヤーッ!」イグナイトは眼前の空間に炎を噴出させて迎え撃とうとするが、チョップの到達が一瞬速い。「グワーッ!」ウェアジャッカルは床に叩き伏せられたイグナイトへの追撃を敢えて止め、飛び下がった。警戒の為だ。
  • ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2016-06-17 00:23:07
    「チィーッ」アンバサダーは両手をかざしながら眉をしかめた。生じかかったポータルが歪んで消えた。「何らかのジツがある!やはりな」ウェアジャッカルは舌なめずりした。「注意せよゴールドライオン=サン!」「ハッ!ジツ頼りか」ゴールドライオンは丸太めいた腕を振り上げた。「カラテを受けよ!」
  • ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2016-06-17 00:26:30
    その眼前に炎の輪が閃き、イグナイトが出現した。ゴールドライオンは目を見開いた。「イヤーッ!」イグナイトはゴールドライオンの厳つい鼻面にジャンプパンチを叩き込んだ。その肘からはジェットめいて炎が噴出し、拳速を高めている!「グワーッ!」ゴールドライオンが壁に叩きつけられる!
  • ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2016-06-17 00:28:50
    「おのれ!」ゴールドライオンは四角い顔に怒りを滾らせて牙を剥き出し、両手の鋭利な爪を打ち鳴らした。彼女はビッグニンジャ・クランのニンジャソウルを宿した冷酷な戦士であり、なおかつ何らかの剣呑なサイバネ手術で戦闘力を強化している。「イヤーッ!」イグナイトは反動で後ろに宙返りを打つ。
  • ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2016-06-17 00:32:59
    「イヤーッ!」ディプロマットがイグナイトに手をかざすと、彼女は円い穴に飲み込まれた。「イヤーッ!」一方、アンバサダーはウェアジャッカルに両手のひらを向けている。カラテ警戒するウェアジャッカルの斜め後方に開いた円い穴から、イグナイトが飛び出し、とび蹴りを見舞った。「イヤーッ!」

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