ラストバレット―Keep under― エネミー

貧富の差が拡大した近未来。 選ばれた富裕層は自らの安全と権利を守るため『オーバー』と呼ばれる特区を形成。 それ以外の地区を『アンダー』と呼び、管理するようになる――。 続きを読む
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ニンジャカタナ! @NJkatana

こんばんは!予告しておりました通り、ただ今より@NJkatanaアカウントにて、拙作『ラストバレット』のツイッター投稿を行います!お忙しい時間帯にお邪魔してしまいますが、どうぞテレビの流し見感覚でご覧頂ければ幸いです! 全話保管庫 kakuyomu.jp/works/11773540…

2016-06-15 22:00:46
ニンジャカタナ! @NJkatana

時間は約1時間を想定しています。ツイート間隔は約二分から三分になります。宣伝のため、作者アカウントでも冒頭の数ツイートを投稿させて頂きます! それでは、本日も宜しくお願いします!

2016-06-15 22:02:22
ニンジャカタナ! @NJkatana

あらすじ: 近未来。富裕層は自らの安全を守るためオーバーと呼ばれる特区を形成。 それ以外の地区をアンダーと呼び、管理するようになる。 そんな中、傭兵組織ギルドのS級傭兵ユウト・キサラギは、アンダーからの依頼を積極的に受ける変わり者として、今日も世界各地で戦いを続けていた――。

2016-06-15 22:03:27
ニンジャカタナ! @NJkatana

ラストバレット―Keep under― エネミー ――――――――――――――◆

2016-06-15 22:04:16
ニンジャカタナ! @NJkatana

今日、ぼくはお母さんと、妹と一緒におでかけしました。今まで住んでいた町からお引っこして、もっといいところにいくんだって。 ずっとはなれて暮らしていたお父さんがいっぱいお仕事をしてくれたおかげで、お引っこしが出来るって、お母さんはとてもよろこんでいました。

2016-06-15 22:05:19
ニンジャカタナ! @NJkatana

お引っ越しには、大きな列車を使います。はじめて見る列車に、僕も妹も大よろこび! でも、列車の中はせまくて、ぼくたち以外にもたくさんの人がいました。とても長い間乗っているので大変だったけど、列車の中でとなりに座っていたお兄ちゃんがいっしょに遊んでくれたので、すごく楽しかったです。

2016-06-15 22:07:18
ニンジャカタナ! @NJkatana

お兄ちゃんは、この列車にお仕事で来たって言ってました。列車でお仕事ができるなんて、本当にすごいと思います。ぼくも大きくなったら、お兄ちゃんみたいなお仕事がしたいと思いました。 明日にはぼくたちが行く町につくので、ぼくもそろそろ寝ないといけません。明日もおにいちゃんと遊べるかな。

2016-06-15 22:10:21
ニンジャカタナ! @NJkatana

「――おやすみ」 薄明かりの中、一定間隔で響く車輪の音――。 ユウトは静かに言って、隣で眠る兄妹の上に使い古された毛布をかけた。

2016-06-15 22:13:34
ニンジャカタナ! @NJkatana

「よほど楽しかったんでしょうね……ありがとうございました」 向かいに座る女性がユウトに頭を下げる。女性の顔はやつれ、顔色もあまりよくなかった――。 彼らの周りでは、同じようにこの最低等級の寝台車両――有り体に言えばただの荷台に雑魚寝する乗客達が、思い思いの時間を過ごしている。

2016-06-15 22:16:04
ニンジャカタナ! @NJkatana

「俺の方こそ――元気なお子さんですね」 「ええ。本当に……それだけが望みです」 女性は疲れをたたえた表情で頷き、足下で眠る少女の頬をなでた――。

2016-06-15 22:17:50
ニンジャカタナ! @NJkatana

「私達のいた区画は限界でした。日増しにエネミーの襲撃が激しくなって……毎日のように、誰かが――」 「待って――静かに」 女性はそのまま話しを続けようとした。だが、それをユウトは制する。そして何かを探るような素振りを見せる――。 「――来た」

2016-06-15 22:19:10
ニンジャカタナ! @NJkatana

それは、常人であれば決して気づかなかったであろう兆候。 レールの上を走り抜ける旧式のディーゼル大型列車。その金属製の側面に、鋭いカギ爪が食い込む音――。 警報装置は反応しない。この車両で他にその兆候を察知した者はいない。 『ユウト、エネミーの出現を確認。熱源反応多数――』

2016-06-15 22:21:33
ニンジャカタナ! @NJkatana

『エネミー』 それは、人類全ての傲慢の産物。 21世紀後半、技術革新に限界が見え始めていた人類は、遺伝子操作による強制的な進化を模索していた。そして、その模索の結果がエネミーと呼ばれる人造生物の誕生――。 人類は、自らの手で自らの天敵を生み出してしまう――。

2016-06-15 22:23:19
ニンジャカタナ! @NJkatana

世界がアンダーとオーバーに隔てられたのも、ギルドと呼ばれる傭兵集団が組織されたのも、元を辿れば全てはこのエネミーの存在が根源にある。 そして、エネミーの出現から数十年。様々な特性を持ち、野放しとなって増加するエネミーへの抵抗は、すでに、人類の手綱を完全に離れていたのだ――。

2016-06-15 22:25:38
ニンジャカタナ! @NJkatana

『情報通り、タイプはロングアームで間違いなさそう。ユウト、いける?』 列車内部――。 緊張した様子のアリスの声に、ユウトが応える。 「うん、こっちでも確認した」 ユウトは立ち上がりつつ返答すると、自分を不安そうに見上げる女性に向かって笑みを向ける。

2016-06-15 22:27:57
ニンジャカタナ! @NJkatana

「絶対にここを動かないでください。皆さんのことは、俺が守ります」 「ま、まさか……あなたのお仕事って――」

2016-06-15 22:28:48
ニンジャカタナ! @NJkatana

「傭兵です」 ユウトは短く告げると、そのまま先頭車両に向かって駆けだしていく。 「絶対に動かないでくださいね!」 その声を残し、ユウトは別の車両へと向かう。そしてそれと同時、車内に警報が鳴り響き、肩を寄せ合う乗客達を、明滅する赤い光が照らし出した――。

2016-06-15 22:30:15
ニンジャカタナ! @NJkatana

「はぁあああああ!」 一閃。 旧式ではあるが、豪奢な意匠が施された一等車両内部。赤熱した白刃が灰色の肌を持つ異形の人型を切り裂く。白刃の主は即座に跳躍。閉所であるにも関わらず、その小柄な体躯をバネのようにしならせ、一瞬で三体の異形を叩き伏せる。 「弱いっ!」

2016-06-15 22:33:35
ニンジャカタナ! @NJkatana

鮮血が舞い散る車両内。しなやかな肉体を軽装で包み、その長い赤髪をひとまとめにした女が苛立ちも露わに吐き捨てる。 「こんな弱くてっ!」 左手に持った赤熱刀で後方の異形を切り裂く。 「なにするつもりだったのよっ!」 右手に持った赤熱刀で、前方から迫る異形の両腕をたたき折る。

2016-06-15 22:34:58
ニンジャカタナ! @NJkatana

「がっかり!」 そう言って、鮮血に沈む異形を馬鹿にするように鼻で笑う。だが――。 銃声。女がその音に驚いて振り向くと、未だ息のあった異形の頭部が、一発の弾丸で撃ち抜かれる。 「気をつけて、エネミーはしぶとい」 「ユウト!? べ、別に、あんたに助けて貰わなくたって私一人で!」

2016-06-15 22:37:00
ニンジャカタナ! @NJkatana

「油断しちゃ駄目だ。協力して守ろう、クロエ」 「む~~、わかったわよ!」 クロエはしぶしぶといった様子で頷くと、左右の腕に装着された赤熱刀を振り払う。ユウトも同じように頷き、素早く弾倉を交換、リロードを完了する。 「いい? 私がB級だからって、甘く見ないでよね」

2016-06-15 22:39:24
ニンジャカタナ! @NJkatana

「わかってる。B級三位になったって聞いたよ」 「そ、そうよ! 三位、あなたと同じ三位なんだから!」 ユウトはクロエのその声には応えずに窓枠を外す。ゴウっという強い風が車内に吹き込み、ユウトは月と人工灯に照らされた車外に身を躍らせる。 「ちょっと! どこいくの?」

2016-06-15 22:40:57