ラストバレット―Keep under― エネミー

貧富の差が拡大した近未来。 選ばれた富裕層は自らの安全と権利を守るため『オーバー』と呼ばれる特区を形成。 それ以外の地区を『アンダー』と呼び、管理するようになる――。 続きを読む
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ニンジャカタナ! @NJkatana

「中に入ったエネミーは全部倒した、後は外だ」 「外――。わかったわ」 強烈な風圧に煽られつつ、二人は列車の上へと素早く登る。ユウトはそこで目を細め、先頭車両前方――。 闇の中に浮かび上がる敵の姿を捉える――。

2016-06-15 22:43:10
ニンジャカタナ! @NJkatana

ユウトの視線の先。 5メートルはある巨大な体躯。そしてその巨体に似合わぬ細く、長い手足。車内で交戦したエネミーの姿形がそのまま巨大化したかのような、異形の怪物が張り付いていた。 「クロエ、運転していた二人は?」 「真っ先に避難させたわ。今は自動運転」 「わかった。ありがとう」

2016-06-15 22:45:19
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巨体を乗せて加速する列車。ユウトは二丁拳銃を構え、クロエの持つ赤熱刀が発熱を開始――。 『目標は大型エネミー<<ロングアーム>>です。伸縮自在の手足と、強力な再生能力を持っていますが、脳髄を破壊することで無力化できます』 「了解。クロエは手を!」 「任せて!」 二人が飛ぶ。

2016-06-15 22:47:08
ニンジャカタナ! @NJkatana

正面から叩き付けられる風も意に介さない。二人は自身を弾丸と化して特攻。同時にロングアームが二人の存在に気づく。 取り付いた四本の手とは別に、その背中から数本の手が生え出る。だが――。 ユウトが速い。 時間にしてわずか3秒。数両の車両距離を一瞬でゼロにしてロングアームに迫る。

2016-06-15 22:49:06
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なぎ払うロングアーム。その腕はそれぞれが数メートルにまで伸び、鞭のようにしなりながらユウトを狙う。が、届かない。 「あんた――っ、速すぎ!」 翻る一閃。 僅かに湾曲したクロエの赤熱刀が、しなる腕を一刀のもとに両断。切り離され、落下した腕がレールに挟まれ血飛沫を上げる。

2016-06-15 22:52:05
ニンジャカタナ! @NJkatana

クロエは反対側から迫るもう一本の腕も切り上げ一閃。それと同時に跳躍し、更に二人を狙う上空の腕も空中旋回、正円を描いて切断する。 「これでどう!? 後は任せたわよ!」 「よし――」 苦悶の雄叫びを上げるロングアーム。その眼前に、十分に接近し、体勢を整えたユウトが飛んだ――。

2016-06-15 22:53:43
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銃声。銃声。銃声の連打。 跳躍したユウトを狙い、車両から手を離すロングアーム。もっとも強靱な二本の腕が、ユウトを狙い左右から迫る。だが、彼にはそれすらも届かない。 空中に浮遊し、軌道変更は不可能なはずのユウトが、何かに弾かれたかのように二度、三度と跳ね回り、攻撃を回避する。

2016-06-15 22:56:13
ニンジャカタナ! @NJkatana

驚愕に見開かれるロングアームの両目。その巨大な双眸に、ユウトの放った無数の弾丸が吸い込まれ、貫通。眼底を破壊し、その奥に隠された脳髄をぐずぐずに攪拌(かくはん)。 巨大なロングアームの血に濡れた生涯と意識が黒に染まり、ブツリと途絶えた――。

2016-06-15 22:58:08
ニンジャカタナ! @NJkatana

次の日、ぼくが目を覚ますと、列車はあたらしい町についていました。でも、そのときぼくはとても大切なことに気がづいたんです。 昨日あそんでくれた、お兄ちゃんがいないんです。

2016-06-15 22:59:48
ニンジャカタナ! @NJkatana

ぼくは、妹といっしょにお母さんに聞きました。お兄ちゃんはどこ? って。 すると、お母さんはいいました。 「お兄ちゃんは、お仕事があるから、先に降りるって」 「え~~! なんで起こしてくれなかったの!?」 ぼくと妹はお母さんにいいました。

2016-06-15 23:02:14
ニンジャカタナ! @NJkatana

だって、まだいっぱい遊びたかったし、それに、お別れだっていってない……。 「私たちが町につけたのは、お兄ちゃんのお仕事のおかげなのよ。だから、もし今度お兄ちゃんに会えたら、お礼をいいましょうね」 ぼくはお母さんの話はよくわからなかったけど、なんだかうれしい気持ちになりました

2016-06-15 23:03:41
ニンジャカタナ! @NJkatana

そして窓から外を見て、言いました。 「ありがとうお兄ちゃん! また会おうね!」

2016-06-15 23:04:58
ニンジャカタナ! @NJkatana

「もー! なんで次の町まで歩かなくちゃいけないのよ!」 眩いばかりの朝焼けに照らされた大地に、憤慨したクロエの声が響く。 「大丈夫。もうすぐアリスが迎えに来るよ」   そんなクロエに笑みを浮かべ、ユウトはゆっくりと、一定の速度で荒野を歩いていく。

2016-06-15 23:06:42
ニンジャカタナ! @NJkatana

「……アリスって、ユウトのナビでしょ? よ、呼ばなくていいわよ……!」 「え? そんなこと言われても、もうそろそろ見えて――」 姿を現わした太陽の映る影。クロエも何度か見たことのある、ユウトの輸送ヘリ――。 「あ、おーい! こっちこっちー!」 「……あーあ」

2016-06-15 23:08:34
ニンジャカタナ! @NJkatana

クロエはその光景に心底残念そうな溜息をつくと、そのまま手を振るユウトについて、光の中を歩いて行くのであった――。

2016-06-15 23:09:42
ニンジャカタナ! @NJkatana

ラストバレット―Keep under― エネミー>>>End >>>to be next ――――――――――――――◆

2016-06-15 23:10:33
ニンジャカタナ! @NJkatana

自作「ラストバレット―Keep under―」 @NJkatanaにて好評連載中! 第三話をカクヨムにてまとめました! アンダーの人々が乗る列車の護衛依頼を受けたユウト。B級三位のクロエと協力し、列車を守り切ることができるのか。 kakuyomu.jp/works/11773540…

2016-06-15 23:13:54
ニンジャカタナ! @NJkatana

本日も投稿中のlike・RT。沢山頂きまして本当にありがとうございました!まるで宇宙へと飛んでいく三段ロケットの如く俺のテンションが爆上がり!めっちゃ励みになってます!感想やご指摘、ご質問などありましたら、どうぞお気軽にご連絡くださいませーー!٩(๑•̀ω•́๑)۶

2016-06-15 23:16:21