Orphe兄貴のマイアミ鎮守府 2014年10月

とある艦これ鎮守府の記録
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orphe @orphechin

「そ、そうなんか…大変じゃったのう」学びたての英語からかろうじて文脈を掴み、浦風は愛想笑いを作る。彼女の腰を陽炎の肘がこっそりとつつく。浦風は慌てて「し、失礼しました!…そのう、まだまだ若輩ですが、頑張りたいと思います」 #マイアミ鎮守府

2014-10-26 21:06:31
orphe @orphechin

ジェームズはゆっくり頷き、「焦らなくても大丈夫です。こういうのは場数ですから。幸いあなたには熱心な教育係もいらっしゃる、きっと良いビジネスマンになりますよ。教師が驚くぐらいの、ね」 「恐縮です、うちの若いのにそんな言葉をかけていただいて」陽炎が頭を下げる #マイアミ鎮守府

2014-10-26 21:08:28
orphe @orphechin

「とりあえず、こちらの方でも準備に取り掛からせていただきます。資金は予定通り、一週間後には振り込まれるという形でよろしいのですね」 「ええ」 「では今日はこれにて。最後に握手をしませんか、全員で」 ジェームズが片手を差し出す。 #マイアミ鎮守府

2014-10-26 21:11:44
orphe @orphechin

初霜、浦風、そして陽炎が彼の手に自分の手を重ねる。 「ビジネスの成功を祈って」 「がんばりましょう」 「うむ」 「よろしくおねがいします」 #マイアミ鎮守府

2014-10-26 21:12:36
orphe @orphechin

陽炎たちがビルの1階に降りると、グラサンをかけた傭兵の金剛が彼女たちを纏めて抱きしめる。「heyガールズ?ビズは成功した?それともフェイルド?」彼女のハグを振りほどいて、陽炎が言う。「うまくいったわよ。そろそろディナーにしない?もう日も暮れたし」 #マイアミ鎮守府

2014-10-26 21:14:48
orphe @orphechin

「そりゃいいネ、こっちはお昼の一時からずっと車内で待ちっぱなしでしたから」 陽炎の言うとおり、香港の空は夜を迎えて紫色へと変わり、ビル街の明かりは各々の個性を主張し始めようとしていた。 「それなら菜南街はどうです?あちらには私の行きつけも多いですし」初霜が言う。 #マイアミ鎮守府

2014-10-26 21:19:14
orphe @orphechin

「おうメシか!香港本場の中華料理か?それとも西洋料理か?」浦風が興奮する。「ビールビール!仕事上がりにはやっぱり炭酸ネ」金剛もそれに加わる。「はいはい、ちゃんと皆さんのご要望は考慮しますよ。ところで陽炎のご希望は?」 #マイアミ鎮守府

2014-10-26 21:30:30
orphe @orphechin

「あたしは…」はたと言いよどんで、陽炎は腕を組む。 「…何がいいのかしら。食事とか今まで気にしてなかったし」 金剛が彼女の肩を叩く。 「ヘイ息抜きは大事ヨ?ビズがきになるのはあたりまえだけど、バランスを考えないとどこかで転んじゃうネ」 「そうじゃそうじゃ」 #マイアミ鎮守府

2014-10-26 21:32:21
orphe @orphechin

「まともな仕事してない奴に言われてもね」肩をすくめる陽炎に、浦風はむっとした表情で「ライフを重視するんがぐろぉばるすたんだぁどっちゅうんじゃないんかい。いつまでもそんなジャップの精神じゃ海外じゃ通用せんじゃろ」 「なんですって!?人の気も知らないで!」 #マイアミ鎮守府

2014-10-26 21:35:13
orphe @orphechin

陽炎が浦風の胸ぐらを掴む。 「オーヘルプミー!パワハラじゃー!」 「まあまあ、喧嘩はそこまでにしなサーイ」金剛が二人を引き離す。 「お腹が空いてるとイライラしててダメネー。腹いっぱい飲んで食べて、日頃の憂さを晴らすのが一番ヨ」 #マイアミ鎮守府

2014-10-26 21:37:58
orphe @orphechin

「じゃあタクシーでも拾っていきますか」初霜が3人に提案する。「異議なしデース」調度良く、彼女たちの目の前の道路にはタクシーが。そのうちの一席が、商機を逃すまいと窓を開ける。浦風がそこに近寄りさっそく交渉を始める。「なあおっちゃん、菜南道まで安くしてもらえん?」#マイアミ鎮守府

2014-10-26 23:47:26
orphe @orphechin

「ええ。目的地まで格安でご招待しますよ」「そりゃええ。おうみんな、はよ乗りい」 金剛の目が、運転手と合う。 次の瞬間。 「浦風、get down!」 彼女の腕が浦風を掴み、タクシーから引き離す。轟音が2つ鳴る。 #マイアミ鎮守府

2014-10-26 23:49:08
orphe @orphechin

「何すんじゃ!」地面に投げつけられた浦風が金剛に抗議する。しかし言葉を発した瞬間、彼女は絶句する。 彼女の視線にあったのは、頭を半分失い、それでもなお浦風にサインを送る金剛の姿だった。その手つきはこう告げている。 危険だ、逃げろ。 続けざまに四方から砲声。 #マイアミ鎮守府

2014-10-26 23:51:13
orphe @orphechin

金剛は艤装を動かし、砲の鳴る方へ射撃する。しかしすでに制御を失った彼女の砲身は、見当違いの向きへと41cm砲の砲弾を送り込む。典雅なビジネスビルがオレンジ色に輝き爆発し、ほうぼうから悲鳴が聞こえる。そしてその悲鳴も、新たな砲声にかき消されていく。 #マイアミ鎮守府

2014-10-26 23:53:49
orphe @orphechin

「…逃げなさい!} その言葉を最後に、金剛の残った顔の部分が爆散する。浦風の顔に、金剛の一部が被着し、彼女は悲鳴を上げる。 何が起こっているのか。なぜ自分は血まみれなのか、なぜ、さっきまで笑って話していた金剛が、こんな、肉の、塊に-- #マイアミ鎮守府

2014-10-26 23:55:26
orphe @orphechin

遠くなりかけていた浦風の意識を引き上げたのは、陽炎。 彼女は浦風の頬を張る。 「逃げるわよ!」 呆然としながら彼女は問う。 「え、なんで」その問に答えず、陽炎は舌打ちし、彼女の腰に手を回す。 「初霜!車!車見つけて!」 3人のすぐ近くを、砲弾が飛び交う。 #マイアミ鎮守府

2014-10-26 23:57:13
orphe @orphechin

初霜は手近に見つけたシボレーのコルベットの窓を叩き割り、エンジン部分に妖精を送り込む。 彼女のしもべは直ちに仕事を果たし、エンジンがかかる。初霜は窓から運転席に乗り込み、叫ぶ。 「二人共乗って!」 陽炎は浦風を後部座席の方に投げ込み、自分も窓から入り込む。 #マイアミ鎮守府

2014-10-26 23:59:29
orphe @orphechin

3人を載せたコルベットが、猛烈なエンジン音を鳴らして香港の街を走りだした。 それを遠目で見ながら、先ほどのタクシーの運転手が帽子を路上に放り投げる。同時に彼女の長く艶やかな髪が、街のライトに照らされて怪しく輝く。 「こちら筑摩、ターゲットが逃走しました、追撃を」 #マイアミ鎮守府

2014-10-27 00:01:43
orphe @orphechin

同時刻。香港の高層ビルの頂上で、筑摩の仲間が彼女の通信を受ける。 「了解。あきつ丸、いざ追撃す。追って貴艦も発艦準備されたし」 彼女は通信を切ると、夜景の光の届かぬ漆黒の衣装を翻す。 すると、彼女の背中から純白に輝く帯が伸び、そこに虹色の文様が浮かぶ。 #マイアミ鎮守府

2014-10-27 00:04:50
orphe @orphechin

虹色の文様は帯の上を這い、やがてそれにも飽きたらぬ様子で夜闇の中に浮き上がり、分離した。 およそ使い手にしか理解のできぬ無数の文字が、空中でしばしもどかしげに蠢くと、プロペラを付けた機体へと変化していく。 #マイアミ鎮守府

2014-10-27 00:07:03
orphe @orphechin

「カ号、頼むぞ」 あきつ丸の合図と同時に、狩人たちは香港の夜闇へと疾駆していった-- #マイアミ鎮守府

2014-10-27 00:07:48
orphe @orphechin

「陽炎たちと連絡がつかないだと?」 「ええ。先程定期連絡をいれたんだけど、三人とも返ってこないの」龍田が申し訳なさそうに言う。「それと、念のために取引先の企業とも連絡をつけたんだけど、全く通じなくて…」 じわじわとした嫌な予感が俺の背に這いよってくる。 #マイアミ鎮守府

2014-10-27 18:50:06
orphe @orphechin

「囮機動部隊依頼を受けてる遠征組は今どのあたりだ」 「インドネシアの周辺よー。香港までは数時間かかるかと」 「それでもいい。向かわせる」 「あのワープできる瑞雲は」 「修理中だ。肝心な時にぶっ壊れやがる」 「大長編ではよくあることね~」 #マイアミ鎮守府

2014-10-27 18:52:56
orphe @orphechin

陽炎たちは皆戦闘経験が浅い。腕の立つ傭兵を雇ってるらしいが、おそらくそれよりもっと大きな兵力を相手にしてるのだろう。クソ、こんな事なら海外の兵力も強化しておくべきだった。 「提督!」天龍が俺の部屋に駆け込んでくる。「テレビを見てくれ、香港が…」 #マイアミ鎮守府

2014-10-27 18:55:39
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