-GC大戦レイド/7loops- 花束の奥底

6/24にやらせていただきましたミニレイドのまとめ。 7loops、7周目4日目の話です。 花の騎士と星の弓兵の聖印問答。此処は混沌の大陸、あらゆる可能性がキミを待つ。 参加してくださった皆様、見てくださった皆様、本当にありがとうございました! 続きを読む
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プロローグ

おやすむ💤ウニ @lv100uni

7廻目の4日目。 あるいは、いつぞやの会話。 #一矢流星 #花束の奥底

2016-06-24 17:45:53
おやすむ💤ウニ @lv100uni

「この箱、不思議だよなぁ。なんか最近やたらよく見るけど」 オリオンがテーブルに置いた箱をこつんと指で叩いた。クランから以前貰い受けた物だ。 爪の当たる音は硬質で響かない。中に何か入っているのだろうか? 「名前はついているのか?」 「あぁ。《希望の箱》って皆呼んでる」 #花束の奥底

2016-06-24 17:49:09
おやすむ💤ウニ @lv100uni

シズノの問いに対し、オリオンが答える。とはいえオリオンもあまり詳しいことは知らない。パンドラを専門に追っているわけではないからだ。ただ、この箱には人を癒す力がある――それだけしか、しがない弓兵は知らない。 「希望の箱……パンドラの箱だな」 「パンドラの箱?」 #花束の奥底

2016-06-24 17:52:16
おやすむ💤ウニ @lv100uni

パンドラ。それはこの大陸を掻き乱す不倶戴天の敵の名だ。オリオンはその名前がシズノの口から出た事を不思議に思った。確かにパンドラから入手した箱ではあるが。 「俺が元いた世界、つまり蒼き星で伝わる伝承の一つに、その箱について記述があったな」 「どんなだ?」 #花束の奥底

2016-06-24 17:55:12
おやすむ💤ウニ @lv100uni

「パンドラというのは本来人名だ。神の下から傲慢にも火を奪った人間へ、神より遣わされた天罰を与えるための災厄の女、それがパンドラ。彼女は神から遣わされた際、箱……一説には甕であったとも言われるものを持っていた」 「それがパンドラの箱?」 「そうだ」 #花束の奥底

2016-06-24 17:59:34
おやすむ💤ウニ @lv100uni

「開けてはいけない箱、だったそうだ。神話の話だ、まぁ開けるよな」 「開けるな」 「彼女をめとったエピメテウスはパンドラの箱を開けた。すると箱の中からは疫病、悲嘆、欠乏などのあらゆる災厄、そしてそれらを司る神が世界に解き放たれたという」 「うわ……」 #花束の奥底

2016-06-24 18:06:20
おやすむ💤ウニ @lv100uni

「全てが解き放たれた後、箱を閉めたのはパンドラだった。しかし箱の中から最後まで出ていかなかった存在が一つだけ。何だと思う?」 「……、……希望、か?」 「察しが良いな。その通りだ。パンドラの箱からは人々を苦しめる全ての災厄がばら蒔かれたが、唯一箱には希望が残った」 #花束の奥底

2016-06-24 18:08:51
おやすむ💤ウニ @lv100uni

「この『箱に希望が残った』ことをどう解釈するかは諸説あるが、一般的には『希望が人間の手元に残った』と解釈されている」 「希望が、ねぇ……でも、おかしくないか?箱から飛び出たものが神から人に与えられたなら、箱の中に残ったものは人に与えられてはいないだろ」 #花束の奥底

2016-06-24 18:11:59
おやすむ💤ウニ @lv100uni

「お、鋭いな」 「あと…んな災厄だらけをぶちこんだ箱の中になんで希望なんてキラキラしたものが入ってんだよ。その箱って要するに神様からの仕置きの品だよな。なんだ?当りクジか?」 「当りクジという発想は面白いが、確かにお前の言うことも一理ある。故に、こういう解釈もある」 #花束の奥底

2016-06-24 18:16:34
おやすむ💤ウニ @lv100uni

「そも、希望など人には与えられてはいない。与えられたのは『この世のどこかに希望はある』という希望だけ」 「あるいは、希望という存在そのものが、最大の災厄である――人は希望にすがるがゆえに、容易に諦め死ぬことができないのだと」 #花束の奥底

2016-06-24 18:19:13
おやすむ💤ウニ @lv100uni

「えげつな」 「だろ?ちなみにこの『希望』というのが実質何であるかというのにも諸説あって、『希望そのもの』『予兆』『未来』『可能性』……どれもそれっぽいな」 「……」 「どういう原理でその箱が人を癒すのかは俺にもさっぱりだが、お前の箱には何が入ってるんだろうな?」 #花束の奥底

2016-06-24 18:23:39
おやすむ💤ウニ @lv100uni

「……お前の『眼』には何が視えてる?」 オリオンが訊ねると、シズノはおかしそうに笑った。すい、と紫の右目が細まる。 「俺の眼はそこまで万能じゃない。……視えないものもあるさ。そして、知らぬが良い事も」 「何だよ気味悪いな……」 「俺にそれを言うのは今更感あるぞ」 #花束の奥底

2016-06-24 18:27:35
おやすむ💤ウニ @lv100uni

オリオンの指先がまた一度、こつんと箱を叩いた。 返答は無い。 今は、まだ。 #花束の奥底

2016-06-24 18:29:18

奥底に眠る真実を求めて

おやすむ💤ウニ @lv100uni

『花束の奥底』 ――その『花園』では、実に美しい騎士が待っている。 奥底に潜む真実を隠しながら。 #花束の奥底

2016-06-24 20:37:20
おやすむ💤ウニ @lv100uni

「シズノ、これをどう思う?」 「お前本当にあの箱を開けるとは思わなかったぞ。そんなんだからあの盾兵に殴られるんじゃないか」 #花束の奥底

2016-06-24 20:39:45
おやすむ💤ウニ @lv100uni

――そんな珍妙な会話から幕を開ける。 今、オリオンと彼のオルガノン、シズノの前には混沌の具現があった。空間に黒い裂け目を作り、その先は一寸闇に呑まれて見えない。聞けばやはりというか、あの話の後クランから貰った《希望の箱》を開封したのだという。 #花束の奥底

2016-06-24 20:42:40
おやすむ💤ウニ @lv100uni

否、本人曰く『ちょっと弄ったら勝手に開いた。これまで開く気配なんて何もなかったのに』だそうだ。嘘を吐いているようにも見えないそれに、シズノはややきな臭さを感じて空間を視る。 元々この箱はパンドラのアジトから強奪してきたもの。どんな罠が仕掛けられているか知れない。 #花束の奥底

2016-06-24 20:46:12
おやすむ💤ウニ @lv100uni

罠があるか、有害なものであれば今すぐ祓うべきであるし、そうでないなら――例えば、もし本当にこの箱の中に『希望』などという眉唾なものが入っているのだとしたら、それはそれで何かしら手を打つ必要がある。その見極めのためにシズノが呼ばれたのだった。 闇の向こうは視えない。 #花束の奥底

2016-06-24 20:49:02
おやすむ💤ウニ @lv100uni

ただ、何か、得体の知れない混沌めいたものが蠢く感覚と、時空の歪みのようなものを感じた。 「……どこかに繋がっているな、これ。この歪みはさながら通り道だ」 「魔境か?」 「いや、俺にはよく……分からない。危険は無いように視えるが、……なんだ?これは」 #花束の奥底

2016-06-24 20:51:39
おやすむ💤ウニ @lv100uni

シズノが不可解な様子で顔を傾げる。その手が歪みに触れ――ばちん、と弾かれた。 「おい、大丈夫か」 「……なるほど、俺には知る資格など無いという事らしい」 「何の話だよ」 オリオンの追及に答える気のないシズノは、彼を見る。 無鉄砲さは言わずもがな。止めても無駄か。 #花束の奥底

2016-06-24 20:54:21
おやすむ💤ウニ @lv100uni

「お前の箱に入っていたのは『可能性』の具現のようだ、オリオン」 「はぁ?」 「……お前の欲しいものが手に入るかもしれない」 シズノの言葉にオリオンの顔が引き締まる。 己の望みが叶う可能性。彼の箱に隠された希望はそれだった。 「どうせ行くんだろう?」 「勿論」 #花束の奥底

2016-06-24 20:57:08
おやすむ💤ウニ @lv100uni

「俺はついていけないぞ」 「分かってる。……そんな目で見るなよ、もう無茶はしないさ」 オリオンは相変わらず聖印を失ったままだ。6周目を通して十分分かった。自分の無力さと、人に頼ることの価値を。 「独りで行ったりなんかしないよ。頼れる奴を知ってるからさ」 #花束の奥底

2016-06-24 21:00:45
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