2016年から振り返った「新本格ミステリ」勃興期の実相に関するまとめ

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蔓葉信博🌿 @tsuruba

なので、新本格ムーヴメントはたまたまブームとして商業的にも良い感じになったけど、いろいろあったので単純にはよくわからないし、個人的には僕はいろいろあったなぁと思うほうが好きだということですね。

2016-06-28 01:25:06
MAQ @junk_land

【「新本格」の思い出】『夜は千の鈴を鳴らす』が出た直後だったと思います。偶然島田さんにお会いする機会がありました。お会いするのはそれが2度目で、わたしが本格読みとご存知の島田さんは、開口一番、前年出た『十角館』や出たばかりの『密閉教室』『長い家』について「どうでした!? 」と…

2016-06-28 12:53:44
MAQ @junk_land

【「新本格」の思い出2】ものすごく真剣な目で問われたんですね。当時の先生の眼力たるやサイクロップスなみでしたから(笑)。身も心も灼かれつつ「こここういうの読みたかったんですぅ」などと感想をいうと、島田さんは満面の笑顔になって「実はねぇ、まだまだいるんですよ!」と、それはもう……

2016-06-28 13:02:12
MAQ @junk_land

【「新本格」の思い出3】心底嬉しそうな笑顔でおっしゃる。「まだまだ新作の本格を読んでもらえますよ!」と。いや先生、それもいいけど、わたしはあなたの新作が――と思わないではありませんでしたが、あんなに嬉しそうな島田さんを見てしまうとね(笑)。新本格を応援するしかないよねぇ、と。

2016-06-28 13:06:31
MAQ @junk_land

【「新本格」の思い出4】だからってわけではありませんが。島田さんのデビュー当時、新本格的なブームが起こらなかったのは、島田さんがたった1人で忽然と出現した超新星みたいな存在で、新本格の時のような後に続く星がほぼ全くなかったからではないでしょうか。平たく言えば、弾が足りなかった……

2016-06-28 13:13:24
MAQ @junk_land

【「新本格」の思い出5】のかなあ、と。その意味では、新本格の作家さん達を多数デビューに導いた出版社や島田さん、してまた、そうした新本格作家の卵を育てた大学ミステリ研の存在というのは大きかったと思います。特に後者は作り手を輩出したのみならず、そのまま消費者として市場を形成したわ……

2016-06-28 13:17:13
MAQ @junk_land

けでしから。それと……これは異論もおありでしょうが……新本格登場直後の「新本格バッシング」の動きが、古くて新しい若者たちVS頭の固い旧マニアの構図をつくり出し、結果として作り手読み手ひっくるめた「新本格一味」(笑)の結束を固めたというのも、結構大きかった気がしたりします。その……

2016-06-28 13:21:21
MAQ @junk_land

意味で。……新本格バッシングの動きを繰返し糾弾した島田さんの主張が、前述のとおり、新本格一味の結束を固め、結果としてブームの推進力の一つとなったのかもしれないなあと、思ったり思わなかったりします。……むろんそこまで計算した上でのご主張ではなかったとは思いますが(笑)  以上です。

2016-06-28 13:26:51
Genei-John @noji2207

新本格の商業的成功についてだけれど、私自身の記憶では、部数が出たというよりも、それまでミステリファンというわけではなかった若い層を開拓したことが功績だったような印象がある。「十角館の殺人」を読んだファンは単に綾辻行人のファンというだけに留まらず、類似の作品を求めていたし、【続く】

2016-06-28 20:26:53
Genei-John @noji2207

【続き】続いてデビューした作家の作品も追い続け、自らを「新本格ファン」であると自任していたという記憶があり、立派にムーブメントしていたように思う。同じ頃、西村京太郎はもっと多くの部数を売っていたし、西村京太郎人気にあやかろうとした鉄道ミステリも沢山出ていたが【続く】

2016-06-28 20:30:50
Genei-John @noji2207

【続き】鉄道ミステリのファンが自分のことを「鉄道ミステリファンだ!」と公言し、互いに群れ集い、語り合い、鉄道ミステリファンであることを誇りに思っていたわけではないと思う。その点が新本格との最大の違いだったし、版元は「新しい読者層を開拓した」と感じて、力を入れていたと思う。【続く】

2016-06-28 20:33:30
Genei-John @noji2207

【続き】異論があるかもしれないが新本格の登場より昔の1970年代半ば、若い層にとって類似のポジションは横溝正史が占めていた。というか角川文庫が続々出していたエンターテイメント小説である。70年代から80年代初め、山田風太郎や筒井康隆の角川文庫を読書好きの若い層は読んでいた。【続く

2016-06-28 20:42:13
Genei-John @noji2207

【続き】1980年くらいから(というか1979年のスターウォーズ公開から)はSFが人気を集める。作家だと神林長平、大原まり子、新井素子とか、その辺を読むのがカッコよかった。SFが勢いを失い始めた80年代後半くらいから入れかわるように読まれ始めたのが新本格だったという印象だ。【続く

2016-06-28 20:47:48
Genei-John @noji2207

【続き】いや、新本格の前に、冒険小説を読むのがカッコよかったかもしれない。それはともかく本格好きに加えて、ミーハーな若い読者層を掴んだのが「十角館の殺人」で、浮動票を掴んだからこそ、新本格は作家のファンではなく、ジャンルのファンを創出したのだと思う。

2016-06-28 20:51:32