【ビギン・トゥ・ドロウ・ア・ガリョウ】#1
-
rotomyu_or_jpn
- 575
- 3
- 0
- 0
![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
(ごあんない:これからこのアカウントですみゆ忍を使ったテキストカラテを行います。ツイートには #agatxt のタグが付きます。邪魔な場合はミュートをお願いします。)
2016-07-02 21:15:27![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
-----「ハァッ、ハァッ、なんだ?なんなんだ?」「ハッ、なんだお前、気付いてねえのか?お前はニンジャになったんだよ。そして我らソウカイ・シンジケートが…」「ハァッ、ハァッ、ハッ?ニンジャ?俺が?ニンジャ?ニンジャナンデ!?」----- 1 #agatxt
2016-07-02 21:19:20![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
-----「クソッ!ハァーックソッ!意味がわからん!ハァーッ!」ザッザッザッ「俺がニンジャ?ソウカイ?なんじゃそりゃ!俺はただの平凡な…」「いたぞ!こっちだ!イヤーッ!」「グ、グワーッ!?」----- 2 #agatxt
2016-07-02 21:22:06![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
-----「クソッ…ハァ…やつらは…なんとか撒けたか…ハァ…」ザッ…ザッ…「ウッ…くそ…目がかすれて…力が…ハァッ…」ザッ…ガク…「く、くそ…ここは…どこだ…俺は…」…………ザッザッ…----- 3 #agatxt
2016-07-02 21:24:09![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
その日、ネオサイタマの空はいつものように曇っていた。太陽は灰色の雲に覆われ、薄暗い一日の始まりを告げる。この空の下、人々はサイバーサングラスを掛け、欺瞞に満ちた世界で労働するのだ。 5 #agatxt
2016-07-02 21:26:24![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
その日、アジャイトーの目覚めは良くなかった。久しぶりに嫌な夢を見たのだ。(子供じゃあるまいし。)アジャイトーは自嘲気味に薄く笑った。それから自分の頬を軽く叩いた。今日は大事な用があるのだ。気合いを入れなければ。 6 #agatxt
2016-07-02 21:28:07![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
彼が住んでいるのはごく一般的なアパートメントの一室だ。六畳間に作業用の机と座布団。小さい箪笥には仕事で使う絵筆や和紙などが収まっている。ガラス窓は古く、いくら掃除しても綺麗にならない。床には畳まれたフートンと、エナメルバッグ。 7 #agatxt
2016-07-02 21:29:57![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
玄関を見て右側にお手洗いと狭い風呂場がある。これで家賃は5万と少しだ。良い物件と言えるだろう。アジャイトーは洗面台で顔を洗い、髭を剃る。鏡を見ながら髪を手早く整え、まだシワの残るシャツを着た。 8 #agatxt
2016-07-02 21:32:21![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
少しゆるいジーンズパンツを履き(これもシワが目立つ)、ベルトで固定する。最後にメタルフレームの眼鏡を着用する。ニンジャである彼には本来必要ないものだが…。ニンジャ?そう、ニンジャだ。アジャイトーはニンジャである。人間だった時もあったが。 9 #agatxt
2016-07-02 21:34:04![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
(……)こうして身支度を整えている時、彼は自分がニンジャであることを忘れる。もはや人ではない事実を忘れ、彼はこうしていつも人の真似事をする。だが。(…)今日は違う。いや、今日から、なのか。彼はエナメルバックの中身を確認する。 10 #agatxt
2016-07-02 21:36:06![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
そこにいつもの仕事道具はない。代わりにあるのは、白いニンジャ装束、ドラゴン意匠のメンポ。ノコギリ状の刃がついたブレーサーやニンジャブーツは、装束やバッグを傷つけぬよう、新聞紙でくるまれている。 11 #agatxt
2016-07-02 21:38:07![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
その日、ダイヤモンド・ヤクザ・クランの事務所はピリついていた。「オイ、チャだ!」「ハ、ハイ」ソファに座ったオヤブン、タカラダは額に汗を浮かべ、先ほどからしきりにチャを飲んでは、クランのニュービー・ヤクザにチャを注がせていた。 14 #agatxt
2016-07-02 21:41:08![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
今日はクラン全体がお世話になっているニンジャ、アジャイトーがやってくる日なのだ。アジャイトーはタカラダとしても一人の男として信頼している。そんなニンジャが電話では話せないからと、ここに直接やってくるのだ。ただ事ではない。 15 #agatxt
2016-07-02 21:43:05![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
タカラダは、ニンジャの暴虐を知っている。そもそもダイヤモンド・ヤクザ・クランは長らくニンジャの暴虐に、理不尽に晒され続けてきたのだ。そしてそれを偶然にも救ったのがアジャイトーだった。だがそのアジャイトーもニンジャ…… 16 #agatxt
2016-07-02 21:45:22![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
「……」タカラダはもはや全身を汗で濡らしながら震えを堪えた。アジャイトーは何度かヨージンボとなってくれたこともあった。ニンジャの力に頼ったインガオホーが遂に?「ウウッ…」タカラダは良くない考えを必死に振り払う。 17 #agatxt
2016-07-02 21:48:01![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
「オヤブン!いらっしゃったようです!」「ウッ!」事務所の空気がより一層張り詰める!タカラダは一度深く息を吸い、吐き、言った。「…お通ししろ」「ヨロコンデー!」クランのグレーター・ヤクザが玄関へ駆けた。 18 #agatxt
2016-07-02 21:50:09![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
アジャイトーが部屋へ通されるまでのわずかな間も、タカラダは荒く深呼吸を繰り返し、平静を保とうとした。(落ち着け、落ち着け。俺たちはヤクザだ。もし最悪の事態になっちまったら、ヤクザの意地を見せるまでよ…)タカラダの目つきが怪しい! 19 #agatxt
2016-07-02 21:52:04![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
そして。ガチャ。グレーター・ヤクザが部屋のドアを開ける。続いてゆっくりとした歩みで、ニンジャ装束を纏ったアジャイトーが入室した。部屋の体感温度が下がり、部屋の中のヤクザ達は直立不動!ニュービーは失禁!ニンジャ圧力! 20 #agatxt
2016-07-02 21:54:15![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
「ドーモ、ダイヤモンド・ヤクザ・クランの皆さん。アジャイトーです」ニュービーはアジャイトーとは初対面であり、そのことを考慮したアジャイトーの奥ゆかしいアイサツであったが、ヤクザ達は直立不動!緊張のあまり反応できない! 21 #agatxt
2016-07-02 21:56:03