#完全ノープラン艦これ与太話 【アンセム・オブ・プロジェクト・サタン　乙：ヘヴンズ・ディヴァイド】

春魔解丼 @vespiking

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「イヤーッ！」「グワーッ！」ドリルカラテの合間を縫った獄炎が長波を襲う。「長波＝サン！ンアーッ！？」「ニャシシーッ！」撃ち漏らしたカラテ魚雷を被弾。戦線が崩れる。「今だよヘルズゲート＝サン！一気にやっちゃおう！」「ニャシーッ！」「イヤーッ！」 #KZNPLN

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追撃のカラテ魚雷は放たれなかった。小柄な乱入者はヘルズゲートの懐に潜り込み、カラテ魚雷の発生前にコンパクトな打撃3発を重ね、最小限の動きでこれを阻止。腰をかがめ、コケシカットを揺らしてピュリプレゲトンにショートアッパーを撃ち込み、バク転で反撃を避けた。 #KZNPLN

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「ヌウーッ！コシャク！」癇癪を起こすピュリプレゲトンを尻目に、体勢を立て直す長波と阿賀野は困惑しながら、小さな乱入者を警戒した。乱入者は彼女らと敵の間に立ち、丁寧にオジギした。「ドーモ。駆逐艦、高波と言います」 #KZNPLN

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他方。火炎放射を跳躍回避した朧にむけ、カタパルトから流星が放たれる。「ウカツ！空中こそ私の的！この流星で燃えろーッ！」ＢＬＡＭＢＬＡＭＢＬＡＭ！放たれた流星は、明らかに上空から飛来した対空砲弾によって撃墜！「バカナーッ！？」 #KZNPLN

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「その忌々しきカタパルト。貴様も悪魔の1柱だな。リーク情報は正しかったようだ」対空砲の射撃者は1対のスーパーデシマル型連装砲ドロイドを格納したジェットパックで空を駆け抜け、朧を抱きとめ、着地し、高らかに名乗った。「神々の使者！防空天狗参上！」 #KZNPLN

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中層！不知火のイアイ攻撃をニンジャ反射神経で回避し、致命的カラテチョップで首を撥ねんとしたグランギニョルであったが、寸前で停止。バク転で意識外からのアンブッシュを回避した。「第六感というやつか。完璧に入ったと思ったが、貴様さてはニンジャだな？」 #KZNPLN

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コンバットニンジャ装束のアンブッシュ者は床に打ち付けた戦闘用義手を引き抜き、ガスマスク状メンポの下で毒づいた。異様に長いサイドテールと、巨大なランチャーが威圧感を放つ。「だが、私もニンジャだ。これでイーブンだな。ドーモ、ランドグリーズです」 #KZNPLN

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アハトの命を奪うはずだった注射器は破砕し、薬剤が砂埃の舞う床に散った。「アー、その、何だ」赤銅色の駆逐艦は放った砲を掲げ、頭を掻いた。腰のベルトには、威圧的な探照灯バックルが輝く。「俺は一応、伊８＝サンを連れ出せと言われて来たンだが……どっちが伊８＝サンだ？」 #KZNPLN

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意識外のアンブッシュに一瞬、呆気にとられたヌル博士をよそに、彼女は力の限り叫んだ。己の名を！「私が！私が伊８です！」赤銅色の駆逐艦はニカリと笑い、ヌル博士に舳先を向けた。「ドーモ。駆逐艦、嵐だ。イマイチ状況がわからんが、要はテメェをブッ飛ばせばいいんだな？」 #KZNPLN

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――4隻の乱入者は即座に帝国専用IRC共有され、当然、北上のサイバーサングラスにもその報せが舞い込んだ。「オヤ、今回は随分と早いですね。今下層で暴れている者らは、呉やマイヅルの報告を待たねば知り得なかった」あきつ丸の不愉快な笑顔が、ここにきて崩れた。 #KZNPLN

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「何だあの連中は……どこから這入り込んだ！」「ヤー。詳細は調査中……」マックスは血相を変え、ハンドヘルドUNIXをタイプする。「同じ処から這入ったのでは？」北上がこれに口を挟む。「至極自明です。先のヨタモノと、同じムシアナから。そう考えるのが妥当だよ」 #KZNPLN

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あきつ丸の焦りが、明確に怒気へと変貌する。「貴様……何を」逆に北上の口角が、少しだけ持ち上がる。「貴女は私が何も知らないものだとは思っていなかったでしょう。ただ私は、貴女が、私が知らないと思っていた事の、少なくとも一ツを、予想に反して知っていたみたいだね」 #KZNPLN

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北上はぐいとサイバーサングラスを上げた。傷痕となって閉じた瞼が露出した。「英雄？叛逆者？好きに言うといい。これは神と邪神の最終戦争（ラグナロック）。そして私は、航行不能でヴァルハラに眠るブザマなセンシ。沈みかけの難破船。私は神の継承者（REGINREIF）」 #KZNPLN

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北上はマジナイ・チャントか、或いは狂人のポエトリーめいた文言を唱えた。その意味を理解できる相手に、それとわかるように言い放った。旧陸軍ハバツ私設艦隊REGINREIF。その嘗ての所有者に相対して。これは明確な宣戦布告であった。 #KZNPLN

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第二次世界大戦末期。クナイチョの刺客としてエンペラーの勅命を受け、敗戦後の新帝国軍に寄生、いつしかクナイチョ本体とさえ断絶し、暴走を続けたあきつ丸が所有する、最大にして絶対の切り札。それがゴブンコ・ライブラリ内部のバックドア・アドレスであった。 #KZNPLN

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シェル・インシデント前日、冥王卯月との交戦を経てスガモインフェルノの歪曲空間が外部とムシアナ接続できる事を確信したあきつ丸は、ヌル博士の協力のもとゴブンコ・バックドアにスガモインフェルノを接続。金剛と一時結託し、サセイボが秘密裏に逮捕していた重犯罪者を送り込んだ。 #KZNPLN

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ゴブンコ・バックドアの存在を知るのは彼女自身とその側近、そして重犯罪者を含むサセイボ艦隊、サセイボがコンタクトしたトランゴタワーのみであり、そこに北上が介入する余地などなかった。本来ならば。ただ1隻の、狂人テロリストさえいなければ。 #KZNPLN

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あきつ丸直下、妖精キナシの私設艦隊REGINREIF。その重鎮メンバーに名を連ねた雷巡大井はキナシの死後、ニンジャとなって発狂。艦艇の記憶へ引き摺られるままに独占欲を暴走させ、北上を殺害せんとテロ攻撃を行った。死闘の末、大井は爆死した。直結履歴を北上に遺して。 #KZNPLN

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あの時命を狙う側だったランドグリーズと長波・羽黒の思いがけぬ共闘は、今にして考えれば皮肉な僥倖であった。ランドグリーズの持つフリーランス艦艇とのコネクションは実際強い。高波。嵐。何れもカネで動く傭兵だ。「シェル・インシデントの慰謝料。貴女がくれたカネが役立った」 #KZNPLN

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敵対者ハンターである防空天狗がこのミッションを嗅ぎ付けた理由は北上にもわからない。何らかの暗黒非合法システムなどで、プロジェクト・サタンの存在、その周辺事情などを察知したのだろう。恐るべき嗅覚だった。天狗はついぞ、悪魔の喉元に肉薄したのだ。 #KZNPLN

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「あきつ丸＝サン。貴女もいよいよ動くべき時だ。いつまでも、蛹の中で嗤っていられると思うなよ」「ギ……キサマ……！」あきつ丸の顔がグニャリと歪む。あたかも、憤死した死体のデスマスクめいていた。マックス、ビスマルクが構える。 #KZNPLN

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「……一応言っておくけど」今までブッダデーモン像めいて直立不動で睨んでいた山城が、2隻のカラテを察知し口を開いた。「扶桑型は速力と防御力以外なら一線級よ。私はここから動かない事にした。相当強いわよ、今の私」 #KZNPLN

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大会議場に残った5隻。アトモスフィアは極限まで張り詰めていた。北上にとってもギリギリの賭けの筈だ。戦艦山城はニンジャである。最大戦力を直掩に回しているのがその証左。あきつ丸は沸騰しかけたニューロンをクールダウンし、状況判断に努めた。未だ主導権は己にある。その時。 #KZNPLN