#完全ノープラン艦これ与太話 【アンセム・オブ・プロジェクト・サタン　乙：ヘヴンズ・ディヴァイド】

春魔解丼 @vespiking

「な……んだって！？」ピロロロ。味気ない通知音のクインテットをバックに、北上の叫び声が木霊した。一拍遅れ、山城の顔も青ざめる。それとは対照的に、歪んでいたあきつ丸の顔が、平時の不気味な笑顔に戻った。「……ハハ、ハ、北上殿。まだ勝負はわからんようでありますなァ……」 #KZNPLN

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焦り、怒り、そして笑顔を内包した、悪感情のパッチワークじみた首を肩に乗せ、口から虹色の芋虫をぼたぼたと零しながら、あきつ丸はずかずかと歩き出した。「往くぞ」「ヤ、ヤー！」親に踏み潰された虹色芋虫の液状内蔵を避ける余裕もなく、2隻の随伴艦は慌ててあるじを追う。 #KZNPLN

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5隻目の乱入艦艇がPOPした。 #KZNPLN

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「はっちゃん！はっちゃん！」赤色の矢となって、炎の竹林を駆け抜ける夕立。先の乱入者POP報告は恐らく北上によるものだろうが、夕立もその詳細は知らぬ。肉眼で安否を確認するまでは安心できない。とかく屋内に侵入せねば。事前確認した入口のいくつかは炎で塞がっていた。 #KZNPLN

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下層の竹林は岩場や分棟によって入り組んでおり、彼女は本能で乱入者との邂逅を避けて進んでいた。交戦になればタイムロスは必死、或いは自身の生命さえ危うい。急いだヒキャクがカロウシしたというコトワザもある。そうして大回りし、彼女はついに比較的安全な入口に到達した。直後。 #KZNPLN

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ピロロロ。気の抜けるような電子音が響いた。その通知内容を確認するより先に、夕立の全神経全感覚がその内容を理解した。皮肉にも乱入用ポータルのひとつが夕立の背後にあり、そのカラテ存在感は、夕立の全身を痛いほどに突き刺し続けた。全てが狂い始めた、あの日のように。 #KZNPLN

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それは殺意ではない。害意ですらない。それはシステムだ。障害物を破壊する以外、なんの感情も孕まぬシステムの暴力だった。「夕立。ごめんね」「時雨」夕立の背後で、金の光が迸った。 #KZNPLN

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「イイイイイヤアアアアアーーーーッ！」夕立は瞳孔を開き、力任せに背後へ暴力を振り抜いた。時雨は連装砲を分離し、トンファーめいて握り込んだ砲身でこれを下から三回突き上げ、逆の砲塔で裏拳を叩き付けた。「グワーッ！」夕立の右肘が破壊され、捻じ曲がる。 #KZNPLN

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「アアアアアーーーッ！ナンデ！ナンデ！アアアーーーッ！」夕立の艤装がバカリと開き、内側から湧き出した黒く禍々しい触手が右肘に殺到。突き刺し、縫い付けるように修繕を施し、カラテの滾る左手は時雨に迫る。「何でだろう。僕にもわからないよ。ただ、僕は僕の法に従う事にした」 #KZNPLN

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時雨はバックフリップで無感情にこれを回避し、最外壁に張り付く。「磯波を壊して僕は理解した。彼女はもっと早くに壊すべきだったんだ。もう同じ轍は踏まない。僕の義務は何よりもシンプルだった。君も壊す。北上も。この国も」収縮した脚部の筋肉が炸裂し、弾丸めいて跳躍！ #KZNPLN

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金の矢が狂犬の喉元を射抜かんとした、その寸前！闇の中から極めて強固な円筒形物体が放物線飛来し、金と赤との間に滑り込んだ！「グワーッ！？」時雨の船体が撥ね飛ばされる！ドラム缶はウケミをとり、夕立を庇うように屹立した。 #KZNPLN

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「ドーモ、夕立＝サン。マイヅル鎮守府の春雨です。遅くなってゴメンナサイ。今度は守り切ります！」 #KZNPLN

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#完全ノープラン艦これ与太話 第2部最終話【アンセム・オブ・プロジェクト・サタン　乙：ヘヴンズ・ディヴァイド】終わり。【丙：ブラック・オンスロート】に続く。 #KZNPLN