PBM「蓬莱学園の冒険!」はなぜいまだにスゴいと囁かれ続けるのか

一応暫定完成版。他の方のコメントなど追加するかも、、、 2017.5.22:趣旨を鑑みて若干改題しました(旧題:PBM「蓬莱学園の冒険!」の何がスゴかったのか)。コメント欄を見ても往時のスゴさは追体験できるかと思います。ちなみにこれでも当時に比べればたぶんかなり穏やかなやり取りです。
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坂東真紅郎 @sinkurou

参加するには運営会社に入会金と月会費を払って登録します。『蓬莱学園の冒険!』の場合、たしか入会金三千円、月会費千円でした。全12ヶ月なので総額で1万5千円。これを高いと見るか安いと見るかは人それぞれですが、運営面からみるとほとんど必要経費に消えるので全然儲けにはならないというw

2017-05-19 10:35:13
坂東真紅郎 @sinkurou

まず会社に連絡すると無料パンフレットが届きます。これに世界観の概要とクラブの名前リスト(名前だけ。なのであとから実態を知って阿鼻叫喚の騒ぎも)なんかがついてて、それを元にPCを作成。能力値なんかはあとでランダムに評価されます。できたPCを返送し、口座にお金を振り込んだら登録完了。

2017-05-19 10:39:16
坂東真紅郎 @sinkurou

登録すると、会報『蓬莱タイムズ』と、PCのステイタスが印字された用紙、専用の行動ハガキが届きます。このハガキに、PCにとらせたい行動を書き込んで締め切りまでに投函するわけです。

2017-05-19 10:43:50
坂東真紅郎 @sinkurou

プレイヤーの持ち時間は月の半分、およそ二週間です。残り半分は、運営会社の判定時間になります。が! 郵便でやりとりしているので、遠隔地だと郵便物が遅れてしまうのです。都内だと一日で着くところが、九州・北海道だと3日以上。局の事情でもっとかかることも。その分、持ち時間は減ります。

2017-05-19 10:47:19
坂東真紅郎 @sinkurou

行動には、番号から選択肢を選ぶ「定番行動」と「自由行動」があります。定番行動は、学園内のあちこちを歩いて噂話を拾ったり修業して能力値をあげたりするもので、たまに応石を拾えることも。

2017-05-19 10:50:03
坂東真紅郎 @sinkurou

自由行動が、実はこのゲームのキモですハガキの空欄に、自由にやりたいことを書けます。なにを書いても構いません。「病院でカレーを食う」とか書くのも自由。ただし、マスターからみて意味のない行動はボツになります。そう、このゲームには判定者であるマスターがいます。

2017-05-19 10:53:32
坂東真紅郎 @sinkurou

マスターは『蓬莱学園の冒険!』の場合何人かおり、それぞれが特定のシナリオラインを担当しており、送られてきた行動ハガキをすべて読み、採用・不採用を決め、採用された行動を元に小説風の「リアクション」を書きます。

2017-05-19 10:57:54
坂東真紅郎 @sinkurou

採用の基準としては「シナリオの趣旨・雰囲気に沿っている」「適切に正しい情報を集め、分析し、しっかり予測をたてている」「仲間とよく連携している」などが評価されますが、もっとも重視されるのは「まだ誰もやっていない行動」「これは面白い!とマスターが思わず膝を打つような行動」でした。

2017-05-19 11:02:03
坂東真紅郎 @sinkurou

というのもこのゲーム、実はシナリオの進行予定はゆるゆるなんですね。なぜかというと、PCの活躍如何でどうとでもストーリーが変化するのが売りなので。行動ハガキが届くまで、マスターにすら今月どんな展開になるか想像がつかないわけです。アドリブが命というわけ。

2017-05-19 11:05:48
坂東真紅郎 @sinkurou

後のPBMでもアドリブ性は残されましたし、TRPGにもそういう要素はありますが、『蓬莱学園の冒険!』の頃には今では考えられないレベルでアドリブが発動していました。なんと「地球最後の秘宝」がなんであるかすら、開始時には決めてなかったというのです。

2017-05-19 11:09:05
坂東真紅郎 @sinkurou

PCの毎月の行動と、飛び交う推測を横目で見ながら、半年たつ頃にはだいたい真相が決まったというのですが、坂東がこの話を聞かされたのは2000年代になってからのSF大会のトークイベント上であり、思わず「目から鱗が1D6枚落ちた」と口走った記憶が。

2017-05-19 11:13:11
坂東真紅郎 @sinkurou

このように、活躍するためにはマスターの目に留まるような渾身の行動を書かねばならないのですが、さてそのための基本となる情報ソースが会報『蓬莱タイムズ』です。これにはプレイヤー向けの普通のお知らせ的記事も載っていますが、多くはゲーム内速報と交流欄で占められています。

2017-05-19 11:17:12
坂東真紅郎 @sinkurou

まず先月までに学園で起こった事件がイラスト入りで解説されます。これにはリアクション内容が反映されており、PCの活躍が書かれていることも少なくありません。同時にこるから起きる新たな事件の布石がマスターにより多数仕込まれています。

2017-05-19 11:21:34
坂東真紅郎 @sinkurou

これらの記事から「情報」を読み解き、他のプレイヤーに先んじる名案を思い付くため、参加者は目を皿のようにして隅々まで読み込むわけです。

2017-05-19 11:23:17
坂東真紅郎 @sinkurou

交流欄には、参加者から寄せられた短いメッセージが掲載されます。これはちょうどSNS的な機能があり、ここで必要な情報や仲間を募集したりできます。むろんネタに走ることもできます。イラスト投稿もあります。ときおりここで、マスターがNPCの口から重要情報を言わせたりもします。

2017-05-19 11:27:26
坂東真紅郎 @sinkurou

プレイヤーの主たる情報源は『蓬莱タイムズ』ともうひとつ、「活躍することに成功した人のリアクション」です。なにせ『蓬莱タイムズ』には事件の通りいっぺんの話しか書いてないし、事実が歪められていたりもします。当事者の記録たるリアクションがなによりの情報となります。

2017-05-19 11:30:06
坂東真紅郎 @sinkurou

しかし、リアクションは自由行動をしなくてはもらえないし、自分のPCの周囲のことしか書いてません。同じ事件を別の視点からみたリアクション、みんなが立ち去ったあとの続きのリアクションなんてのもこの世には存在しうるのです。それをどう手にいれるか。

2017-05-19 11:33:16

プレイヤー同士の交流

坂東真紅郎 @sinkurou

ここで「交流」という概念が出てきます。PBMでは、ゲーム中に知り合った参加者と自由に連絡をとりあい、情報交換することが認められており、推奨されているのです。

2017-05-19 11:35:35
坂東真紅郎 @sinkurou

どうやって知り合うか。まずリアクションに特別活躍した人の住所が表示されます。それから同じリアクションを受け取った人の中からランダムに数名。さらに『蓬莱タイムズ』の交流欄で募集をかけることができます、

2017-05-19 11:38:28
坂東真紅郎 @sinkurou

そう、この頃のPBMは参加者の連絡先がオープンになっていたのですよ。個人情報の観点から今では考えられないことですが、8割以上が住所公開モードでした。住所非公開モードも選べたんですが、その場合は運営会社が手紙を転送します。ただし郵便が何度も行き来するのでとにかく時間がかかる。

2017-05-19 11:42:35
坂東真紅郎 @sinkurou

そのため「住所非公開だと交流しづらい」ということになっていましたし、他の参加者も「非公開者はなんか連絡しにくい、怖い」と敬遠する向きがありました。このへんの感覚は当時ならではかと。

2017-05-19 11:44:59
坂東真紅郎 @sinkurou

交流の作法もあって、いきなり「情報ください」だけなのは無作法とされました。必ず自己紹介のペーパーと、交換条件となる当月リアクションを送るのが作法でした。「前略」「草々」みたいな手紙のマナーも一部では取り沙汰されましたね。これでみんな郵便用語や料金表に詳しくなるわけです。

2017-05-19 11:49:39
坂東真紅郎 @sinkurou

いったん連絡がついた相手は、もう手紙だとまどろっこしいので、電話番号やFAX番号を教えあい、かけまくります。えんえん学園情勢やNPCの風聞、元ネタなどを語り合い、電話代だけで何万円になることもしばしば。まだ携帯のない時代なので同居家族はえらい迷惑だったと思います。

2017-05-19 11:53:08
坂東真紅郎 @sinkurou

近くなら、直接会うこともできるわけで。こうした自主的な参加者の集まりを「プライベートイベント」と言います。まあオフ会ですね。全国主要都市には大概、毎月プライベが開催されていましたし、当時新宿にあった喫茶「カトレア」はゲーマーの溜まり場で、行けば誰かしらいるという状況でした。

2017-05-19 12:00:07
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