神経科学と日常概念―リベットの自由意志研究をめぐって―

Benjamin Libet (1916-2007) の自由意志にかかわる(とされる)研究が,ぼくたちの日常概念にどう関係するのか,しないのか/神経科学研究者として コメントさせていただきます.Libet は 自身の 実験の 解釈に いまいち 一貫性・説得性が かけるので,実験の 結果と 解釈は わけたほうが よい.それから,いまでも この 種の 議論では Libet が 中心となるようだけれど,Hagaard, Lau, Sakai らによる 類似パラダイムでの あたらしい 成果が どんどん でているので,そちらを おわないと どうも 周回 おくれのように かんじる.などです.
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切り取り線 @kiri_tori

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2011-08-06 00:00:00
KOMIYA Tomone @frroots

『応用哲学を学ぶ人のために』立岩論文。「哲学がものを(ふだんの人びとより)考える学であるとするなら、また応用哲学というものがそうして考えていくことで「現実」に向かおうというのであれば、否応なく仕方なくものを考えてきた人たちの先を行ってもらわなければならない」(230頁)

2011-08-06 10:19:38
KOMIYA Tomone @frroots

信原論文。リベットの実験で自由意志が否定される可能性とかまったく理解できない…。むしろそういう概念的混乱を取り除くのが哲学者の仕事ではないのかと思うのだけど。

2011-08-06 10:43:32
KOMIYA Tomone @frroots

とりあえずこれは読んでみよう。いずれ。/Amazon.co.jp: 脳神経倫理学の展望: 信原 幸弘, 原 塑: 本 http://t.co/yKtKf41

2011-08-06 10:43:52
植村恒一郎 @charis1756

@frroots 僕も、リベットの実験で自由意志が否定されたとは思いません。自由意志というのは、行為において選択肢が自覚されていることを言うのであって、脳におけるタイムラグ云々は無関係です。

2011-08-06 10:52:16
@mskota

@charis1756 @frroots リベットの実験はむしろタイムラグに自由意志の可能性を示しているという内容だったかと(うろ覚え 信原さんのどの論文ですか?

2011-08-06 11:12:34
KOMIYA Tomone @frroots

@charis1756 ありがとうございます。私も「自由意思」はまずもって行為選択肢の理解に関わる概念だと思っています。そしてその理解は、脳の活動とも、さらには「意思が生じた」という被験者の自己報告とも必ずしも結びつくものではないと思います。

2011-08-06 11:16:06
KOMIYA Tomone @frroots

@mskota 『応用哲学を学ぶ人のために』所収の論文です。リベット実験の、脳活動→意思についての被験者の自己報告→手首を曲げる運動という順序について「自由意思の存在に疑問を投げかけるもの」と紹介されています。 @charis1756

2011-08-06 11:18:44
植村恒一郎 @charis1756

@mskota @frroots リベットを読んだのはずっと昔なので、よく覚えていませんが、いずれにせよタイムラグによって、自由意志が可能になったり(=予言破りの自由?)、あるいは否定されたりするのは変ですね。信原論文は僕は読んでいません。

2011-08-06 11:18:57
植村恒一郎 @charis1756

@frroots @mskota テキストが手元にないのでよく思い出せませんが、 「意思についての被験者の自己報告」というのが、怪しいですね。そもそも、自由意志というのは、その時点を特定できるものではありません。「やるぞっ!」と心の中で決意することではないのです。

2011-08-06 11:26:46
KOMIYA Tomone @frroots

@charis1756 リベットの本は私も持っていないのですが、信原さんの紹介によれば、「時計を見ながら被験者に報告してもらう」という形で「意思が生じた時刻」を測定したようですね。 @mskota

2011-08-06 11:38:10
KOMIYA Tomone @frroots

これは私も本当にそう思います。 QT @charis1756: frroots @mskota *そもそも、自由意志というのは、その時点を特定できるものではありません。「やるぞっ!」と心の中で決意することではないのです。

2011-08-06 11:41:05
植村恒一郎 @charis1756

@frroots @mskota 一言補足すると、「選択肢」というのは、「Aを選ぶか、Bを選ぶか」というのもそうですが、基本は「Aをするか、しないか」ということで、人間が肯定と否定の能力を持つことに対応しています。デカルト『省察』がそこを強調しています。

2011-08-06 11:44:09
植村恒一郎 @charis1756

@frroots @mskota 「やるぞっ!」とか「よし!」とか心に思い浮かんだ時刻を報告したら、それより前の時刻に脳にそれに対応する変化が生じていた。でも、およそ心の活動を自分が意識することは常に脳の活動より少し遅れるのは当然です。心と脳の時間競争じゃないんです、自由意志は。

2011-08-06 12:03:25
@mskota

@charis1756 @frroots やるぞっと決意した行動を実行に移すことではなく、タイムラグの間に「やっぱりやめとこか」「他のことをしよう」と行動を制御したり取りやめたりすることをリベットは「自由意志」と呼んでいたようですが。

2011-08-06 12:20:12
@mskota

@charis1756 @frroots リベットの話は『マインド・タイム』を読んでいただくのが一番ですが小林道夫「科学の世界と心の哲学』でもわりと?正確に紹介されています。その書評を書いた関係で、近日発表予定の拙論でも軽く触れています。

2011-08-06 12:24:54
植村恒一郎 @charis1756

@mskota @frroots 「やるぞ」と心が決意してから行動するまでがタイムラグ? それとも、心が決意するより前に、それに対応する脳作用があった、その差がタイムラグ?前者なら、止められるのは自明だし、後者なら「やるぞ」がまだ意識されてないから、「止めよう」と思うこともない。

2011-08-06 12:30:20
@mskota

@frroots 信原論文未読ですが、他の論文やリベットを読む限りではそこに「概念的混乱」があるとは思えませんでした。脳の働きによって自由意志を解明するのも方法としてありだと思いますが。@charis1756

2011-08-06 14:12:48
@mskota

信原氏があからさまに概念的混乱をまねくような議論をするとは思えないので帰ったら応哲本とリベット本を要確認。

2011-08-06 14:17:00
KOMIYA Tomone @frroots

@mskota リベットの実験をめぐる議論をきちんと知らないのでただちに「こういう混乱が」と指摘はできないのですが、「自由意思を持つ」ことは、脳の働きや当人の報告とは独立の理解可能性を持っているはずだと私は考えています。 @charis1756

2011-08-06 14:34:43
KOMIYA Tomone @frroots

@mskota ともあれ色々と文献のご教示ありがとうございます。暇を見て少しずつ読んでみたいと思います。 @charis1756

2011-08-06 14:40:20
KOMIYA Tomone @frroots

なんでさっき立岩論文と信原論文を引用しようとしてたか思い出した。 たとえば自由意思と決定論のような問題も、「脳科学がもたらす人間観の変化」のような特殊な哲学的問題では必ずしもなく、私たちの社会の中にありふれた問題だと思ったからだった。

2011-08-06 17:21:46
KOMIYA Tomone @frroots

ジェンダーという主題に限ってみても、女性が仕事を辞めることや性労働に就くことなどは典型的に、一方で「当人が好きでやってること」と自由意思の語彙で語られ、他方で「社会構造が」と決定論の語彙で語られてもきた。

2011-08-06 17:22:26
KOMIYA Tomone @frroots

それぞれの語りは、人びとのおこないをさまざまな概念の連関の中で理解することで、何かを正当化したり、不当だと訴えたりする、そういう実践として存在している。それは単純にどちらが真でどちらが偽かという問題ではない。

2011-08-06 17:23:33
KOMIYA Tomone @frroots

そして私たちが自由なのかそうでないのかということが本当に重大な問題となるのは、そういう社会生活の中でのことであるはずだ。

2011-08-06 17:23:49
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