ドメスティックな批評とグルーバルな言説

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Kajiya Kenji 加治屋健司『絵画の解放 カラーフィールド絵画と20世紀アメリカ文化』発売中 @kenji_kajiya

友人が『アートフォーラム』5月号にミン・ウォン論を寄せていたので、遅ればせながら読んだ。とてもよかった。

2012-05-30 12:14:05
Kajiya Kenji 加治屋健司『絵画の解放 カラーフィールド絵画と20世紀アメリカ文化』発売中 @kenji_kajiya

こうした理論的な強度をもつ作家論や現状分析は、残念ながら今の日本ではあまり見かけない。日本は、理論面では60年代のアメリカの美術批評に対する関心が依然として高いが、おそらくそれと同等の強度をもちつつある現代の批評実践にも目を向けるべきだろう。

2012-05-30 12:16:39
Kajiya Kenji 加治屋健司『絵画の解放 カラーフィールド絵画と20世紀アメリカ文化』発売中 @kenji_kajiya

批評とは基本的にドメスティックなものだ。日本でもアメリカでもあるいは他国でも、批評の多くは、それぞれの地域で培われてきた語彙、論法、議論を踏まえて、特定の文脈の中で書かれている。

2012-05-30 12:20:58
Kajiya Kenji 加治屋健司『絵画の解放 カラーフィールド絵画と20世紀アメリカ文化』発売中 @kenji_kajiya

しかし、作家のグローバルな活躍が増えている現在、批評というか言説のあり方を考え直さざるを得ない。

2012-05-30 12:22:11
Kajiya Kenji 加治屋健司『絵画の解放 カラーフィールド絵画と20世紀アメリカ文化』発売中 @kenji_kajiya

おそらく"global contemporary art"の考察は、批評家ではなく研究者の仕事なのだろう。『アートフォーラム』の書き手の多くは博士号を持った大学研究者である。

2012-05-30 12:24:37
Kajiya Kenji 加治屋健司『絵画の解放 カラーフィールド絵画と20世紀アメリカ文化』発売中 @kenji_kajiya

しかし、日本の大学の研究環境を考えると、日本の研究者がグローバルな言説のフィールドに参入するのは容易ではないだろうな。

2012-05-30 12:25:31

 

Kajiya Kenji 加治屋健司『絵画の解放 カラーフィールド絵画と20世紀アメリカ文化』発売中 @kenji_kajiya

日本美術オーラル・ヒストリー・アーカイヴ「建畠晢インタヴュー」を公開しました。建畠さんはキュレーター、美術批評家、詩人で、現在は京都市立芸術大学学長を務めています。インタヴューは国立国際美術館館長在職時の2008年に収録したものです。http://t.co/G1KQmQ2z

2012-06-02 22:23:23
Kajiya Kenji 加治屋健司『絵画の解放 カラーフィールド絵画と20世紀アメリカ文化』発売中 @kenji_kajiya

インタヴューは私が主担当でしたので、もう少し書かせていただきます。建畠さんには、父・建畠覚造さんの思い出、学生時代の活動、『芸術新潮』編集部員、国立国際美術館学芸員、多摩美術大学教授、ヴェネチア・ビエンナーレのコミッショナー、国立国際美術館館長の仕事についてお話しいただきました。

2012-06-02 22:26:19
Kajiya Kenji 加治屋健司『絵画の解放 カラーフィールド絵画と20世紀アメリカ文化』発売中 @kenji_kajiya

建畠さんは2日目のインタヴューで、ヴェネチア・ビエンナーレ日本館の取り組みや国際的な現代美術の評価のあり方等についても触れています。 http://t.co/PkCAUbTM

2012-06-02 22:27:18
Kajiya Kenji 加治屋健司『絵画の解放 カラーフィールド絵画と20世紀アメリカ文化』発売中 @kenji_kajiya

建畠晢さんのオーラルヒストリーには、日本の現代美術が置かれた状況を考える上で大切な指摘がいくつもある。例えば、次のようなものだ。

2012-06-03 13:04:24
Kajiya Kenji 加治屋健司『絵画の解放 カラーフィールド絵画と20世紀アメリカ文化』発売中 @kenji_kajiya

「林道郎的に言えば、日本のカタログのバイリンガルは、英語でも読める、意味は分かるというのに過ぎないんだよ。ちゃんとした英語のテキストは日本では作れない。英文のチェックができないんですよ。」 http://t.co/PkCAUbTM

2012-06-03 13:04:45
Kajiya Kenji 加治屋健司『絵画の解放 カラーフィールド絵画と20世紀アメリカ文化』発売中 @kenji_kajiya

日本の現代美術に関する言説で、最もグローバルな影響力を持つ可能性があるのは展覧会図録である。今のところ研究や批評が英訳されることは少ないが、主要な展覧会の図録の文章の大半は翻訳されている。しかも、数十年に渡って組織的・網羅的に翻訳されてきたので、かなりの蓄積がある。

2012-06-03 13:05:18
Kajiya Kenji 加治屋健司『絵画の解放 カラーフィールド絵画と20世紀アメリカ文化』発売中 @kenji_kajiya

しかし、日本の図録の文章のほとんどは、英語圏の現代美術言説に登録されていない。今関わっている仕事の関係で、現代美術の主要な図録の文章の英訳はある程度目を通したが(ただし最近のはあまり読んでいない)、それらを読んでみて仕方ないと思った。

2012-06-03 13:06:05
Kajiya Kenji 加治屋健司『絵画の解放 カラーフィールド絵画と20世紀アメリカ文化』発売中 @kenji_kajiya

もちろん意味は分かるので、好意や関心を持っている人なら進んで読んでくれる文章になってはいる。しかし、そうでない人たちをも惹きつけるような、説得力を持つ英語の文章にはなかなか出会わなかった。

2012-06-03 13:06:31
Kajiya Kenji 加治屋健司『絵画の解放 カラーフィールド絵画と20世紀アメリカ文化』発売中 @kenji_kajiya

なぜだろうか。もとの日本語に問題がある場合が多いのだが、それは措くとしよう。やはり、日本語の文章の忠実・正確な翻訳という基準で翻訳を行っていたら、メッセージは英語圏の読者には伝わらないと思う。

2012-06-03 13:07:06

 

Kajiya Kenji 加治屋健司『絵画の解放 カラーフィールド絵画と20世紀アメリカ文化』発売中 @kenji_kajiya

初めから英語で書いて、信頼できるエディターに見てもらうのが理想的だが、翻訳を通す場合は、翻訳者やエディターとやりとりして、英語の語彙や論理で書かれた文章に変える必要がある。もし日本語原稿と英語原稿の違いが問題になるなら、英語原稿に合わせて日本語原稿を修正するべきだろう。

2012-06-03 13:07:57
Kajiya Kenji 加治屋健司『絵画の解放 カラーフィールド絵画と20世紀アメリカ文化』発売中 @kenji_kajiya

日本の学芸員の超多忙な仕事ぶりを見ていると、そこまで求めるのが難しいことは理解している。しかし、現代美術の言説形成に果たす美術館の役割が増している現在、図録の英訳に大きな可能性があるとも思うので、どうしても期待せずにはいられないのである。

2012-06-03 13:10:07
seachang @seachang0202

@kenji_kajiya 英訳については予算措置があれば可能でしょう。英訳する必要性を広めることからですが。

2012-06-03 13:31:04
かずのこぱん @kazunoko4777

学芸員以外ではやはり難しいのだろうか。悩むよりまず動いてみればと言われそうだけど RT @kenji_kajiya: 日本の学芸員の超多忙な仕事ぶりを見ていると、そこまで求めるのが難しいことは理解している。しかし、現代美術の言説形成に果たす美術館の役割が増している現在、図録の英訳

2012-06-03 16:15:24
Iauqssuey @iauqssuey

@kenji_kajiya @seachang0202 図録英訳、仕事を発注する側(=美術館学芸員なり新聞社文化事業部)が訳された英文に駄目だしする時間も能力もないことが最大の原因だと思います。お金だけでは解決しないと私は思います。

2012-06-03 19:49:32
seachang @seachang0202

@yeussquai: @kenji_kajiya 「 図録英訳、仕事を発注する側(=美術館学芸員なり新聞社文化事業部)が訳された英文に駄目だしする時間も能力もない」それはダメですね~ それ以前に英訳のカルチャーがない状況もあるように思いますが。

2012-06-03 20:19:39