そもそも望月教授の「ABC予想」ってどんな予想?

「ABC予想」って、そもそもどんな予想なのか。また望月教授のInter-universal Teichmueller Theory(宇宙際タイヒミュラー理論)についての雑感。 前編「望月教授ABC予想解決の報道から大学教育の意味まで」http://togetter.com/li/377597の続き。
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MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

数学の意味とは。「自然科学、社会科学などの種々の学問分野で提起される問題を解決するために、既存の数学の枠組みにとらわれない、新しい数理科学的な方法や理論が導入され…逆に、そのような新しい流れが、数学の核心的な理論へと発展した例も数知れず…」http://t.co/cUCkixfY

2012-09-22 21:36:00
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

玉川教授「楕円曲線は、代数幾何学的には、(有理点を1つ与えられた)種数1の代数曲線として特徴付けられる比較的易しい代数多様体ですが、数論幾何学的には、整数論の多くの重要な問題と密接に関連した、たいへん豊かで興味深い対象…楕円曲線とディオファントス問題(不定方程式を解く問題)」

2012-09-22 21:39:06
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

訂正)望月教授が今回解いたとされるABC問題「a+b=cを満たす互いに素な数a,b,cで、何かの条件を満たすa,b,cは…」という型の問題は、答えa,b,cのセットが多数ある。こういうのを「不定方程式」と呼ぶ。このタイプの問題に楕円曲線が関係する不思議。

2012-09-23 17:32:55
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

補足)ここで楕円、楕円積分、楕円関数、楕円曲線、それぞれ区別が必要。楕円積分は物理の力学にも登場、例えば宇宙での惑星の運動方程式を解く積分の一種。楕円関数は複素空間での楕円積分の逆関数。楕円曲線は3次関数の一種(大雑把)。これがなぜか整数論とも暗号理論とも関係するは驚異的である。

2012-09-23 18:02:00
内村直之 @Historyoflife

ディオファントス方程式。ギリシャ以来の問題とか。RT @y_mizuno: 望月教授が今回解いたとされるABC問題「a+b=cを満たす互いに素な数a,b,cで、何かの条件を満たすa,b,cは…」という型の問題は、答えa,b,cのセットが多数ある。こういうのを「不定方程式」と呼ぶ。

2012-09-22 22:06:41
内村直之 @Historyoflife

フェルマー予想も、彼の持っていたディオファントス問題を扱った本の余白にかかれたのでしたね。RT @y_mizuno: 望月教授が今回解いたとされるABC問題「不定方程式」

2012-09-22 22:09:27
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

どうも「分かりやすい」と思ったら、望月教授の一般向け公開講座のテキスト。京都大学数理解析研究所、数学入門公開講座、2012年8月、http://t.co/mEDf9tZH 教授・望月新一『数体と位相曲面に共通する「二次元の群論的幾何』、資料http://t.co/afPNpsFh

2012-09-22 22:37:12
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

かなり詳しい(数学の学生向け)解説までたどり着けます。論点整理に感謝です。 .@bokudentw さんの「ABC予想が証明された!」をお気に入りにしました。 http://t.co/9S3DCDfj

2012-09-22 22:47:02
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

そもそも「ABC予想」ってどういう予想なのか。例えば、a=64=2^6(2の6乗), b=81=3^4, c=145=5x29, とすると、a+b=c, つまり64+81=145, しかしその素因数の積r(abc) = 2x3x5x29 = 870、これはc=145より大きい。

2012-09-22 23:26:39
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

承前)だから普通、互いに素なa,b,c(共通素因数は1だけの数の組)を使ってa+b=cとなる時(例えば64+81=145の時)、普通は c < r(abc)となる。但したま〜に、c > r(abc)となることがある。でもこんなのは有限個の例外でしかないよ、というのがABC予想。

2012-09-22 23:34:14
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

訂正)互いに素な三つ組a,b,cがa+b=cなら、それらの素因数の積r(abc)とcの大小関係で、c>r(abc)は例外…で確かにマレだとしても、個数は加算無限個あるとか。正しい予想は、c > K [r(abc)]^(1+e)となる場合は、ある定数K,eを取れば高々有限個である。

2012-09-23 09:43:44
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

承前)上の予想の証明のやり方は、山崎隆雄(東北大学)「フェルマー予想とABC予想」、http://t.co/g6bijTw2、p.11の例題7.2、に出ている。その前後を参照して下さい。

2012-09-23 10:38:38
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

承前)つまりabc三つ組のabc予想はc > r(abc)が高々有限個、ではなくて正確にはc > K [r(abc)]^(1+e)(K,eは正の定数)が高々有限個。違いは微妙で、前半の予想でもいい線いっている。例えばc < 50000 は約3:8x10^8個で反例は276個。

2012-09-23 09:57:58
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

承前)例えばc < 50000 となる三つ組の数は約3.8x10^8個で、反例(つまりc > r(abc)〜50000)は276個しかない。だが全部の素数の組合せで、これを探すと、やっぱりそんな例外は無限個ある。なんとも不思議だが、これは証明できる。このあたりが数学の凄いところ。

2012-09-23 12:07:06
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

承前)だからabc予想ではc>r(abc)となる三つ組は高々有限個ではなく、c>K [r(abc)]^(1+e)は高々有限個、とする。あるいは、必ず c < [r(abc)]^2 。http://t.co/g6bijTw2 p.11参照。@hymathlogicさんのご指摘感謝。

2012-09-23 10:08:26
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

承前)だからABC予想は、別の形に書き換えられる。「三つの正の整数a,b,cが互いに素かつa+b=cを満たすならc< K r(a,b,c)^(1+e)、ここでe,Kはある適当な定数」つまり普通は、cがr(a,b,c)よりも小さい。たま〜にc>r(a,b,c)となるが有限個の例外。

2012-09-22 23:42:36
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

承前)このABC予想はさらに書き換えられて、c < [r(abc)]^2 なら常に成立する(という予想)。つまり、普通はc < r(abc)、たま〜に c > r(abc)となることがあるけど、cは絶対にrの2乗を超えることはない:c < [r(abc)]^2 それぞれ似た主張。

2012-09-22 23:52:45
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

承前)c>r(abc)となる稀な例外から意味が分かる。例えば、a=2, b=3^10x109, c=23^5の場合。a+b=c、つまり2+3^10x109=23^5=6436343であるが、23^5=c > r(abc)=2x3x109x23=15042、だから例外は存在する。

2012-09-22 23:55:32
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

承前)しかしそんな例外は、高々、有限個しか存在しないと言っている。このことをhttp://t.co/lRRxDl2Qで「限られた素因子だけ使つてゐたのでは a+b+c=0 といふ関係式をたくさん作ることは出来ない」とも表現する。これは味読すると意味が分かる。c<r^2の言い換え。

2012-09-23 00:00:42
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

承前)ここでABC予想の普通の例:64+81=145は、NYtimesの新聞記事から:http://t.co/VnUNIPxw また、a+b=c>r(abc)となる例外(a=2, b=3^10x109, c=23^5)の場合のa+b=cは:http://t.co/XqCecGBc

2012-09-23 00:12:42
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

承前)a+b=cでa,b,cが互いに素(共通性がない数たち)なら、r(abc)は意外に小さい数。そしてABC予想はc<r(abc)^2、つまりそれらの素因数で構成できるa+b=cなる数cの最大値は、r(abc)二乗より小さい。つまりa+b=cとなる素な三つ組は有限個しか作れない。

2012-09-23 00:29:21
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

20世紀の初頭から1925年にかけて、相対性理論と量子力学が完成し、20世紀の人類の時空概念や自然観を変えて行った。同様に最近の21世紀的な数理科学の発展は、なかなか印象的。世紀末から世紀初めの展開で類似の現象。今後いろいろなモノの見方やコトの考え方を、変えて行くような気がする。

2012-09-23 00:54:04
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

思えば1995年頃には『科学の終焉』などという本まで出ていた。だが宇宙の神秘と奥深さを知れば、それがほとんど無限に我々の知的好奇心をいざなうことに気付く。数学の奥深さの発見はその一環だ。望月教授はその理論に宇宙際と命名。21世紀は宇宙について我々の知識が何かの真理に到達するのか?

2012-09-23 01:07:43
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

望月教授は彼の理論をInter-universal Teichmueller Theory(宇宙際タイヒミュラー理論)と呼ぶ。何のこと?タイヒミュラーは人名。しかしInter-universal(宇宙際)は恐らく物理的な宇宙は意味せず、宇宙的で鵺のごとき数論幾何の発見を意味する。

2012-09-23 01:25:42
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

補足)数学用語としての「宇宙」なる言葉で、私の誤解があったので補足します。「宇宙際」(Inter-universal)という言葉は望月流の用語のようですが、「宇宙」という言葉は数学基礎論の集合論の分野で出てくる用語のようです。ある集合を考えると、その回りの全体という意味です。

2012-09-23 19:23:24