東海道中膝栗毛 エピソードゼロ
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おふつ「何よイメシヤって。ねえそういえばさぁ、最近喜多八さんがしょっちゅう来るけど、あの人何かあったの?」弥次「おう実はな、俺に金を貸してくれないかって言ってきた」 おふつ「はぁ? なにそれ、どういうことなの」
2012-10-28 20:16:53弥次「あいつ、最近フーゾクにハマっちまったらしくてよ、そんで会社の金を遣い込んだんだってよ。その埋め合わせの金を何とかしてもらえないかって」おふつ「えーっ!」弥次「会社にバレたらクビだからな、それだけは今はどうしても避けたいんだってさ」おふつ「今はって、どういうこと?」
2012-10-28 20:17:11弥次「あいつの会社の専務がよ、こないだ脳梗塞で急に亡くなったんだってさ。それと社長も、ヨメが若いせいかいつ死んでもおかしくないほど疲れ果ててるらしいぞ。それで喜多八のやつ、その若ヨメを狙ってるんだと」おふつ「喜多八さん、社長の奥さんのこと好きなの?」
2012-10-28 20:17:26弥次「いやあ、金狙いだよ。社長の嫁をモノにすれば勝手に出世できるからな。それなら俺も助かるし、うまくいってほしいんだけどなあ、でも金がないからどうにもしてやれないと、そういうこと」おふつ「ふーん」
2012-10-28 20:17:37弥次「ま、飯にするか。何か食い物あるか?」 おふつ「そこの貝と豆腐のみそ汁よ」 弥次「なんだ、それだけかよ」
2012-10-28 20:17:52そうして日が暮れ、明かりをつけ、弥次が茶漬けを食べようとしていたそのときだ。50歳過ぎぐらいの侍が旅の姿で弥次の家を訪ねてきた。侍「突然すみません、弥次郎兵衛さんのお宅はこちらでしょうか」 おふつ「はい、そうです…あの、どちら様でしょう?」
2012-10-29 20:51:54侍「ああ、いやいやすみません、怪しいものではありません」侍が20代後半ぐらいの女性を伴って家に入ってくるのを見て、弥次は驚いた。 弥次「はっ、ええっ⁈ 兵太左衛門様!」兵五「兵太じゃない、兵五だ」弥次「兵五左衛門様、妹君を連れてわざわざ府中からいらしたのですか?」
2012-10-29 20:52:10兵五「なんだ他人行儀だな。今日はな、この妹をお前の嫁にしてやろうと思って連れてきたぞ」弥次「へっ (;゚д゚) !? 」兵五「お前、府中にいた頃こいつと付き合ってたそうじゃないか。この間こいつからその話しを聞いて、俺はすごく腹を立ててたんだぞ」<span class="f13 c15">
2012-10-29 20:52:20弥次「は…?」兵五「このカワイイたった1人の俺の妹がだ、お前とじゃなきゃ結婚なんてしたくないって言うんだよ。なんだかかわいそうでな、この腹立たしい気持ちを抑えて、好きな男と一緒にしてやろうとわざわざ府中から連れてきたんだよ」
2012-10-29 20:52:30弥次「 あの… (;゚д゚) 」 兵五「ま、そういうわけだから。これからはこの妹おタコを可愛がってやってくれ。さーてと、まずは祝いの盃でもかわそうか。ささ、早く早く、準備を頼む」
2012-10-29 20:52:39おふつ「ちょ、ちょっと待ってください。あなた、どちら様か知りませんがいきなり何なんですか」 兵五「なんだ?おまえ」おふつ「急に来ていったいなんなんだって言ってるんです。」
2012-10-30 19:55:39おふつ「確かに男の人というのは、簡単に女の人に結婚しようとか口約束して騙したりしますけど、そんな口説き文句を間に受けて、わざわざ駿河から『きちゃったー♡』なんてどういうことですかって言ってるんですよ。バカバカしい」兵五「なっ…」おふつ「そちらの妹さんも妹さんですよ」
2012-10-30 19:55:53おタコ「え…あの…」おふつ「カッコいい男ならまだしも、こんなの仕方なく結婚するようなタイプの男ですよ? 色がどす黒くて、目が三角で、口がデカくて、ヒゲだらけで、胸から腹までタムシだらけで、足はブツブツのザラザラで、その上寝息がクサくて、」
2012-10-30 19:56:06弥次「おいおいおいっ、ちょっと待ておまえ、自分のダンナをそこまで言うか?」 おふつ「ほほほほっ、男っていうのはね、女だったらたとえブスでもデブでも何でもいいのよ。いくらこの男と寝たからって、いい男でもあるまいし、あんたたちみたいに後を追って来るようなの見たことないわよっ」
2012-10-30 19:56:24兵五「なんだとぉ?」おふつ「こーんな狭い家にヨメが二人も三人もいたら、床が抜けて大家から追い出されるわ。…んもうっ、近所の人に気づかれないうちにさっさと出てってちょうだい!さあっ!」
2012-10-30 19:56:40【中ぼん紀行】水虫、田虫(たむし)という言葉は、江戸時代に初めて使用されるようになりました。田んぼ仕事をする季節になると足にポツポツとした水疱ができ、ムズムズして非常に痒い。昔の人は、水の中にいる正体不明の虫に刺されたのが原因と考えたのです。
2012-10-30 19:58:29兵五「なんなんだよコイツ、さっきからギャーギャーとうるさい女中だな。お前何者なんだ」おふつ「わたくしですか。私はこの弥次郎兵衛の妻で ご ざ い ま すっ」 兵五「はぁ? 妻ぁ? なんだ弥次郎兵衛、お前結婚してたのか」
2012-10-31 20:08:53弥次「ええ、まあ…」兵五「はぁー…そういうことか」弥次「そういうことです」兵五「なら仕方ないな。おい弥次郎兵衛、両手を出せ。縛って府中まで連れて行くぞ」そう言うと兵五左衛門はポケットから縄を取り出し、そして弥次郎兵衛を縛ろうと、一気に襲いかかる。
2012-10-31 20:09:03弥次「お、おい、やめろ! 縛って連れてくってどういうことだよ! 俺がヨメをもらったら犯罪なのか? なんなんだよ! 」兵五「うるせえっ。さあ!」弥次「やめろ!俺はな、てめーの挿してる刀なんて恐くもねえぞ ヽ(`Д´)ノ 」
2012-10-31 20:09:19【中ぼん紀行】静岡県の府中から東京神田までは約200km。現在の健脚な男性でも最低5日はかかる距離ですね。そんな道のりを両手を縛ったままで歩かせようとするなんて江戸時代こわい。
2012-10-31 20:10:33兵五「お前なあ、なんでそんなにエラそうなんだよ。おい、よく聞け。今日妹をわざわざ連れてきたのにはワケがあるんだよ。これはな、俺の上司の命令でもあるんだ」弥次「なに?どういうことだ」
2012-11-01 19:29:09兵五「俺の部下の横須賀利金太ってやつがな、この妹を妻にしたいと言って、仲人まで立てて俺の家に来たんだ」弥次「リキンダ?」
2012-11-01 19:29:20兵五「そうだ、利金太だ。妹にとっては身に余るムコだからな、失礼のないように、すぐに結納の準備にとりかかったんだよ。そしたらだ、こいつが『わたしやじろべえさんじゃなきゃいや! あの人と結婚するって約束したの!
2012-11-01 19:29:32お兄ちゃんの言うとおりになんてならないからね o(`ω´*)oプンプン』って言い出したんだぞ。俺がどれだけびっくりしたかわかるか?」弥次「あっ(・∀・;) 」兵五「もうしょうがないから利金太には正直に話したさ。
2012-11-01 19:29:47『弥次郎兵衛という男とできてたってことを私は知らずに結納させようとしてましたが、妹は好きな男とでなければ結婚できないと言ってます、お詫びに妹の首を切って差し出すしかありません』てな。
2012-11-01 19:29:58