東海道中膝栗毛 エピソードゼロ

十返舎一九が1802年に発表した「東海道中膝栗毛」は1809年の第8編まで続きましたが、実はその後1814年に「道中膝栗毛發端」と題した、いわゆるエピソードゼロを発表しています。 ここではその「發端」を現代語に超意訳しご紹介いたします。意訳ではありますが、ストーリーはかなり原作を忠実に再現しました。 弥次喜多が故郷を捨て江戸に住むことになったいきさつや、東海道を旅することになった理由が明らかに。
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現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

利金太は納得してくれたが、ただ親戚や会社にもう報告してしまった手前、世間体が悪いと言われた。女の首ひとつ出されたところでそれでは面目が立たないと、そう言われたんだ弥次(;・Д・)」兵五で、決闘して決着つけようじゃないかと提案され、安倍川原で決闘することになった

2012-11-01 19:30:12
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

【中ぼん紀行】決闘って江戸時代までのものかと思ったら、意外と明治中頃まで生きてた →「明治政府は1889(明治22)年、これを犯罪として取り締まるため、刑法の特別法として[決闘罪ニ関スル件](決闘法)を制定した」

2012-11-01 19:30:55
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

弥次決闘…すか (;゚д゚)」兵「安川原に呼び出され、さあイザっていうときに、今度は上司が駆けつけて来てな、待ったがかかったんだ。お前ら会社の給料で食ってる身分のくせに自分たちの都合で決闘とは、社長に対して申し訳が立たんわと。

2012-11-02 20:14:15
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

そして上司は、『妹が兄に隠してつきあってる男がいたことを知らなかったと結婚を断るのは、兵五が一方的に悪いとも言い切れん、まだ結婚前だったんだし、お互い損をするわけでもないんだから、そんなわだかまりは捨ててしまえ。

2012-11-02 20:14:33
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

それに妹のおタコも、口約束とは言え結婚しようと言ってくれた男でなければ一緒になれないなんていじらしいじゃないか』と言ってくださった。社長までもが同情して、その男と一緒になれって、そう言ってくださったんだよ。

2012-11-02 20:14:58
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

俺は、そのありがたい気持ちを受けてここまでやって来た。だからスゴスゴ帰って『今は他の女と結婚しておりました』なんて報告できるわけがないんだよ。わかるだろ?なあ弥次…… (=_=;)

2012-11-02 20:15:12
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

兵五さ、わかったか。この妹と結婚してくれればそれでいい。嫌だと言うなら縛って府中へ引き連れ、上司達にこのことを説明し、利金太へお前を引き渡す。そうでなければ、俺は武士が立たんのだ。さ、あきらめて縛られろ。もう踏みつけてでも縛って連れ帰るしかないんだよ

2012-11-02 20:15:26
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

弥次はあ~…そういうことですかー。なんとも勝手な兵五仕方ないだろう

2012-11-03 20:32:48
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

弥次兵五さん、俺はね、たとえ自分の身が刻まれて塩辛にされたとしても、この俺を大事に思っていつも我慢してくれてるおふつを捨てるわけにはいかないんスよ。だから覚悟を決めました。縛られて府中へ行きましょう。どうぞ勝手にしてください。さ、さ、どうぞ

2012-11-03 20:33:02
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

弥次郎は覚悟して両手を後ろに回した。兵五が弥次郎を縛りあげようとしたそのとき、おふつ待って!待ってください!」と、おふつが兵五にすがりつく。

2012-11-03 20:33:14
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

おふつ今のお話を聞いてよく分かりました。でも、自分の夫が縛られて府中までの道のりを恥を晒して歩き、もしも命にかかわるようなことがあったら私は生きていけません弥次おふつ (´;ω;`)」

2012-11-04 19:54:34
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

おふつ弥次さんは、自分がどうなろうと私を捨てるわけにはいかないと言ってくれました。もう私、それで満足です兵五おふつ弥次さん、どうか私と別れてください。あの妹さんは私と知り合うより前にあなたと付き合ってたんでしょ? 一緒になりたいっていうのもしかたのないことよ

2012-11-04 19:54:50
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

弥次ちょ待てよおふつそれでもあなたが私と別れずに縛られて府中へ行くと言うなら、私が先に死にますよおふつはそう言って立ち上がると顔を涙でくしゃくしゃにしながら台所へ行き、包丁を取り出した。弥次うわあやめろっ、バカ、何するんだよぉおふついやあ!死なせてよ

2012-11-04 19:55:03
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

弥次待て、まあ落ち着け、な? さあ、包丁を置いておふつ「(つд∩) ウエーン

2012-11-05 20:39:20
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

弥次わかったわかった、そこまで言ってくれるんなら仕方がない。しばらくさ、実家にでも帰っててくれ。俺の大事な妻を今さら捨てるなんてできるわけねえだろ。こんな別れ方をするのも、みーんな俺が悪いんだからな、もう泣くなよおふつうわあああん ・゚゚(p>д<q)゚゚・ 」

2012-11-05 20:39:34
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

さすがの弥次も、おふつが気の毒になりひしっと抱きしめてなだめた。そしておふつは小さなカバンに少ない荷物を詰め込むと、それを大事そうに抱える。おふつじゃあ、私いくね弥次きっと迎えに行くからなそうしておふつは、泣きながらしょんぼりと家を出て行った。

2012-11-05 20:39:47
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

出て行くおふつが見えなくなるまで見送る弥次。そうしておふつの姿が消えると、扉を閉めて家の中に戻った。兵五「…行ったのか」弥次「ああ、行った…」

2012-11-05 20:40:02
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

兵五そうか、行ったか ( ̄▼ ̄*)ニヤッ弥次ああ、行った。ニヤッ (*`▽´*)

2012-11-05 20:41:08
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

兵五/弥次はああーーーっ刀を抜いて畳の上に放り出す兵五。兵五はー、疲れた疲れた。おい弥次ぃ、俺の演技、どうだった?」弥次おまえさ、駿河訛りうめえな、どこで覚えて来たんだ? その侍の格好もよぉ、年収1000万級だぜ。いやー、八百屋の芋七にしとくのは惜っしいよなー

2012-11-06 20:38:42
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

芋七だろぉ?練習したんだぜぇ、俺、俳優になれちゃうかもなーっ弥次おタコ、お前もなかなかやるじゃん、ゲーセンでバイトしてるフリーターとは思えねえよ。武家の娘らしい着物の似合うこと、くにゃくにゃしおらしくしてさ、笑いがとまんねえや

2012-11-06 20:38:56
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

【中ぼん注釈】武士兵五のフリをしてた芋七の職業をここでは八百屋としてますが、実際は野菜の「棒手振り」です。そしておタコの勤務先ゲーセンは「矢場」。棒手振りも矢場も、ここの読者の皆さんには今更説明不要ですよね。もしわからないかたが見えましたらググっていただければと。

2012-11-06 20:40:05
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

おタコ(≧▽≦) でしょでしょ? 見直した?」弥次全部俺ひとりで考えたストーリーなんだぜ。二人に頼んで正解だったなー。あのおふつのヤロー最近口うるさくてさぁ、俺、ほとほと困ってたんだ。」

2012-11-06 20:39:10
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

弥次それとさ、こないだお前が持ってきた100万円の話、俺ちょうど金が必要だったんだよ。だからありがたく食いつかせてもらったぜ。」おタコえ、なあに?100万の話って

2012-11-06 20:39:28
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

芋七おう、実はさ、ある隠居が自分の愛人との間に子供ができちゃったんだよ。でな、家族に知られるとまずいからって、その愛人を誰かと結婚させようと、その引き受け金を100万でどうだってことで、俺が仲立ちを引き受けたのさ

2012-11-07 19:59:53
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

弥次俺は100万がほしい、でも妻がいるから今のままではその愛人を引き取れない。で、おふつを追い出して愛人と100万円をいただくことにしたってワっケ~おタコうわあ呆れた、100万円のために奥さんを追い出しちゃったの?」

2012-11-07 20:00:04
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