東海道中膝栗毛 エピソードゼロ
- KumanoBonta
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利金太は納得してくれたが、ただ親戚や会社にもう報告してしまった手前、世間体が悪いと言われた。女の首ひとつ出されたところでそれでは面目が立たないと、そう言われたんだ」弥次「はあ(;・Д・)」兵五「で、決闘して決着つけようじゃないかと提案され、安倍川原で決闘することになった」
2012-11-01 19:30:12【中ぼん紀行】決闘って江戸時代までのものかと思ったら、意外と明治中頃まで生きてた →「明治政府は1889(明治22)年、これを犯罪として取り締まるため、刑法の特別法として[決闘罪ニ関スル件](決闘法)を制定した」
2012-11-01 19:30:55弥次「決闘…すか (;゚д゚)」兵五「安倍川原に呼び出され、さあイザっていうときに、今度は上司が駆けつけて来てな、待ったがかかったんだ。お前ら会社の給料で食ってる身分のくせに自分たちの都合で決闘とは、社長に対して申し訳が立たんわと。
2012-11-02 20:14:15そして上司は、『妹が兄に隠してつきあってる男がいたことを知らなかったと結婚を断るのは、兵五が一方的に悪いとも言い切れん、まだ結婚前だったんだし、お互い損をするわけでもないんだから、そんなわだかまりは捨ててしまえ。
2012-11-02 20:14:33それに妹のおタコも、口約束とは言え結婚しようと言ってくれた男でなければ一緒になれないなんていじらしいじゃないか』と言ってくださった。社長までもが同情して、その男と一緒になれって、そう言ってくださったんだよ。
2012-11-02 20:14:58俺は、そのありがたい気持ちを受けてここまでやって来た。だからスゴスゴ帰って『今は他の女と結婚しておりました』なんて報告できるわけがないんだよ。わかるだろ?なあ」弥次「…… (=_=;) 」
2012-11-02 20:15:12兵五「さ、わかったか。この妹と結婚してくれればそれでいい。嫌だと言うなら縛って府中へ引き連れ、上司達にこのことを説明し、利金太へお前を引き渡す。そうでなければ、俺は武士が立たんのだ。さ、あきらめて縛られろ。もう踏みつけてでも縛って連れ帰るしかないんだよ」
2012-11-02 20:15:26弥次「兵五さん、俺はね、たとえ自分の身が刻まれて塩辛にされたとしても、この俺を大事に思っていつも我慢してくれてるおふつを捨てるわけにはいかないんスよ。だから覚悟を決めました。縛られて府中へ行きましょう。どうぞ勝手にしてください。さ、さ、どうぞ」
2012-11-03 20:33:02弥次郎は覚悟して両手を後ろに回した。兵五が弥次郎を縛りあげようとしたそのとき、おふつ「待って!待ってください!」と、おふつが兵五にすがりつく。
2012-11-03 20:33:14おふつ「今のお話を聞いてよく分かりました。でも、自分の夫が縛られて府中までの道のりを恥を晒して歩き、もしも命にかかわるようなことがあったら私は生きていけません」弥次「おふつ (´;ω;`)」
2012-11-04 19:54:34おふつ「弥次さんは、自分がどうなろうと私を捨てるわけにはいかないと言ってくれました。もう私、それで満足です」兵五「…」おふつ「弥次さん、どうか私と別れてください。あの妹さんは私と知り合うより前にあなたと付き合ってたんでしょ? 一緒になりたいっていうのもしかたのないことよ」
2012-11-04 19:54:50弥次「ちょ待てよ」おふつ「それでもあなたが私と別れずに縛られて府中へ行くと言うなら、私が先に死にますよ」おふつはそう言って立ち上がると顔を涙でくしゃくしゃにしながら台所へ行き、包丁を取り出した。弥次「うわあやめろっ、バカ、何するんだよぉ」おふつ「いやあ!死なせてよ」
2012-11-04 19:55:03弥次「わかったわかった、そこまで言ってくれるんなら仕方がない。しばらくさ、実家にでも帰っててくれ。俺の大事な妻を今さら捨てるなんてできるわけねえだろ。こんな別れ方をするのも、みーんな俺が悪いんだからな、もう泣くなよ」おふつ「うわあああん ・゚゚(p>д<q)゚゚・ 」
2012-11-05 20:39:34さすがの弥次も、おふつが気の毒になりひしっと抱きしめてなだめた。そしておふつは小さなカバンに少ない荷物を詰め込むと、それを大事そうに抱える。おふつ「じゃあ、私いくね」弥次「きっと迎えに行くからな」そうしておふつは、泣きながらしょんぼりと家を出て行った。
2012-11-05 20:39:47出て行くおふつが見えなくなるまで見送る弥次。そうしておふつの姿が消えると、扉を閉めて家の中に戻った。兵五「…行ったのか」弥次「ああ、行った…」
2012-11-05 20:40:02兵五/弥次「はああーーーっ」刀を抜いて畳の上に放り出す兵五。兵五「はー、疲れた疲れた。おい弥次ぃ、俺の演技、どうだった?」弥次「おまえさ、駿河訛りうめえな、どこで覚えて来たんだ? その侍の格好もよぉ、年収1000万級だぜ。いやー、八百屋の芋七にしとくのは惜っしいよなー」
2012-11-06 20:38:42芋七「だろぉ?練習したんだぜぇ、俺、俳優になれちゃうかもなーっ」弥次「おタコ、お前もなかなかやるじゃん、ゲーセンでバイトしてるフリーターとは思えねえよ。武家の娘らしい着物の似合うこと、くにゃくにゃしおらしくしてさ、笑いがとまんねえや」
2012-11-06 20:38:56【中ぼん注釈】武士兵五のフリをしてた芋七の職業をここでは八百屋としてますが、実際は野菜の「棒手振り」です。そしておタコの勤務先ゲーセンは「矢場」。棒手振りも矢場も、ここの読者の皆さんには今更説明不要ですよね。もしわからないかたが見えましたらググっていただければと。
2012-11-06 20:40:05おタコ「(≧▽≦) でしょでしょ? 見直した?」弥次「全部俺ひとりで考えたストーリーなんだぜ。二人に頼んで正解だったなー。あのおふつのヤロー最近口うるさくてさぁ、俺、ほとほと困ってたんだ。」
2012-11-06 20:39:10弥次「それとさ、こないだお前が持ってきた100万円の話、俺ちょうど金が必要だったんだよ。だからありがたく食いつかせてもらったぜ。」おタコ「え、なあに?100万の話って」
2012-11-06 20:39:28芋七「おう、実はさ、ある隠居が自分の愛人との間に子供ができちゃったんだよ。でな、家族に知られるとまずいからって、その愛人を誰かと結婚させようと、その引き受け金を100万でどうだってことで、俺が仲立ちを引き受けたのさ」
2012-11-07 19:59:53弥次「俺は100万がほしい、でも妻がいるから今のままではその愛人を引き取れない。で、おふつを追い出して愛人と100万円をいただくことにしたってワっケ~」おタコ「うわあ呆れた、100万円のために奥さんを追い出しちゃったの?」
2012-11-07 20:00:04