オーズ・ディケイド・平成ライダー 火を噴け!十二人ライダー 04

http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=993239 pixivの方で掲載している仮面ライダーオーズの二次創作です。以前掲載していたWの二次創作( http://togetter.com/li/462856 )との関連性は全くありません。 pixiv掲載版とこちらでは若干タイトルが異なります。 前 http://togetter.com/li/563608
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イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

平成ライダーカプセルトイ二次創作シリーズ 「オーズ・ディケイド・平成ライダー 火を噴け!十二人ライダー」 04:アポロショッカーとライダーメダルとコウモリ襲来

2013-09-14 21:32:50
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「――現在、長崎県上空を通過。機体、天候、共に良好。敵機影無し。順調に航行しております」 「了解。引き続き宜しくお願いします」

2013-09-14 21:34:06
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 火野映司と門矢士が鴻上ファウンデーション所有のヘリに乗り込んで約半日。三度の給油と休憩を経て、九州地方まで到達したところだ。  里中が操縦士に現状を聞いて戻って来る。映司は休憩時に街で購入した肉まんを頬張っており、士はそれに手を付けず眉間に皺を寄せ、頻りに貧乏揺すりをしている。

2013-09-14 21:34:39
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

「航行は順調です。後三時間程で財団本部に到着するかと」 「日本かぁ……。比奈ちゃんたちとも長いこと会ってないし、楽しみだなぁ」 「そんなこと言ってる場合か。あの平原を発ってもう半日、未だに何故呼ばれたのかも聞けてねェんだぞ」

2013-09-14 21:38:46
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

 士は長旅の疲れもあってか遂に痺れを切らし、里中に掴み掛かる。 「そろそろ洗いざらい吐いてもらおうか。いい加減うんざりなんだよ」 「落ち着いて下さい門矢さん」里中は表情を変えずに言葉を返す。「説明に関しては自分の方で行うとの鴻上の指示ですので」

2013-09-14 21:41:46
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

「……鴻上ってのはお前の上司か何かか? 丁度いい、そいつと話をさせろ」 「良いでしょう」  里中は士の手を引き剥がすと、鞄の中から一抱えもある液晶モニタを取り出して士たちの方へと向ける。白黒の砂嵐の後液晶モニタに現れたのは、画面全てを埋め尽くす、色黒に壮年の暑苦しい男の顔だった。

2013-09-14 21:44:03
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

「やぁ! 久しぶりだね火野君! 元気そうで私も嬉しいよ!」 「あ……鴻上さん。そちらこそ、お元気そうで何よりです」  鴻上《こうがみ》と呼ばれた男は、映司と簡単に挨拶を交わした後、士の方に目を向ける。

2013-09-14 21:48:47
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

「そして君が……」意味深に間を取って鴻上が叫ぶ。「世界の破壊者・ディケイド! 門矢士君だね! 君に出会えて、私はヒジョウに嬉しいよ! 共にこの出会いを祝おうではないか! ハッピバースディ!」

2013-09-14 21:49:54
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

 付き合いの長い映司はあっさりと流したが、初対面の士はそうはいかない。鴻上が喋り続けている間、彼は辟易とした顔で耳を塞ぎ続けていた。

2013-09-14 21:50:08
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

「会長」このままでは話し合いにならないと危惧した里中が動く。「そこまで叫んで頂かなくても声は届きます。それと、もう少しカメラから顔を離して頂けますか?」 「おお、失礼、失礼」彼女に言われ、カメラから顔を離す。液晶モニタに目が痛くなりそうな程派手な緑色のスーツを纏った男が映った。

2013-09-14 21:53:58
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

「私の所に通信してきたと言う事は、もう日本のどこかに到着したということかな」 「現在長崎上空を通過。間も無く熊本の県境に入ります」 「熊本、か……。ならば私が説明するよりも、”見せて”しまった方が早い。パイロットに『熊本城』上空を通過するよう伝えてもらえるかな」

2013-09-14 21:59:08
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

「了解しました」里中はモニタを置いて即座に立ち上がり、操縦士に鴻上の指示を与えに行く。 「おい鴻上、遊覧飛行なんか後でもいいだろう、さっさと状況を説明しろ」 「そうカリカリしないでくれ門矢君。この方が手っ取り早いのだよ。見たまえ、これが今の……この国の”惨状”だ」 「惨状……?」

2013-09-14 22:02:36
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

 鴻上に言われ、ヘリの窓越しに熊本市街の様相を目の当たりにした士は、驚きのあまり声を失ってしまう。遅れて窓の外を見た映司は、想像を絶する惨状に息を呑んだ。 「何だよ……これ」 「一体、どういうこと何ですか! どうして……。熊本城が“セルメダル”の山になってるんですか!」

2013-09-14 22:05:04
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

 彼らは自分で自分の目が信じられなくなった。そこは確かに観光名所・熊本城の筈だ。ならば今目に映っているものは何だ。城の形をしているが、銀色のメダルが城の形に積み上げられただけではないか。熊本城に限ったことではない。周囲に立つ背の高い建物の多くは軒並みメダルの山へと姿を変えている。

2013-09-14 22:09:00
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

 驚いてそれ以上声が出ない二人に対し、鴻上は「驚くのも無理はない」と言葉を紡ぐ。 「こんなもの、人間業じゃあないからね。三日……、たったの三日でこの国の主要都市、軍隊、在日駐屯米軍の基地は全て、セルメダルの塊に変えられてしまったのだよ、『アポロショッカー』の手によってね」

2013-09-14 22:16:07
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

「アポロ……ショッカー?」映司がオウム返しに答える。「そいつらが熊本城を、この国をこんなにしたって言うんですか」 「そうだ。信じられないかもしれないが、それが事実なのだよ、火野君」 「無茶苦茶な……」

2013-09-14 22:17:15
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 パニック映画と見紛う程の熊本の惨状を目にし、映司は茫然自失となって膝を付く。逆に士は、「やはりやって来たか」と眼をぎらぎらと輝かせ、割れんばかりの勢いで眼前の窓硝子に力を込めた。 「……アンタ、鴻上だとか言ったな。教えてくれ。『ヤツ』はこの世界で何をした」

2013-09-14 22:19:29
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

「彼のやったことは至ってシンプルだよ。突然光のオーロラから現れて、”この世界は私のものだ。命が惜しくば速やかに降伏せよ”と全世界に迫ったのさ。当然の如く交渉は決裂。彼は腹いせにと、この国の軍隊を全て無力化させたと言う訳だ」 「“相変わらず”やることがえげつねぇな。他国の様子は?」

2013-09-14 22:22:26
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

「彼らの力に恐れを成して降伏するものと、最後まで戦い抜くと息巻く国で真っ二つさ。現状では降伏した方が利口だと思うがね」 「違ぇねぇ」 「ちょっと待ってくださいよ。……分かるように説明してください。アポロショッカーってのは何なんです。そもそも何故俺たちを日本に呼び寄せたんですか」

2013-09-14 22:24:23
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

「あぁ、お前にはまだ話していなかったな」士は面倒臭そうに後ろ手で後頭部を掻く。「今から少しばかり前の話だ。俺たち『仮面ライダー』が、”ショッカー”と言う大組織と戦い、勝利を納めてからすぐの、な」 「俺”たち”……? 仮面ライダーって、士さん以外にもいるんですか?」

2013-09-14 22:25:50
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

「あぁ、いるぜ。それこそうじゃうじゃとな。だがその話は後にしろ。続けるぜ。仮面ライダーとショッカーの戦いは、山のようにドでかい大首領を倒し、幹部たちが溶岩の底に落ちて決着が付いた。少なくとも、あの時戦った奴らはそう思っていた」 「それが俺と……、どう繋がるです?」

2013-09-14 22:27:41
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

「面倒臭いから掻い摘んで話すが、俺はこの世界の人間じゃない。お前がさっき見たあのオーロラ、あれを通って様々な世界を巡るのが俺の本業なんだよ」 「本業……、ってことは、士さんも旅人だったんですか? 親近感が湧くなあと思いましたけど、そういうことだったんですか」

2013-09-14 22:32:02
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

「いちいち話の腰を折るな。続けるぞ。勝ったと思ったその時火口から赤く輝く、禍々しい六枚の翼を羽ばたかせ、そいつは俺たちの前に現れた。  赤・朱色・オレンジ、”三色が混ざり合った”メダルを使って戦うあいつに、俺たちは成す術が無かった。ヤツの名は”アポロガイスト”。例の軍団の頭目だ」

2013-09-14 22:35:10
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

 映司は信じられないと言いたげな顔で士を見る。彼の強さは間近で見ていて知っている。そんな彼が、仲間たちと徒党を組んでも負けたと言うのか。彼の言うアポロガイストとは、どれ程の力を持っているのだろう。

2013-09-14 22:36:51
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

 しかし、それら以上に疑問な点が一つ。三色が混ざり合ったメダルとは何か。今までの話から察するに、アポロガイストという怪人がコアメダルを用いて戦っていたことは理解できた。しかし、コアメダルの色はどれも単色で、色が混ざったものなど存在しない筈だ。

2013-09-14 22:39:40