牧眞司の文学あれこれ その6

牧眞司の文学あれこれ その5(http://togetter.com/li/559538)からの続きです。
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牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

書評のさわり―― これらの作品を読んで、「異常な状況における極限の精神状態」とみなすことはたやすい。健康な自分には関係のないことだ、と。しかし、本当にそうだろうか? エヴンソンが描く境地は、じつは普段の生活からほんの半歩の距離かも http://t.co/7AOmEl1h6u

2014-04-01 13:28:23
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

ロベルト・ボラーニョ『鼻持ちならないガウチョ』(白水社)読了。表題作は、ボルヘスの荒くれもの小説のオマージュで、ボルヘス同様の冷たく引き締まったロジックが働いている。しかも、神話を喪失した現代が舞台なので、いっそうアイロニカル。

2014-04-03 21:15:27
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

「鼠警察」は風変わりでシビアな動物文学。ビザールです、不穏です。読み終わったあとも、胸騒ぎがとまらない。 「二つのカトリック物語」はひとつの運命を、表と裏で書き分けていて鮮烈。ボラーニョの技巧が冴えわたる。

2014-04-03 21:15:56
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

講演録「クトゥルフ神話」は、南米文学界を暗黒神話になぞらえて(といってもパロディ的な見立てではなく、もっとピリッと皮肉がきいている)その系譜を独自にまとめたもの。日本文学でもどなたか試みてくれぬか。

2014-04-03 21:16:22
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

高槻真樹『戦前日本SF映画創世記』(河出書房新社)読了。これは大した労作。ぼくが門外漢ということもあるけれど、おそらくSF映画にだいぶ詳しいひとでも初めて知るようなことがいっぱい詰まっているはず。図版も満載。

2014-04-07 09:19:50
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

個々の情報だけでなく、それらを結ぶ当時の映画界の状況や人脈、そしてSF的想像力の受容状況が検討されていて面白い。

2014-04-07 09:20:24
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

批評的な観点においても、フィルムが残っているものはそれにあたり、そうでないものは文献や証言などを掘り起こしたうえで、高槻さん独自のアプローチがおこなわれている。とくに「狂った一頁」という作品における、映写スピードの違いの考察はスリリング。

2014-04-07 09:20:59
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

NEWS本の雑誌「今週はこれを読め! SF編」更新されました。こんかいはイアン・マクドナルド『旋舞の千年都市』(東京創元社)を取りあげています。 http://t.co/pSWISsWlZP

2014-04-08 12:57:47
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

書評のさわり―― 「旋舞」はこの作品の空間が的然と示す言葉だろう。物語の冒頭は、コウノトリが上空を旋回し(略)さらに作品のところどころで、市中の交通の循環、資本経済の渦、DNAの螺旋構造……と、旋回のイメージが繰りかえし出てくる。 http://t.co/WQzU0jQ3Ab

2014-04-08 12:59:08
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

ロラン・ジュヌフォール『オマル 導きの惑星』(新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)読了。巨大天体でのトラヴェローグという大風呂敷にして、古典的物語の様式美も楽しい冒険SF。けっこう厚いけど、つぎつぎに局面が変わり飽きずに読めました。

2014-04-10 18:04:52
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

ジュヌフォール『オマル 導きの惑星』では、まったく縁がない6人が何者かの導きで旅に出て、めぐりあっていく。6人が同じパーティであることを認識する手立ては、分割された卵で、6つの欠片をあわせるとひとつになる。

2014-04-11 07:57:56
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

こうしたギミックは物語の演出で、まあ楽しいのだが、小説のリアリティ水準としてはちょっと時代がかっている。「なんで卵?」というツッコミたくなるのだが、じつはストーリイ上の都合とは別に、象徴的というか暗示的というか仕掛けであって最後まで読むと腑に落ちる。

2014-04-11 08:04:35
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

ネーサン・ローウェル『大航宙時代 星界への旅立ち』(ハヤカワ文庫SF)読了。おお、ちょっとハインラインのジュヴナイル・テイスト。でも主人公がフツー。フツーすぎるところが逆にちょっとビックリ。

2014-04-11 20:03:31
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

『ハイペリオン』と似ているのは登場人物が集まってそれぞれの経緯を話す形式だけです。むしろ薄味のジャック・ヴァンスといった感じです。読みやすい。 RT @RappaTei しかし『オマル』購入をためらっているのは『ハイペリオン』のせいかも。今ひとつノれなかったんだよなあ。

2014-04-12 00:22:22
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

『オマル』はシリーズ開幕篇なので、もしかすると後続の巻で『ハイペリオン』のようなめくるめくスペクタクルになるのかもしれませんが。 RT @RappaTei なるほど。買ってみます。しかしその形式だけで「『ハイペリオン』を彷彿とさせる」ってアオるとはw

2014-04-12 08:43:27
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

原稿書きのあいまのつもりで読みはじめたサマセット・モーム『月と六ペンス』(新潮文庫)が面白くてたまらず、仕事どころではなくなってしまった。まだ途中だけど、「芸術の魔」テーマとして篠田節子やミルハウザーの作品と同じくらい(つまり最高に)興奮する。

2014-04-14 22:41:32
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

『月と六ペンス』、芸術テーマとは別に(関連もあるのだが)人間の欲動の機微/奇妙がありありと表現されていて、それもすごい。 〔人間はなぜか、驚くほど巧みに自分を苦しめようとする〕 まさしくそのとおり。身につまされるなあ。気をつけよう。

2014-04-14 22:45:27
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

モーム『月と六ペンス』(新潮文庫)読了。これは傑作。こういうのがあるのだから、新しい文学だけではなく古典も読まねばなあ。先鋭っぽいのだけでなく、すでに世に知られた名作も読まねばなあ。教養主義的なことではなく、面白い小説を読むという一点にかけてそう思う。

2014-04-15 18:04:31
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

超俗・冷淡・非情な天才画家ストリックランドと、道化・温厚・善人の凡庸画家ストルーヴェの対照が強烈。ストルーヴェの悲劇は画家として非才なのに(自覚もあ)、芸術愛好家として超一流の目をもっていることで、彼はストリックランドの圧倒的な才能に惹きつけられ、人生がズタズタになってしまう。

2014-04-15 18:05:44
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

物語の前半でストルーヴェが退場し、あれれと思うのだが、そこで語りの方向(時間の流れの切り取り方や、ストリックランドを捉えるアングル)が一転する。その部分だけではなく、モームの叙述テクニックは全篇で冴えわたっていて、けっこう凄い。

2014-04-15 18:06:19
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

語り手の「わたし」もいっけんニュートラルな傍観者を装っているのだが、じつはストリックランド、ストルーヴェにつづいて芸術/日常の相克を実感している人物であり、その屈折がときおりそれが物語内に迸る。モームはそのあたりをじつにさりげなく扱っていて、その加減にも舌を巻く。

2014-04-15 18:07:35
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

訂正!! NEWS本の雑誌「今週はこれを読め! SF編」更新されました。こんかいはフリオ・コルタサル『対岸』(水声社)を取りあげています。 http://t.co/HQtm8vd1Yp

2014-04-17 13:36:01
リンク WEB本の雑誌 【今週はこれを読め! SF編】スタージョン? ライバー? ブラッドベリ? いいえ、コルタサルです! - 牧眞司|WEB本の雑誌 コルタサル! なんだ、また文学系かよと思われるかもしれないが、いやいや、コルタ...
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

書評のさわり―― 意識と現実がくるりとつながる、小説空間のトポロジーがみごと。この部のほかの3篇も同趣向の文学的マジックがおこなわれているが、よほど目を凝らしていてもタネは見抜けない。(略)何度読んでも読者はくるりとなってしまうのだ。 http://t.co/HQtm8vd1Yp

2014-04-17 13:36:30
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