「千の想いを」～第三章・境界・固定イベント「演習」#3～

ＴＲＰＧ狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

【バトルパート３　夕張vs榛名・夕立】

ＴＲＰＧ狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

――千代田と伊吹が走り去っていく方向を視野に納めながら、夕立と榛名が小さく目配せをする。瑞鶴と五十鈴が追っていったのはわかっているし、強敵と見ていた龍田と天龍は長門と陸奥がいる以上心配する事は無い。 立ち塞がるのは夕張１人のみ。 勝負にならない。 ２人は無言で頷き、構える。

卓ゲーマー夕張＠NWやりたい @Yubari_Yasaka

@Yuudachi_DD @Haruna_not @tiyodadayo 今日は敵同士、だけど本気でやらせてもらうわよ！

ＴＲＰＧ狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

戦艦娘なのかと思える程に重武装した夕張が意気揚々と吠える。 軽巡としては異質な腕力と膂力は、榛名はとある事情でよく知っていた。加えて、自分で整備・改造を施せる程の知識と技術まで持ち合わせているのが、夕張という少女である。『兵器』としての能力は姉の金剛に及ぶかも、と榛名は思う。

ＴＲＰＧ狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

が、それだけで勝てる程海戦は甘いものではないし、榛名も夕立も弱い存在ではない。 いまだ返し切れない程の恩と、浅くはない友人としての関係もあるが、全力で潰そうと榛名は静かに決める。 手加減などしては、夕張本人も望まないだろうし、何よりも旗艦である長門に怒られてしまう。

榛名改二Lv壱肆〇@不定期 @Haruna_not

@Yubari_Yasaka @Yuudachi_DD @Haruna_not @tiyodadayo こっちも本気を出すわ・・・主砲、砲撃用意！！

ＴＲＰＧ狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

右手に持った大砲と、腰の後ろの檻装の砲口を夕張に向け、一斉に放つ。 照準はまともに合わせてはいない。夕張を中心として大きな水柱が連続して巻き上がるが、きっと直撃はしていないだろう。 それで、勝負はつく。 撃つと同時に右へと駆け出す。夕立はとうに左へと走り出している。

ＴＲＰＧ狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

視界と身動きを封じた上で、左右から挟み撃ちする。無論、完全に直線に並びはしない。対角線上に並んで仲間の弾を喰らうような愚行を犯すわけがない。 夕張の能力を榛名はよく理解している。 そう、致命的な程に俊敏さに欠ける事も。 水煙が納まらない内に、終わらせる。

ＴＲＰＧ狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

夕張がいる位置に今度は正確に照準を合わせ、そして息を呑む事になる。 水柱の隙間。 スコープの十字の中心で、夕張と『目が合う』。 彼女の扱う多くの銃口と砲口が、自分に向いているのも見えた。 それの意味する事を考えるより先に本能で察知し、榛名は砲を降ろして身体を滑らせる。

ＴＲＰＧ狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

今しがた自分がいた空間が派手に喰い千切られていく。 反対に陣取った夕立も同じ目に遭っている事も視認できた。左右に分割して尚、十分な破壊力を持つ夕張の攻撃力を改めて目の当たりにする。 問題なのは。 今のは明らかに『先読みされていた』という事実。

卓ゲーマー夕張＠NWやりたい @Yubari_Yasaka

@Haruna_not @Yuudachi_DD @tiyodadayo さぁて…いろいろ試してもいいかしら！全砲門斉射！

ＴＲＰＧ狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

夕張の武器が『増えた』。 いや、実際に増えるわけがないが、対する２人にはそう感じられた。両手と腰の後ろの檻装に加え、肩の上の砲筒が動き、ふとももとふくらはぎの細い連想砲がそれぞれ意思を持っているかのように蠢く。 十分な破壊力を持った、と評した先程の攻撃が、全力ではなかったと。

ＴＲＰＧ狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

銃弾の雨、とはよく言ったものだが、その表現ですら生ぬるい。各種様々なサイズと形状の銃弾と砲弾が、夕張を中心として乱暴に空間を蹂躙していく。 何よりも驚異なのは、やたら滅法にぶっ放しているわけではない点だ。常人では目で追えない速度で奔る榛名と夕立を、正確に追従している。

榛名改二Lv壱肆〇@不定期 @Haruna_not

@Yubari_Yasaka @Yuudachi_DD @tiyodadayo 甘いわ！（飛んでくる弾を避ける 今度はこっちの番よ、主砲、撃てぇぇぇ!

ＴＲＰＧ狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

だからと言って回避し切れない榛名ではない。 海上を滑り、弾道を見切った上で高く跳ぶ。背を反らして上斜め後ろへと舞い上がり、身体のすぐ下を穿つ嵐を感じながら、宙で砲を向ける。 これだけの弾幕をばら撒きながら、あの夕張が移動できている筈が無い。狙うのは簡単だった。

夕立改二＠Lv128 @Yuudachi_DD

@Yubari_Yasaka @Haruna_not @tiyodadayo いただきよー！主砲、発射！

ＴＲＰＧ狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

対面ではブースト移動で射線から逃げ切った夕立も無傷のまま愛銃を向けている。 相手が悪過ぎた。並の艦娘が相手であったのならば、１対２でも夕張が圧倒できただろう。 けれども、長門艦隊の先陣を切る２人は伊達にその座に就いてはいない。

卓ゲーマー夕張＠NWやりたい @Yubari_Yasaka

@Haruna_not @Yuudachi_DD @tiyodadayo っ！それは…貰えない！（ギリギリの回避行動）

ＴＲＰＧ狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

榛名のイメージがまた崩される。夕張が一瞬身を低くしたと思ったら、屈伸のバネだけで横へとスライドして榛名の砲撃をかわしてみせた。 勢いを殺さずに腰を深く落とし、背後の先にいる夕立へと向き直る。 本人の身体よりも巨大な装備の、全ての銃口も一緒に。

卓ゲーマー夕張＠NWやりたい @Yubari_Yasaka

@Yuudachi_DD @Haruna_not @tiyodadayo …全門って、言ったはずよ夕立（榛名の砲撃をよけながら）

ＴＲＰＧ狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

ブーストによる瞬間的な最高速度でならあの島風にも匹敵する夕立だが、欠点が無いわけではない。 それは連続使用ができない点と、攻撃直後では反動制御の為に使用できない点である。 故に、全ての砲門を向けられても、夕立は即座に動く事はできない。 無慈悲に斉射されても、だ。

卓ゲーマー夕張＠NWやりたい @Yubari_Yasaka

@Yuudachi_DD @Haruna_not @tiyodadayo 悪いけど、撃ち合いで負けるつもりは無いのよね…！

ＴＲＰＧ狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

さっきの動きで予測はしていた事ではあるが、この時に榛名は確信する。 夕張は、自分達の能力や特性、装備から癖に至るまで、そして弱点すらも理解している事に。 彼女の最大の武器は、膂力や武装なんかではない事に、ようやく気付く。

榛名改二Lv壱肆〇@不定期 @Haruna_not

@tiyodadayo くっ・・・！

ＴＲＰＧ狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

見蕩れている暇は無かった。見た目からは異常にしか映らない速さで、夕張が榛名へと向き直る。間髪入れずに吐き出される銃撃をかい潜りながら、奥歯を噛み締めて榛名は胸中で呻く。 強い。 榛名が知っている頃よりも、遥かに。 前線を外され、支援艦隊となった夕張が。