地獄鎮守府の日常 #18~20

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白金桜花 @YamanekoOuka

「んー、司令官さんは自分に性格そっくりで、それで自分より優秀な子がいたらどう思うん?」 「ぞっとするな」 「なら、それが答えなんや、不知火はんの素は大鳳はんに似てるんや、せいぜい表面上のものが違うだけ。だからあそこまで嫌うんやで」 #地獄鎮守府の日常

2014-03-24 21:38:47
白金桜花 @YamanekoOuka

彼女は自分の場所が、私に抱かれる位置が奪われることを恐れてるのだろうか。 そう考えてるのなら、彼女に大丈夫だと言い聞かせたい気分になる。 「うちとしては叢雲はんぐらいしっかりしてほしいんやけどなぁ……ほら、同じ陽炎型さかい、ちぃと顔でかくできるかなぁと」 #地獄鎮守府の日常

2014-03-24 21:39:27
白金桜花 @YamanekoOuka

「いやそれは無茶だろうさ」 そう、とりとめのない会話を交わしながら、私は食事を取る。 秋刀魚、白米、豚汁、そのうちの豚汁の味は、絶品だ。 ごく、ごくとそのスープを一滴残らず飲み欲し、私は水を飲みながら、食後の余韻を楽しむ。 #地獄鎮守府の日常

2014-03-24 21:40:33
白金桜花 @YamanekoOuka

「ごちそうさま、本当の豚肉なら、どんな味になるんだろうな」 「本当の豚肉?」 「ああ、実際の豚さ、今じゃもう希少種になってるが、それでも高値で扱われてるからね。今じゃg100円ぐらい行くか」 「ほえぇ……100gで1蔓円……」 #地獄鎮守府の日常

2014-03-24 21:41:15
白金桜花 @YamanekoOuka

黒潮の顔に驚きが浮かび上がる。 「ま、合成肉が主流すぎて趣向品になってしまったんだろうから、というのもあるのだろうけどね」 「ふぅむ、ちぃと興味あるなぁ……」 #地獄鎮守府の日常

2014-03-24 21:42:20
白金桜花 @YamanekoOuka

黒潮が興味を示す、確かに、この豚汁の豚が本物の豚なら、どんな味だろうか、そう考えれるぐらいには、美味い。 「なら、ちょっと探してみようか」 実際に買うかは財布と相談だが、少し景気づけに良いかもしれない、そう私は思い、楽しげに黒潮に提案した。 #地獄鎮守府の日常

2014-03-24 21:44:54
白金桜花 @YamanekoOuka

黒潮の顔に驚きが浮かび上がる。 「ま、合成肉が主流すぎて趣向品になってしまったんだろうから、というのもあるのだろうけどね」 「ふぅむ、ちぃと興味あるなぁ……」 #地獄鎮守府の日常

2014-03-24 21:42:20
白金桜花 @YamanekoOuka

黒潮が興味を示す、確かに、この豚汁の豚が本物の豚なら、どんな味だろうか、そう考えれるぐらいには、美味い。 「なら、ちょっと探してみようか」 実際に買うかは財布と相談だが、少し景気づけに良いかもしれない、そう私は思い、楽しげに黒潮に提案した。 #地獄鎮守府の日常

2014-03-24 21:44:54
白金桜花 @YamanekoOuka

灰色の空に工場が立ち並び、雑多な市場が道路跡に立ち並ぶ香港の町。 私と黒潮、そして飯を食べてた時たまたま隣に居て、やりとりの後面白そうだと言ってきた陽炎の三名で賑わう市場を歩き進む。 #地獄鎮守府の日常

2014-03-24 21:46:30
白金桜花 @YamanekoOuka

陽炎も黒潮もそれぞれ赤と藍色のコートを着ている、私のコートも赤だが、別にペアルックというわけではない、だが、陽炎は私のコートに似たコートを選んでいた。 私のコートは曾祖母のお古のコートであり、正直センスが悪いと思っている。 #地獄鎮守府の日常

2014-03-24 21:49:51
白金桜花 @YamanekoOuka

だが、私何かが気取った格好をしても仕方が無いと考え、愛着しており、昔の文明の素材だからか妙に頑丈な為、今尚使い続けているのである。 「んー、やっぱりこういうの悪くないんやなぁ、いいわぁ、こういう闇市は」 黒潮が機嫌よく語る。 #地獄鎮守府の日常

2014-03-24 21:51:47
白金桜花 @YamanekoOuka

「あ、電気掃除機!司令官!これ!これ!」 私の片腕を引っ張りながら、陽炎が掃除機に目を輝かせる。 それは一種の艤装かと思うほどの巨大な背負い式掃除機で、立札によれば核動力で動くのだという。 #地獄鎮守府の日常

2014-03-24 21:53:16
白金桜花 @YamanekoOuka

失われた文明の品の一つ、明らかに怪しく、故障してれば良い方、爆発しそうな雰囲気が感じ取られた。 「はいはい駄目駄目、そんな買い物をするつもりじゃないからね」 「むー、司令官の意地悪、良いじゃないのこのぐらい、いけず」 陽炎がむっとする、だが手は離さない。 #地獄鎮守府の日常

2014-03-24 21:53:57
白金桜花 @YamanekoOuka

白い手袋に包まれ、コート越しに触れたというのに、どこかその細さが伝わってくる。 「意地悪と言っても無理なものは無理さ」 そう言いながら、私は陽炎を逆に引っ張る。 「あっ」 体を崩して転びそうになる陽炎、そこで私は咄嗟に腕を掴み、逆に抱き寄せる。 #地獄鎮守府の日常

2014-03-24 21:55:00
白金桜花 @YamanekoOuka

抱き寄せると細い体のラインが手で感じ、コートを着た彼女の顔が、近く感じた。 「……ごめんなさい」 眼を逸らし、陽炎が謝罪する。 私はすぐ、彼女が体勢を立て直すと距離を保つ。 #地獄鎮守府の日常

2014-03-24 21:56:01
白金桜花 @YamanekoOuka

「あーもー、とっとと浮気模様見せんといて、どーせうちが不知火はんに刃物行くんや」 冗談交じりの黒潮、不知火という言葉を聞いて、陽炎の顔に陰りが浮かぶ。 「……堪忍してな」 その表情の変化に黒潮が察する、気まずい、という言葉が脳裏を過ぎる。 #地獄鎮守府の日常

2014-03-24 21:56:50
白金桜花 @YamanekoOuka

「とりあえず豚肉を探そう、うん」 「あ、うん、そうね、そっちが目的だったわね」 「せやな」 話題逸らしに二人が乗っかり、私達は逃げるように市場を抜け、目的の酒場に到着する。 #地獄鎮守府の日常

2014-03-24 21:58:52
白金桜花 @YamanekoOuka

この酒場は香港まで物売りに来た行商人が愛好する酒場で、この手の情報収集では使える所だ。 酒場に三人で座り、適当なメニューを注文する。 「はぁ……市場じゃなくてこっちが本命だったのね」 「悪いね、市場で買いあさるのを期待してたのかな」 #地獄鎮守府の日常

2014-03-24 21:59:41
白金桜花 @YamanekoOuka

「ま、ちょっとね」 「あんな闇市で売ってるのはバッタモン、下手したら艦娘や人間の肉やで?」 黒潮がにやにや笑いながら陽炎に告げる。 すると陽炎の顔がみるみると血の気が引き、蒼白に変わっていく。 #地獄鎮守府の日常

2014-03-24 22:00:32
白金桜花 @YamanekoOuka

「え……ほ、本当?」 「ほんまや、なぁ?」 黒潮はニヤニヤしながら、私に振る。 「私は知らないよ、でも、在り得なくない話ではないな」 だがここで冗談交じりに答えても趣味が悪い、真剣に私は答える。 #地獄鎮守府の日常

2014-03-24 22:01:35
白金桜花 @YamanekoOuka

「食べなくて良かった……」 ほっ、と陽炎は溜息をつく。 「何や、陽炎は艦娘の肉とか喰えんかいな?」 「だって汚いし、特に艦娘なんて、鋼とオイルで穢れてるじゃない……」 「あー……ま、陽炎の潔癖症も難儀やな」 #地獄鎮守府の日常

2014-03-24 22:02:38
白金桜花 @YamanekoOuka

そんな談笑を交わす陽炎と黒潮の様子を見ながら、私は酒場のマスターに聞き込みを開始する。 「なぁ、ここら辺で豚肉扱った商人知らないかい?」 そう、私が言うとマスターは親指で奥のテーブルを示す、そこには解体された舞風と思わしき行商が一人でカプラーゼを食べていた。 #地獄鎮守府の日常

2014-03-24 22:03:27
白金桜花 @YamanekoOuka

「OK、彼女の好みそうな酒をあのテーブルに」 そうマスターに指定すると、マスターは不知火と思わしきウェイトレスを呼び、耳元まで顔を近づけ、ごにょごにょと彼女に指示をする。 #地獄鎮守府の日常

2014-03-24 22:04:25
白金桜花 @YamanekoOuka

その不知火の瞳を見る、バイトか解体されたのかは解らないが、私が愛を与えている彼女の瞳に比べると、矢張り見劣りするのは恋、なのだろうか。 そうしてウェイトレスが注文を届けるのを確認すると、私は舞風の所へ向かった。 #地獄鎮守府の日常

2014-03-24 22:04:41
白金桜花 @YamanekoOuka

「ん、どうしたの君?君のおごりなの?」 くりっとした瞳で金髪の少女は私の眼を覗き込む。 「おごりだよ、悪くないだろう?」 「ふぅん、ありがと、で、何が目的なの?」 「豚肉を売ってる良い場所で目星はないかい?」 #地獄鎮守府の日常

2014-03-24 22:06:36
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