東方R-18翻訳SS「霊夢と魔理沙ラブホに泊まる（仮）」

Female Trouble@百合の迷宮 @yuri_no_meikyu

霊夢は返事をしようと口を開きかけたが、首を横に振るしかなかった。 紫は扇をパタパタあおぎながら、魔理沙の姿に視線を走らせる。 「申し分ないわよ。霊夢も同意見で、嬉しいわ」 紫は振り返ると、博麗の巫女に紙の束を渡した。 22

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最初、霊夢は御札かと思ったが、そこには数字やら、霊夢の知らない人物の肖像が描かれている。 「お金よ」訊かれる前に紫が言った。「多すぎると思うけど、余っても別に返してもらわなくてもいいわ」 扇を打ち下ろすと、スキマが現れた。 「さ、二人で楽しんでらっしゃいな」 23

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翻訳R-18SS「霊夢と魔理沙ラブホに泊まる」 #3

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(#2 23までのあらすじ) 外の世界で異変解決することになった魔理沙に、外の世界の服を着せる紫。その姿にドキドキする霊夢。二人はスキマを通って外の世界に向かう。

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侵入者が博麗大結界を最初に越えたという外の世界の神社はすっかり寂れており、弱々しく咳をする作業員が一人と、ゴミを盗もうとしてゴミ箱の上の網を剥がそうと悪戦苦闘するカラスの群がいるだけだった。 24

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魔理沙と霊夢はすぐにここの調査を打ち切り、巫女にしか感知できない不安定な境界のしるしに沿って、手がかりを求めて市街のあちらからこちらへと移動していった。だが何の収穫も得られずに時間が過ぎた。 25

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正午も回ったので、二人は公園で昼食にすることにした。霊夢は弁当持参だったが、手ぶらの魔理沙に結局横取りされてしまったために、霊夢は空腹に不満声で、二人はちゃんとどこかで食事にすることにした。 26

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二人は牛丼屋にたどり着いた。店内は静かとはいえ、入口に食券の自販機がある。自分たちがよそ者だとばれてしまうような失敗をしでかす可能性もあるが、煮込んだ牛肉の旨そうな香りが店内から漂ってくると、たっぷりと美味な蛋白質が摂れること間違いなし、霊夢に我慢できるはずもない。 27

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魔理沙はさっきと同じように自分の丼を平らげ、ついでにビールも堪能した。 魔理沙が三杯目のジョッキを満足の「ぷはあっ」と爆発するような声で飲み干すと、カウンターの向こうから店員が笑顔で声をかけてきた。 「お二人とも見かけたこと無いけど、大学の学生さん？」 28

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「うんにゃ」 霊夢がシッと言おうとする前に魔理沙が答えた。 「普通の魔法使いと、巫女だぜ」 自信満々の魔理沙。 「異変を解決に来たんだぜ」 29

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しかし店員はその返事にも動じた様子はなかった。 「この辺はそういう人が多いのかな。こないだもあんたたちとよく似た年格好の二人組が来たよ。自分たちは秘封倶楽部だって。どんな意味かわからないけどとにかく調査を…」 30

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しかし、おしゃべりな魔理沙が揉め事の元になるのが心配だった霊夢は、すでに魔理沙を引きずって店の自動ドアから外に出てしまっていた。 31

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その後の調査も空振りに終わった。さすがに霊夢も心が折れだしてきた。魔理沙も孤立無援とはいえ、外の世界のあちこちに置いてある自販機の缶コーヒーの種類の多さに興味津々だった。 32

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「レインボーブレンド」というのを選んで飲む魔理沙に対し、霊夢は暗くなってきた空を見上げ、これからどうするか考えていた。 「どう？」と訊いた霊夢に、空は応えてくれない。 「他と同じで甘すぎ」 そう言って口を手の甲で拭い、魔理沙は空き缶をリサイクルボックスに放り込んだ。 33

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「なあ霊夢、これは無駄な捜し物みたいに思えてきたぜ。紫にからかわれたんじゃないかなあ」 「いいえ、間違いなく何かが起こってる」と霊夢が言い切った。 「大学の周辺に魔力の痕跡があったって言ったでしょ。明日もっと調べる価値がありそうよ」 「じゃあ諦めて帰る気は無いんだな」 34

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霊夢が頷いた。 「好きにすればいいさ」と魔理沙は肩をすくめた。 「でもそれなら今夜はどこかに泊まらなきゃならないってことだな。お金はあるんだろ？」 霊夢が札束をペラペラめくる。 「じゅうぶんすぎるほどにね」 35

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「そんな大金、紫はどうやって用意したんだ？」 「知りたくもないわ」と応える霊夢。 二人は近くに見つけた街路図でホテルを探した。どういうわけかけっこう数がある。霊夢が読み上げていく。 「ホテル・ハッピーデイ、ホテル・スターダスト、ホテル・ドルチェ・アモール…」 36

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「どれも格好良さそうな名前だぜ」と魔理沙が言った。 二人が通りを歩いていくと、辺りはだんだん静かになっていった。人通りもなくなり、手を繋いだカップルをちらほら見かけるだけになった。 「ロマンチックな街だぜ」と魔理沙はニヤリと笑う。 「私たちも手を繋ぐ？」 37

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「バカ言ってんじゃないわよ」とヤレヤレと霊夢が目を回し、歩を早めて前に出てしまったので、その頬がピンクに染まっていたことに魔理沙は気づかなかった。 38

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最初に二人の目についたのがホテル・ハッピーデイだった。外観も派手すぎないので、二人は入ってみることにした。あの牛丼屋とよく似た、提供するものを表示する機械が置いてある。ここでは異なった様式の客室であり、横にボタンが付いている。ボタンのいくつかは灯りが消えている。 39

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魔理沙が感心したように口笛を吹いた。 「どこもかわいい部屋だな。あ、この部屋ジャグジー風呂がある！」 霊夢が止める間もなく、魔理沙はボタンを押してしまった。 40

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だが、代金を払おうと窓口に行ってみると、フロントは支払いを受け取るのを拒んだ。フロントの窓が磨り硝子なので、二人からは係の手しか見えない。霊夢はお金が足りないのかと思い、窓口にさらに札を置いたが、係は申し訳ないがホテルの営業方針に反するので泊められないと説明した。 41

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霊夢は憤然として札束を掴み、今にもフロントにくってかかろうとしていた魔理沙を引っ張って外に出た。 「ったく、何の問題があるんだよ…」とぶつくさ文句を漏らす魔理沙。 「どうでもいいわ」と霊夢。「たぶん私たちにはわからない外の世界のしきたりでもあるんでしょ」 42

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じゃあ横になりながら少しやるか。 翻訳R-18SS「霊夢と魔理沙ラブホに泊まる」 #4

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(#3 42までのあらすじ) 京都の街で調査を進める霊夢と魔理沙だったが初日は空振り。今夜の宿を探す二人だったが、そこがラブホテル街だとは二人は知る由もない。