東方R-18翻訳SS「霊夢と魔理沙ラブホに泊まる(仮)」
- yuri_no_meikyu
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途方に暮れて通りに佇む二人に、通りの向こうから二人の少女が道を渡ってきた。一人は背が高いブロンドの髪の外国人で、大きな青い瞳と、端正だが温和な顔つきの、正真正銘の美少女。 43
2014-05-13 15:38:39その手を取って引っ張ってくる友人はそれより小柄な日本人で、白いリボンを巻いた珍しいボーター帽をかぶった黒髪の少女だった。友人に比べれば彫りは深くないが、その大きな瞳は好奇心に輝いていた。 44
2014-05-13 15:41:28「差し出がましくて失礼ですけど」と会釈して語りかけてくる。 「もしかして宿をお探しですか?」 霊夢はキョトンとした。 「あ、ええ、なぜかわからないけど、ここでは追い出されちゃって…」 45
2014-05-13 15:52:34ブロンドの少女が赤面して目を伏せ、ためらいがちに言った。 「まあ、お気の毒。このあたりのホテルは…その、古臭いところが多いから…」 「京都は保守的だから」と黒髪の少女が申し訳なさそうに言う。 46
2014-05-13 15:57:41「でも大丈夫、全部がこうじゃありませんよ」少女はジャケットのポケットに手を突っ込み、紙切れを取り出すと霊夢に渡した。 「ここに行ってみるといいわ。メリーと私もたまに泊まるの。ベッドがふかふかなのよ」 47
2014-05-13 16:20:06メリーと呼ばれたブロンドの少女は真っ赤になって足元に視線を伏せてしまった。 「蓮子ったら!」 蓮子という黒髪の少女がニヤリと笑う。 「まあまあメリー、困ったときはお互い様、でしょ」 「どうもありがとう」 霊夢が頭を下げると、他の三人もつられてお辞儀した。 48
2014-05-13 16:51:08「ゆっくり楽しんでねっ」とウィンクした蓮子の手をつかみ、メリーはお別れの挨拶も忘れて蓮子を引っ張っていった。 「なあ、いい人たちだったな」と魔理沙が言った。 霊夢は上の空で何事か呟いた。二人が通りの角に消えていくまでその後ろ姿を霊夢はじっと見つめていた。 49
2014-05-13 17:04:07あの二人に、特にあのブロンドの少女に、霊夢はひどく既視感を感じていた。 霊夢は視線を手に持った紙片に移した。 「ホテル・バリアント・リリー、か」 背後から覗き込んだ魔理沙が読み上げる。「可愛い名前だな」 50
2014-05-13 17:55:24カードはずいぶん良い紙に印刷されていて、四隅が金色の百合の絵で装飾されていた。裏面は地図になっている。そんなに遠くない。 「見逃す手はないわよね」と霊夢が言った。 51
2014-05-13 19:22:08ホテルは別の裏通りの端にあった。それまでに二人が通りがかってきた他のホテル同様に、外観は素っ気ないが、ネオンサインの看板は大きくて、遠くからでも目立った。 だが中は別世界だった。内装は全てガラスとクロムで、あちこちに鉢植えが置かれていた。 52
2014-05-13 19:29:54小さなカーテンで仕切られたところがいくつもあった。これは待合室だろうと霊夢は思った。 ホントにこんなに繁盛してるのかしら?さっきは人通りも無かったのに。 魔理沙はすでにさっきのホテルで見たのと同じようなボタン式部屋選びのところに立っていた。 53
2014-05-13 19:50:47また勝手にボタンを押そうとした魔理沙の手を、霊夢がピシャッと叩いた。 「今度は私の番っ」 まだランプが点いているいくつかの部屋を、霊夢は見比べた。どれも豪華で物珍しい。その時ホテルの門扉が開いて、二人の女の子が入って来た。 54
2014-05-13 20:07:00二人とも同じ制服でどこかの会社のOLらしく、少し酔っているらしい。二人のうち小柄な、ツインテールとメガネの女の子は、テレビドラマのように身をよじりながらダメよダメよと言い募るもう一人の背の高い方の女の子の手をつかんで引っ張っている。 55
2014-05-13 20:15:10しかし小柄な女の子はダメという返事に耳も貸さず、友人の手を引っ張り寄せると、いきなり自分のブラウスの胸元にその手を滑り込ませた。背の高い方の女の子は息を呑んで相手を押し退けようとしたが、霊夢がその様子を凝視してもいた事に気づいた二人は急にふざけるのを止めた。 56
2014-05-13 20:21:48霊夢はカッと赤面し、デタラメにボタンを押すと魔理沙を引っ張ってフロントに向かった。 さっきのホテル・ハッピーデイと同じように、係員は手しか見えない。手から見ると今度は中年女性らしい。 霊夢は札束を手に取ると、窓口の下に差し出した。 57
2014-05-13 20:26:52「お泊まりですか?ご休憩ですか?」とフロントの女性が訊いた。 「あ、泊まりで」と答える霊夢。 泊まりか休憩か?宿で休憩って? 「エレベーターで三階です」そう言ってフロントは霊夢のお金と引き換えにルームキーを窓口から押し出した。 58
2014-05-13 20:37:19エレベーターの中に入る瞬間、霊夢はちらっと振り向いてさっきの女の子たちを一瞥した。二人はカウンターのところで寄り添いながらキャッキャッとふざけていた。 エレベーターの扉が閉まった。霊夢は魔理沙に向き直って、かすれ声で囁いた。 「あれ、見た?」 59
2014-05-13 20:46:30「何を?」と答えた魔理沙は、エレベーターの壁に貼られた色とりどりのメニューをチェックしていた。 「おっ見ろよ、ルームサービスがあるぜ。これって聞いたことが…」 「あの女の子たち!あ、あの二人、キスしてたのよ!」と霊夢は言った。 60
2014-05-13 22:11:01「へえ」と魔理沙。 「まあ、可愛いカップルっぽかったもんな」 「それじゃ、あの二人もカップルなの?」 魔理沙が霊夢を見つめた。どうも霊夢は顔がますます真っ赤になっている。 「霊夢、大丈夫か?」 霊夢は頷いた。 61
2014-05-13 22:17:51「なあ、ルームサービス頼んでもいいだろ?お金はあとどれくらい残ってる?」 霊夢は動揺したまま袖からお金を取り出して調べた。 「たっぷりあるわ」 魔理沙はえびす顔で揉み手した。 「じゃあ、エビセン注文しよっと!」 62
2014-05-13 22:24:21霊夢が金属製のルームキーをドアノブに差し込むと、カチャっと音を立てて扉が開いた。 霊夢を押しのけて中に入った魔理沙が固まってしまった。 「うわあ、霊夢、見ろよ!」 部屋は豪華な洋風の内装で、ロビーで押したボタンの表示そのままだった。 63
2014-05-13 22:33:17そこにドンと鎮座するのがキングサイズのベッドで、深紅のシーツに漆黒の掛け布団、ヘッドボードはスイッチだらけで、魔理沙はさっそく駆け寄ってスイッチをとにかく入れてみた。 「すげえ、灯りも何もかも全部ここで操作できるぜ!」 64
2014-05-13 22:39:16霊夢は生暖かいジト目でヤレヤレと首を振った。 魔理沙ったら、ホントにお子ちゃまなんだから! とはいえ、こんな素敵な部屋に泊まれると思うと興奮でワクワクするせいか、霊夢も本気で怒る気にもなれなかった。霊夢は手早くその他の装備も確かめた。 65
2014-05-13 22:58:35これは早苗がしょっちゅう言っていたテレビというものだろう、ベッドの足側の壁に真っ黒いスクリーンが備え付けられている。その真下にカウンターがあってリモコンが置いてあり、その横に小型の冷蔵庫がある。 66
2014-05-13 23:05:58扉を開けて中身を窺おうとした瞬間、魔理沙の歓声が聞こえたので、霊夢は魔理沙が開けっ放しにしていたバスルームに行く戸を抜けて急いだ。 魔理沙は口あんぐりでその場に立ちすくんでいたので、霊夢は魔理沙が何に興奮したのか見ようと魔理沙を押しのけた。 67
2014-05-13 23:12:14