- AlmaObtener
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横からかかった声に振り向けば、紅玉の少女が柔らかに笑んでいる。こちらも、先の喜びを引きずった笑みのまま。 「エクスィだって。教えてくれる人、一人だけじゃなくて三人もできたじゃない。 いろんなことを教えてもらってね、いろんな思い出を作ってね」
2015-07-01 11:55:58最後の一文の宛先は彼女だけではなく。この場にいる皆へそう告げて。 「また会いたいな、みんなに。みんなとまたたくさんお話したい。みんながどんなことしたのかおれも知りたい。みんなの新しい名前を、おれも呼びたい」 叶うかどうかも分からぬ願いを、男は純に信じていて。
2015-07-01 11:56:17「ううんペンデ、気にしないで。ペンデが行きたいって思ったなら、そこに行くのが一番だもの」 冗談には、叩かないもんと真面目に唇を尖らせてみせる。
2015-07-01 11:56:38暮れなずむ陽の下、最後の一言。 「みんな、幸せになろうね」 願いではなく、行動を。 男は信じていた。この場の皆に、それが出来る力が、今や宿っていることを。
2015-07-01 11:56:46「うん」 兄の言葉に、ズィオの言葉に、少女もうなづいて。 「しあわせ、に。なろうね。それで」 また、会いましょう。 ズィオに告げた言葉を、今度は全員へと、向けて。
2015-07-01 11:59:09「煩いわい!うぬこそ、その汚い言葉を妹にうつすでないぞ!」 散々そんなことを喚いた、そののちに。 「……ふん。……まあ、最後に儂も、『遊び』に付き合ってやるわい」 カツリ、杖を鳴らして、転がる不定形の生き物……エプタへと、歩み寄り。
2015-07-01 11:59:20ズィオから受け取った杖を、自分の杖とともに器用に左手に束ね持ち、空いた右の掌を上に、エプタの前へと差し出して。 取り出したるは……銀の杯に満たした、深い紅色の液体。 「……葡萄酒じゃ。うぬ、酒は飲めるか?」 『誓い』の果実が、芳しく香り立つ。
2015-07-01 11:59:23「"天と地を繋ぐ『大樹(ユグドラシル)』のように。我らが誓いに根を張り蔦を張れ。誓いの葡萄酒を飲み干せ"」 言って、杯の半分の量を、自ら飲み。 再びそれを、エプタへ差し出す。 「行き先が決まっておらぬなら……『仲間(とも)』として、我が世界の為、うぬの力を、貸してはくれぬか」
2015-07-01 11:59:25少年が戯れのように大げさな礼をとるのを見れば。 龍も記憶の中のそれを擬えて、礼をとる。 「余(わたし)の出逢った、みなに。幸多からんことを。切に、希う。そして━━願わくば、また」
2015-07-01 11:59:56ぷるり 集まる視線に居心地が悪そうに震える。 何だかんだと差し出される手(きぼう)が多くて どれかを選ぶ(すてる)未来は暗い暗い闇のように真っ白だ ぎりぎりのアウトまで粘っても 答えは出ない。浮かばない エラーのように思考が空回りして ……あー、そりゃ 当たり前だよな
2015-07-01 18:23:46「飲食できないんだって、じーさん。」 溜め息のように掲げられた祝杯を押し戻す。 視線があれば、それは呆れを宿していて 「そいつは、それを飲めるように俺を『名付けて』からもう一度くれ。」 そう、言い切ると前も後ろも無い体ではあるものの、エピカへと向き直る。
2015-07-01 18:24:49「俺はじーさんと一緒に行くよ。弟子にはならなくても役には立てそうだし。 正しく鞘におさまる形では無いけれど、俺が自分で形を探すよりは。型がある方がきっと良い『物語』になれる」 まるで呼吸をするように 一泊を置いて 「そう、遠くないうちに世界を越えるような『物語』を届けるよ。」
2015-07-01 18:26:30「たとえ、誰も知らなくても誰が忘れようとも。 大地に時に世界に染み付いて、形を名を変えながらも泡のように浮かぶ『物語』を」 無いなら有ればいいだけで それは、ひどく簡単に思えた 「だから、どの詩が『俺』なのか見つけてみせろよ『物語』」 答え合わせは何時の日か 分からないけど
2015-07-01 18:33:21こほん 咳払いで、テンションを一つ下げて 「で、じーさんなんか欲しいもんある?正直、自分にリボン巻いてぷれぜんとふぉーゆーしか思い付かないんだけど。あっ、猫になってやろうか?」
2015-07-01 18:34:17「君ならきっと、御老体の元で良い『剣』になれるさ」 許されるなら、そのぷるりとした身体を撫でるように幾度か触れて、小さく笑う。 「君だけの物語(うた)が届くその日を心待ちにしているからね。──エプタ」 楽しそうに声を立てる。沢山が紡がれ、音を綴り、美しく奏でられていくのを感じた。
2015-07-01 21:42:06差し出される盃の行方を、賢者の隣で静かに見守って。 拒絶の後に、告げられた言葉には。 「……一緒に来てくれるの!?」 と、思っても見なかった幸運に声を弾ませて。 「ありがとう、これからもよろしくねエプタ!」 と、首をもたげてもやや足りぬ体高に合わせるように身を屈めて。
2015-07-01 23:02:05次いで、彼の言葉を思い出してから、どこか引っ掛かると言ったように首を傾げ。 「別に弟子が一人じゃなきゃダメなんて、そんなことないと思うけど。一緒におじいちゃんの弟子になろうよ」 言った後に、本当に問題ないよね、と賢者を振り返る。
2015-07-01 23:02:08拗ねるズィオの言葉に、怒る賢者の言葉に、笑って返した。 「そうだね、幸せになろう。」 遊びに付き合ってくれる賢者の姿と、エプタの対応を見て、 細める目。
2015-07-01 23:26:40「エプタは二人をよろしくね。君の物語が聞ける日を、私も楽しみにしてるよ。」 昨夜賢者とズィオと一緒にいて、二人きりだと会話がかみ合わなくなりそうで心配だったけれど、きっと彼が居れば大丈夫。 そんな気がして。
2015-07-01 23:26:50ズィオと視線をあわせて。 「あー、だって俺がじーさんの魔術?みたいなの使えるかとかなんにもわかんないし」 それに、なにより、かにより いや。それは、後でもいいか 「まぁ、俺が何になるかは追々決めてきゃいいだろ。」 兼任したって良いわけだし。 なんせ、俺、分裂出来る。
2015-07-02 07:39:13ひんやりとしながら、ゴム玉のような感触をエピカへと返して。 「おうよー、その時までちょっとの間。お別れだな。」 次があるなら、別れも別に嫌ではない。 だから、不確定の未来をまるで当たり前のことのように口にして、響かせて。
2015-07-02 07:39:25「じゃーなー。」 ペンデを見送るように伸ばした体を左右に揺らす。 まるで昨日と同じように、夜が開けたらまた会えるかのように。 気楽な声で、四人を見送って。
2015-07-02 07:39:36差し出した盟友の誓いの杯をこともなげに拒まれれば、 「なんじゃ、うぬは飲み食いもできぬくせに、食い物食い物とはしゃいでおったのか?!」 こちらも呆れ顔でそう言って。 葡萄酒を軽く揺らせば、それは見る間に、小さなリボンと鈴の付いた、深い葡萄酒色(ボルドー)の猫用の首輪に変わり。
2015-07-02 08:19:27銀の鈴が、チリン、と澄んだ音を立てる。 「ふん。……これならどうじゃ、文句はあるまい?」 エプタが身体からうにょんと伸ばした触手?のようにも見える場所へ、無造作なひょいと引っ掛けて。 それは、エプタの『プレゼント』の申し出への肯定とも取れるだろうか。
2015-07-02 08:19:31