『「立憲主義違反」と「憲法違反」の区別が理解されていない』~憲法学者・井上武史氏らのツイートから

「立憲主義」という言葉の使われ方に関して、井上武史氏が、異論のあるひとのツイートに対して返答し、説明しています。興味深いのでまとめました。
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α @snjiru7

@inotake77 「三大原理違反云々は憲法改正での話」ということは、例えば為政者が平和主義の趣旨に反する憲法解釈を行って、その旨の閣議決定を行っても、憲法違反にも、立憲主義の違反にもならない、ということですか?

2015-09-28 11:19:59
井上武史 Takeshi INOUE @inotake77

@shinjir7 憲法条文に違反すれば憲法違反になるというだけです。三大原理の話は、主権の発動である憲法改正によっても変更できない限界の議論です。しかしそもそもそれらの原理が具体的に何を指し示すのかについては明確でないように思います。そ

2015-09-28 11:24:56
井上武史 Takeshi INOUE @inotake77

これも立憲主義の要素として責任政治の原理を考える必要があるとの立場から、憲法にみられる責任の種類や責任追及の方法には理論面・歴史面からみて様々なものがありますね、という話。個別の行為を問題とするものではありません。 twitter.com/shinjir7/statu…

2015-09-28 11:42:09
α @snjiru7

@inotake77 確認したいのですが、先生は、例えば集団的自衛権行使のように憲法の条文に禁止とも可能とも書かれていない事項に関しては、為政者が集団的自衛権行使容認の閣議決定をしても憲法の条文に書かれていない以上、憲法違反にはなりえないとのお考えですか?

2015-09-28 11:48:01
井上武史 Takeshi INOUE @inotake77

@shinjir7 まさにその点についての憲法解釈がこのたびの安保法案審議で争われていたのではないでしょうか。

2015-09-28 11:50:38
α @snjiru7

@inotake77 先生のお考えはどうでしょうか?

2015-09-28 11:55:20
井上武史 Takeshi INOUE @inotake77

@shinjir7 一言では無理なので、朝日新聞のアンケートをご覧ください。

2015-09-28 11:56:30
α @snjiru7

@inotake77 読みました。 先生は「個別的自衛権と集団的自衛権についても、その行使を基礎づける憲法条文が必要なわけではなく、国家は憲法が禁止していない限り行使できる、とするのが一般的な理解」であることを根拠にされています。asahi.com/articles/ASH79…

2015-09-28 12:08:07
α @snjiru7

@inotake77 先生は集団的自衛権行使は憲法の条文上禁止されていないし、かつ、「平和主義」のような基本原理(の趣旨)は憲法の禁止規範として機能するのではなく、憲法改正の限界を画するに過ぎないという立場だから、集団的自衛権行使容認閣議決定は合憲と考えるのですね。わかりました。

2015-09-28 12:11:25
α @snjiru7

「戦争で男性が死ぬと女性が解放される」「男性と女性とで、女性のほうが能力的に低くても女性を就職させる」という徹底した男性差別主義者が、「お母さんがご飯を用意してくれている幸せ」と発言したデモ参加者に対して「男女不平等だ」と言っていちゃもんをつける。これが上野千鶴子だ。

2015-09-28 12:15:28
α @snjiru7

@inotake77 私は、憲法の条文に書かれていない事項については憲法の基本原理の趣旨から考えるべきだと考えて「平和主義」を持ち出してきて、集団的自衛権行使は平和主義の趣旨に違反するので憲法違反もしくは立憲主義違反であると考えていました。

2015-09-28 12:17:05
α @snjiru7

@inotake77 憲法の三大基本原理は憲法改正の限界を画する重大な原理であるから、政府等が行う、憲法条文に定めのない事項の合憲性解釈の際にも、三大基本原理の趣旨を考慮に入れることが、憲法尊重擁護義務(99条)の趣旨にかなうのではないかと私などは考えますが。先生は違うのですね

2015-09-28 12:23:44
井上武史 Takeshi INOUE @inotake77

@shinjir7 貴兄のような考え方をとる憲法学者はそれこそほとんどいないように思います。平和主義についても9条という個別の憲法条文を問題としています。

2015-09-28 12:55:28
α @snjiru7

@inotake77  いえ、私は平和主義は前文と9条から導かれると考えています。9条では個別的自衛権しか許されないと考えるので9条も集団的自衛権禁止の根拠として考えます。ただ、集団的自衛権行使に関しては明文規定がないので、平和主義の趣旨からもその合憲性を考えるという考えです。

2015-09-28 13:08:16
井上武史 Takeshi INOUE @inotake77

@shinjir7 それこそそのような考え方をする憲法学者はいないと思います。もちろん非専門家であっても個人の信条として独自説を唱えるのはまったくの自由です。

2015-09-28 13:14:50
井上武史 Takeshi INOUE @inotake77

ですのでアメリカ、フランス、ドイツなど立憲主義を標榜する国の憲法は日本国憲法よりもずっと詳細で分量も多いですね。それに比べて、日本国憲法は規範の量が少ないので、統治に必要な規範が解釈や法律によって補われるのは必然のような気がします。 twitter.com/shinjir7/statu…

2015-09-28 13:35:55
井上武史 Takeshi INOUE @inotake77

実際、90年代からの政治改革、行政改革、司法制度改革、地方分権改革などの大きな改革が一切の憲法改正なしに法律改正だけで実現したことは、日本の統治には憲法でなく解釈や法律で運用できる部分が多いことを示していますね。 twitter.com/shinjir7/statu…

2015-09-28 13:40:00
井上武史 Takeshi INOUE @inotake77

そのような憲法体制が望ましくないのであれば、憲法改正によって憲法に1つ1つ具体的な条文を規定することで統治者をきめ細かく統制する方策をとるのがよいのではないでしょうか。現に先の諸国はそのような歩みをたどってきていると思います。 twitter.com/shinjir7/statu…

2015-09-28 13:47:18
α @snjiru7

@inotake77 京都帝国大学の憲法学者・佐々木惣一氏が憲法の条文に照らした「合憲・違憲」の評価とは別に「立憲・非立憲」という捉え方を述べられています。井上先生はこの見解をご存知ですか?(写真は岩波『世界8月号』58-59頁) pic.twitter.com/inhhE0Gpny

2015-09-28 19:12:28
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α @snjiru7

@inotake77 佐々木惣一教授の上記「立憲・非立憲」の見解と、井上武史先生の「立憲主義は単に権利の保障と三権分立とが憲法に定められていることを言うにすぎず、為政者の個々の政治的行政的行為を非難する概念ではない」という考え方とは矛盾するのではないですか?

2015-09-28 19:22:53
井上武史 Takeshi INOUE @inotake77

@shinjir7 そのような用法があることは承知していますし否定はしません。しかし現在そのような用法は特殊で、日本でも国際的にも一般的ではないということです。ご自分の好きな用法で論じられるのは結構ですが、問題はそれに「法学的に」どのような実益があるかということでしょうか。

2015-09-28 19:34:00
α @snjiru7

@inotake77 佐々木惣一先生は為政者は自己の行為がたとえ違憲ではなくとも「立憲主義の精神」に違反してはならないということをおっしゃっています。例えば為政者は平和主義の趣旨に反してはならないということです。為政者を立憲的にコントロールする点に法学的な実益があります。

2015-09-28 19:53:39
α @snjiru7

@inotake77 井上先生の憲法学のように、憲法の条文に明記されていない事項は為政者丸投げで、為政者がなにをやってもおよそ違憲になることがなく、三大基本原理も改正の場面で機能するだけ、という、そういう憲法学は、法学的にいったいどのような「実益」があるのですか?

2015-09-28 19:57:41
井上武史 Takeshi INOUE @inotake77

@shinjir7 そう思われるならばそれでよいのではないでしょうか。私は別に否定も批判もしませんし、私もそうされるいわれもありません。ただそれは、責任政治の原理からいうと、制度化されていない非難なので最も弱いかたちでの責任追及ということになりますね。

2015-09-28 20:01:27
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