津田敏秀氏が福島県の甲状腺検査データを解析、「甲状腺がんが多発、原因は被ばく」と主張する論文を発表
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(↑福島県の甲状腺検査は、原発事故1週間後の2011年3月18日時点で空間線量率が高かった地域から低かった地域へと検査の順番が回っていき、1巡目と同じ順番で2巡目以降の検査も進んでいきます。1巡目のがんの発生率が放射線被曝量と対応するなら津田論文の地域(8)=会津の発生率が最低になるはずですが(もっとも1巡目の検査の本来の目的は放射線の影響が現れる前の状況をつかむことにありますから、この段階では放射線被曝量の差に対応した地域差が出ないのが予想の結果)、いざ実際に1巡目の会津の結果が出てみると先に検査された地域(7)=中通り南部より高かったので、空間線量率の大小に対応したがんの発生を期待していた人たちはこの結果を見て「会津も汚染されている、福島は全県が汚染地域」と騒いだものでした)
いきさつまとめhttp://togetter.com/li/876375 でもふれた通り、WHOの被ばく線量評価(2013年公表)は事故後半年間のデータを使い、「絶対に過小評価しない」ことを目標に現実にはありえないような仮定を置いて算出した推計値です。その後出されたUNSCEARの2013年報告書(2014年4月公表)は事故後1年半までのデータを使い、より現実に近い仮定を置いて被ばく線量の推計値を算出したものです。
アワプラのリンクミス資料サルベージ ourplanet-tv.org/files/20151008… ourplanet-tv.org/files/20151008… ourplanet-tv.org/files/20151008…
2015-10-10 00:13:10(↑引用リンクはOurPlanet TVのホームページに公開された2015年10月8日午後の津田氏の記者会見の英文書き起こしです)
@aizujin_k 線量推定は、IntheNovember2011draXoftheWHOPreliminaryDoseEstimationにしたがっているからそれでいいのだ(バカボンのパパなのだ)で、にげてるみたいですね。
2015-10-10 00:17:38Thyroidequivalentdosesfor1y/o infantswere estimatedtobe300-1000mSvinNamieTown, Fukushima,and10-100mSvinTokyoandOsaka
2015-10-10 00:22:50(↑WHO報告書の草稿段階では1歳児の甲状腺等価線量の推計値がこんなに高かったのだと、津田氏は会見で主張したのです)
まあ、この推定数値当てはめて使えば何でもいえるわ。さういうロジックか(ぼーぜん) twitter.com/nekoyasshiki/s…
2015-10-10 00:25:25@nekoyasshiki しかも、日本政府がWHOに対してロビー活動をやって線量推定を大幅に下げさせたと言っていますた。
2015-10-10 00:25:39@nekoyasshiki なんと言いましょうか、学問的論争レベルというより、亭主の言い訳見抜くレベルの・・・
2015-10-10 00:30:25津田論文と同時に掲載予定のコメンタリーを@tonkyo_Vc さんが読んで下さいました
あれ、Epidemiology誌の例のコメンタリー、Open accessになってる。 journals.lww.com/epidem/Citatio… これ、なかなか辛口コメントで面白かったけど。
2015-10-13 22:28:07上のツイートで引用されているコメンタリーのリンクは一旦消えましたが、2016年2月29日付で下記に復活しました。
http://journals.lww.com/epidem/Citation/publishahead/Screening_For_Thyroid_Cancer_after_the_Fukushima.99053.aspx
このコメンタリーのポイントをまとめると、この論文の問題点は①そもそもデータがコホート研究の対象としてでなく、被曝したかもしれない住民の医療サービスとしての側面が強いこと、②個人の線量データもないし、リスクに影響する様々な個人ベースの背景データもないこと
2015-10-13 22:42:48③従って定量的な解析ができない、ということ(チェルノブイリの場合も最初はそういった雑な地域差での解析だった)、④いずれにしても今回のケースはWHOやUNSCEARの報告書の通り、被曝量が少ないので疫学的なアプローチから影響を評価するのは無理、
2015-10-13 22:48:14⑤従って、この研究は科学的観点からの喫緊の2課題、すなわち低線量被曝の線量応答に関しても、被曝による甲状腺癌リスクに影響する背景因子の寄与についても、加えて放射線誘発の甲状腺癌に関して何等貢献するものではない。⑥まあ、政策的な資料には使えないこともなかろう。
2015-10-13 22:54:39なお、もし放射線誘発の甲状腺癌について知りたければこれ嫁、とのことであった。 jnci.oxfordjournals.org/content/97/10/…
2015-10-13 23:00:41いや、なかなか学術誌で同じ号に掲載されている論文を「科学的には意味ねーし」と評するコメンタリーって珍しいのではなかろうか。
2015-10-13 23:05:17こうなると、尚更どうしてこんなのが掲載されたか興味が持たれるな。”Epidemiology"誌は、International Society of Environmental Epidemiology (ISEE)の発行する雑誌。 iseepi.org
2015-10-13 23:09:41津田氏は環境疫学が専門、ということでググってみると結構ISEEの学会とかでも発表しているっぽいし、これまでに"Epidemiology"誌に8報(今回のものも含め)掲載されている。ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=Ts…)
2015-10-13 23:16:05この論文の投稿のインストラクション読むと、Editorも、Suggest ReviewersもOppose Reviewersも選べるようになっていますな。これを駆使すれば質が低い論文でもコネがあれば案外通しやすいと思われ。 editorialmanager.com/epid/default.a…
2015-10-13 23:21:32雑誌によっては論文投稿の際、「ぜひこの人に査読してほしい」という人=Suggested Reviewerと、逆に「この人には査読させないでほしい」という人=Oppose Reviewerを著者が指定できるようになっている場合があります。前者は専門領域が近い人なら研究の方法や意義を理解してもらいやすく、建設的な議論をしてもらえる上審査が短時間で進むメリットがあるから。後者は運悪く競争相手の研究室のボスに査読が回ってしまった場合、この査読者が審査を引き延ばす一方で(自分の論文を引用していないと難癖を付ける、膨大な追加実験を要求するなど)審査中の論文のアイデアをもとに自分の研究室で追試を取って先に論文を出してしまう可能性を避けるためです。