これも職人ワザ!無数のつまようじの束から不良品を見つける緻密な作業に込めた社長の思いを聞いた

プライドと情熱を感じる
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つまようじの検品を行っている様子。1本ずつ袋に入れる「袋入り加工」を行う工場に送る直前の作業だ

こちらの画像は、無数のつまようじの中から不良品を探し出し、ピンセットで引き抜く作業を行っている様子をとらえたもの。

投稿したのは菊水産業株式会社【公式】(国産つまようじ屋)(@kikusui_sangyo)さん。同社は大阪府河内長野市の地場産業である、国産つまようじの製造・販売を行う企業で、驚くことにこの作業は代表者が自ら目視で行っているという。

Twitterユーザーからは「目がチカチカ・ショボショボしそう」「全部同じに見える」「日本を支える職人技」などなど、緻密な作業に大きな反響を呼んでいる。

たくさんのつまようじの中から不良品を見分けるという、素人にとっては気が遠くなるような作業の舞台裏を菊水産業さんから伺ってみた。

社長兼職人の国産つまようじにかける情熱

検品作業はどれくらいの量を、どれだけ時間をかけて行うのでしょうか

出荷前の検品は毎日行っているわけではなく、まとめてやっています。大変な作業なので一日ではできず、少しずつやります。もちろん一日中やる時もあります。

検品の量ですが、1ケースおおよそ9万本あり、少ない時は2ケース、多い時で5ケース分(約45万本)ですね!

つまようじが機械から出てくるところ。ところどころ逆向きになって出てくるが、それもピンセットで揃えるという

どんな状態のものが「不良品」なのでしょうか。

先端が尖ってないものや、割れてしまっていたりするものを指します。

製造器具の刃物がきちんと当たらないと、先がちゃんと尖ってなかったり平べったくなってしまってたりすることがあるので、取り除く作業が必要になっています。

そのほか、不良品とは違うのですが、頭の方(黒い部分)がこちらに向いているものを反対に向ける作業もしています。

代表自ら検品をされている理由を教えてください。

代表である私がモノづくりへの姿勢を、社員に見せることも大切なことだと思っているためです。

袋入りつまようじは、一度加工に出すと開けることができず、この検品工程が最後になります。

たかがつまようじですが、されどつまようじ。袋を開けた時にお客様が残念な気持ちにならないように、私たちはプライドを持ってモノづくりをしています。

袋入り加工工場に出荷する日は決まっているので、その日までにコツコツと検品しています。毎回一人で全部やってるわけではなく、手分けして社員がやる日もあります。

 

国産の白樺の木を使用した菊水産業のつまようじ。こちらはよく知られている、頭に溝があるタイプのものだ

検品以外で、同じく手間暇のかかる工程はありますか

弊社の場合、丸い容器にたくさん入っているタイプは手作業で詰めており、地域の内職さんが詰める作業をしてくださっています。

また、和菓子を食べる際に使う「黒文字楊枝」の最終工程は、私が手作業で削って制作しています。黒文字楊枝も国産の商品は市場にはほぼなく、国産化するにあたって原木探しから始め、時には山に材料伐採に入ったりしています。

2つの例を出しましたが、オーダー商品でも自社商品でもパッケージや検品作業など全ての商品で手間がかかっています(笑)。

手作業ならでは味がある

2021年10月、同社の倉庫・作業場・事務所は火災で全焼するという災難に見舞われたが、クラウドファンディングでの支援を受けて再建と地場産業の存続に現在も力を注いでいる。

つまようじはAmazonYahoo!ショッピングでも販売されている。社長が自ら手をかけているこだわりのつまようじを使ってみたい人はショップをのぞいてみては。

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