「スラムダンク全巻読み終わらないと出れない家」貼り紙とは裏腹にみんなハッピーになった!

「寝たらそこで試合終了ですよ」
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原作を読んでもらいたい一心から嫌われる覚悟で軟禁

「『SLAM DUNK』全巻読まないと出れない部屋」を企画したきっかけは。

以前我が家に遊びに来たむなさんに「今度映画やるから今のうちに読んでおいた方が世界が輝いて見えるよ」と『SLAM DUNK』を勧めて途中まで読んでもらったところ、「宮城リョータ※2がかわいい」と言っていたことから始まりました。

私は劇場版のネタバレを一切踏みたくなかったので初日に観たのですが、これがとんでもない大傑作でして、このままでは話題性から「他のオタクが絶賛してたから原作は最後まで読んでないけど公開中に急いで映画観てみよう」となってしまう可能性を感じました。

もちろん原作未履修でも十二分に楽しめる作品ではありますが、どうせなら原作を全巻読んで最大級まで楽しんでもらいたいというエゴから嫌われる覚悟で犯行に及びました。

※2…登場人物の一人でやんちゃな性格。小柄な身体を活かしたスピードプレイが持ち味。

参加された3名はどのような人選だったのでしょうか?

大学の友人で、10年来の仲でほとんど家族です。本当は7名ほど呼びたかったのですが、みんな妙齢のため予定を合わせるのが大変でした。

囚人服(部屋着)、お料理、お土産などの準備にどれくらいの時間がかかりましたか?

料理は家にあるもので作れるメニューにしました。正月の準備もあったので材料がたくさんあり困らなかったです。どこまでが正月準備でどこからが軟禁パーティー用なのか自分でもわかりませんが、パイやケーキは前日から焼いてました。

あとはみんなが読んでいる間、私は暇なのでそのすきに料理を作りました。たまに監視の為に今どこを読んでいるかは聞いていました。

部屋着は3人の誕生日プレゼントも兼ねています。ご時世がら換気を十分にしていたので寒くないよう、またくつろいで漫画に集中できるようモコモコの部屋着にしました。

ソファベッドに上がって読んでもらう予定でしたので「人の家で足の臭いを気にしてしまうかもしれない」と思いモコモコの靴下も用意しました。みんな色違いでモコモコ固まっていてテンジクネズミのようでした。

※Francfrancの袋だがGUのパジャマだったとのこと

参加者の皆さんの様子はどうでしたか?

私が感動したのは参加者の一人が、終電付近になって多少焦りを感じていたものの、その時点で話が豊玉戦(※)あたりだったので、腹をくくって「最後まで読むぞ」という断固たる決意で終電を諦めた瞬間です。

急いで読み飛ばすことも可能だったとは思いますが、そうしなかったところが、今回囚人に選ばれたゆえんだと思います。

ちなみにその子は次の日が仕事初めだったので、エクストリーム出勤をしています。それだけ『SLAM DUNK』は面白く、止まらないんだと思います。

※…作中、念願のインターハイを賭けた初戦

このイベントをやってみて感じたことや気づきはありましたか?

「『SLAM DUNK』は本当に面白い」「絵がうますぎる」「週刊連載でこれを? 手描きの原稿で? 嘘でしょ」「絵がうますぎる」「話が面白すぎる」「演出がすごい」「ここの伏線回収、セリフがシンプルなのにすごい」「過去回想の時のコマ割りの種類が多すぎる」「絵がうますぎる」という点は改めて感じました。

本当は読み終えたその足で劇場に向かいたかったのですが、さすがに非人道的だと思い諦めました。今週土曜日に行くので感想を聞くのがとても楽しみです。きっと泣くのでポカリを買っていこうと思います。

今回、囚人として捕らわれの身となったうちの2名にも話を聞いてみた。

企画に感謝、まんまとハマった囚人たち

誘われた時のお気持ち、出向くまでの心持ちはいかがでしたか?

まずは完全に未読だったというむなさん。

「ほ〜ん、まあスポーツものの漫画は文字数が少ないだろうしイマイチだったらお急ぎで飛ばしつつ読めばいいし、お土産でも持って行ってとにかくいつも通りに楽しんでいこう♫」と思いました(むなさん)。

むなさん曰く、「シード権」(=全巻読破した経験)があるというムネニクさんは。

ルールを聞いた時、「カーッ! また謎の企画が」…と(笑)。 私は読破済み枠の参戦であんまり緊張せず、いつものテンションで臨みました。

しかしお家のドアに貼られた丁寧な「狂いの紙」で涙腺が崩壊しました(ムネニクさん)。

参加した感想を教えてください。

主催のおめざさんはいつでも(常識の範囲内で)突拍子もないことをする天才で、ここ数年は彼女のこういった類の企画への慣れも多少はありました。しかし今回は過去イチで戸惑ったかもしれません。

『SLAM DUNK』は一度読み出したら一言では語れないほどとっても面白かったので、ちり紙で涙と鼻水をふきつつ目に焼き付けながら全巻読破しました。

名作であるのはもちろんですが、本気でもてなされて友人たちと盛り上がりながら一気読みできたので、作品の面白さが何倍にも感じました。我々のフレッシュなリアクションを見ておめざさんも終始気持ち良さそうでした。

物語の終盤は泣きすぎて疲れてじんましんを出したり徹夜明けでエクストリーム出勤をキメたりもしましたが、感謝の気持ちでいっぱいです。参加して本当によかったと思っています。

漫画は全巻揃えます。映画あと5回観ます。Blu-rayも買います。気付けば「リョータ…」とうわ言をつぶやいている日々です。「どうしてくれる!?」の気持ちもいっぱいです(むなさん)。

全巻読破しているはずのムネニクさんも楽しめたようだ。

全巻読破済みの私に 「こちらもあるよ」とおめざさんから渡された単行本未収録の読み切り『ピアス』を拝読し、オチに本気で息を飲みました。それを真横で優しく見守ってくれていたおめざさんに、即感想を伝えられる環境は素晴らしかったです。

友人2人も「ああ~ッ!」と試合に一喜一憂して叫んだり 「ここがかっこいい~!!」と読む手を止めたコマが一緒だったりして、そんな様子に 皆「わかる!!」の相づちが止まりませんでした。 改めて「素敵な空間を提供下さりありがとうございました」という気持ちでいっぱいです(ムネニクさん)。

この後、原作をしっかり履修できたメンバーたちで映画を観に行ったそう。

どうしても周りに布教したいカルチャーを胸に抱いている方は、おめざさんのやり口を参考におもてなしとセットで挑んでみてはいかがだろうか。

Amazon.co.jpより
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