「アユの香り? ないよ」『ラーメン発見伝』のメニューを再現した人が迎えた意外な結末とは

これぞ忠実な漫画の再現
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漫画『ラーメン発見伝』に登場する「淡口らあめん」を作ってみた、というツイートが話題だ。

完成した「淡口らあめん」

投稿したTwitterユーザーのうたろう(@syo_ta_____)さんは、これまでさまざまな漫画に登場する料理の再現にチャレンジしている。

『ラーメン発見伝』はラーメンづくりのみならず、ラーメン店の経営問題やマーケティングなどにも切り込む人気のグルメ漫画。

画像はAmazonより

「淡口らあめん」は、本作の主人公・藤本のライバルである「らあめん清流房」店主の芹沢が作ったラーメンで、出汁に一般的な煮干しではなく「アユの煮干し」を使っていること、化学調味料を一切使用しないことがポイントだ。

アユから出汁を取る

アユは「香魚」とも言われるほど独特な香りを持つ魚として知られるが、作中ではそんなアユの煮干しを使ったラーメンには「清涼かつ滋味あふれる風味」があると紹介されている。

ところが、実際に作ってみたうたろうさんによると…

煮干しスープ多めで... おいしい!! アユの香り? ないよ。

とのこと。香り、ないんだ!?

一連の投稿を見たTwitterユーザーからは、「ないよw」「オチで笑ったw」という声や、「煮干しを焼くのが正解なのかなあ?」「アユの量が足りない、最低でもあと5倍は欲しい」と、失敗の原因を推察する声が集まった。

うたろうさんに、今回「淡口らあめん」にトライした経緯や、ラーメンのお味について聞いた。

「濃口らあめん」の再現にも挑戦

「淡口らあめん」を再現しようと思ったきっかけを教えてください。

魚屋で、煮干しにちょうどいいサイズのアユが売ってたので… それだけですね。

まずは煮干しを作って、他の材料はそれから探しました。

小ぶりなアユが入ったパック
煮干しになるとこんな感じ

漫画では、「淡口らあめん」のスープにはアユの煮干しだけでなく、比内鶏の鶏ガラ・鹿児島産黒豚のトンコツ・有機栽培野菜…とこだわり抜いた食材が使われている。しかし、さすがに全てを完璧に用意するには難しかったようで、アユの煮干し以外は手に入るものでまかなったそう。

再現で大変だったことを教えてください。

化学調味料なしでおいしいラーメンを作るのは難しく、うま味成分となるグルタミン酸を補うために原作では使用しない昆布や魚醤などを使用しました。

またトンコツスープを白濁させないよう、沸騰させず弱火で煮込むのに苦労しましたね。

じっくりダシを取りながらも、脂を除き透明なスープに

アユの煮干しの味わいを生かすスープにするため、脂はできるだけ取り除きました。トンコツスープなんてものは脂の塊だからこそウマいのですが、それを取り除くのは大変でしたし、むなしかったです。 

「アユの風味」がしないと気づいたときの感想を教えてください。

調理工程をTwitterで実況し、さんざん講釈もツイートした最終段階に気が付いたので、すごく気まずかったです。

手間をかけただけあっておいしいラーメンに仕上がったことは間違いないのですが、なんとも…コメントしづらかったですね。

手間暇かけた再現調理が気まずい結果になった、と語ったうたろうさん。ただ「淡口らあめん」のストーリーは、漫画でその後の続きがある。

「淡口らあめん」だけでは採算が取れないと気づいた芹沢は、こってりした味を求める客を満足させるべく、鮎の煮干しを使ったスープに、にんにくを揚げた牛脂を混ぜた「濃口らあめん」を新たに開発。これによって回転率を上げ、コストを回収する…というエグい経営戦略が描かれたのだ!

うたろうさんもリプライでのリクエストに応え、続いて「濃口らあめん」を再現することに。

ギットギトの脂を加えて「濃口らあめん」を再現。とてもおいしそうです…

できあがったラーメンの味は…

めちゃおいしいです! 淡口と比較にならないおいしさ。

奇しくも漫画と同じ展開になったのですね。

「濃口らあめん」を食べた瞬間、欠けたピースが埋まったかのような味わいに驚きました。

化学調味料不使用のパンチの弱さを解決し、 事前にスープの余分な脂を取り除いたおかげで、ニンニクを効かせた牛脂の味わいをクリアに感じることができたのです。

漫画飯の再現をするつもりが、いつの間にか漫画の展開そのものの再現になってしまったことが「結果的にとても面白かった」と語るうたろうさん。

他の漫画飯の再現工程にも興味を持った方は、ぜひTwitterアカウントをのぞいてみては。

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【訂正のお知らせ】(2023/05/31追記)
本記事内 「濃口らあめん」についての言及部分にて、原作の内容と一部異なる表現となっていたことを確認しました。お詫びして訂正いたします。

訂正前

「淡口らあめん」は原価がかかりすぎて、採算が取れないことに気付いた芹沢は、こってりした味を求める客を満足させるべく、牛脂で揚げたにんにくをスープに混ぜた「濃口らあめん」を新たに開発。

訂正後

「淡口らあめん」だけでは採算が取れないと気づいた芹沢は、こってりした味を求める客を満足させるべく、鮎の煮干しを使ったスープに、にんにくを揚げた牛脂を混ぜた「濃口らあめん」を新たに開発。

記事中の画像付きツイートは許諾を得て使用しています。
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書いた人
中野ようす

野生のフリーライター。本とお笑いを摂取し日陰で眠り、たまには濡れた犬の匂いが嗅ぎたい。Twitter:@nakano_books